先週、久しぶりに東京へ行ったので、合間に、秋葉原と御茶ノ水に寄りました。秋葉原では、7月20日に新装オープンした「ラジオ会館」に入っているオーディオ店「インパルス」でローテルとアコースティック・エナジーの製品を試聴しました。面白かったのは、DAコンバーターで、CDの音質が良い方に変化したことで、ちょっとほしくなりました。その後、御茶ノ水に移動し、ディスク・ユニオンの「JAZZ TOKYO」へ入り、中古のCDを数枚とLPを一枚購入しました。1年半ぶりくらいの訪問ですが、相変わらず在庫がたくさんあって、見飽きません。そこで買った一枚。
BENNY GREEN (ベニー・グリーン)
IN THE DIRECTION (Criss Cross Jazz 1988年録音)
来日を重ね、日本でも人気の高いベニー・グリーン(p)の2番目のリーダー作です。グリーンは、10代からプロ活動をしていて、24歳でアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加し知名度がアップしたためか、クリス・クロス・レーベルが初リーダー作を録音し、次いで、このアルバムを作っています。既にキャリアを積んでいるためか、落ち着きのある印象の作品です。
メンバーは、ベニー・グリーン(p)、バスター・ウィリアムス(b)、ルイス・ナッシュ(ds)。ベニー・グリーンについては、タッチが比較的重厚なことや、節回しなど、僕はバド・パウエルを思い浮かべることがありますが、ここでは、パウエルの曲を2曲、モンクのものを1曲選曲し、モダンジャズの巨人に敬意を表しているかのようです。
曲は、パウエルの「The Fruit」と「I'll Keep Loving You」、モンク作「Trinkle Tinkle」、ベニー・グリーンの自作「Dealin' With A Feelin'」、バスター・ウィリアムス作「Air Dancing」と「Toku-do」、ラリー・ウィリス作「To Wisdom, The Price」、そして、ヴァーノン・デューク作でスタンダードの「What is There To Say」の全8曲。バスター・ウィリアムスが2曲提供しているのが目立ちます。
初期の作品ですが、トリオのコンビネーションや、ジャズ・オリジナル主体の選曲がよく、まずまず楽しめました。最近は、軽めのタッチで早いパッセージを演奏するピアニストも多いですが、ベニー・グリーンは、やや重く落ち着いたサウンドによって旋律を歌わせ、詩的で美しい演奏をしています。そんな特徴はバラードの「What is There To Say」や「I'll Keep Loveing You」に窺えます。3人が白熱したプレイを繰り広げる急速調の「Dealin' With A Feelin'」やウィリアムス(b)とのコンビがよい「Toku-Do」なども面白い。
【In・Pulse (インパルス)】
所在地:東京都千代田区外神田1-15-16 秋葉原ラジオ会館 5階
ホームページ:インパルスホームページ
7月20日新装オープンしたラジオ会館。フィギャア(人形)やカードのお店など、秋葉原ならではの異業種が多く入っています。外国人観光客の姿も目立ちました。
試聴室。アンプやCDプレイヤー、DAコンバーターはローテル製品。スピーカーは、アコースティック・エナジーのものが大部分です。