一年のはじめを優雅なウィンナワルツを聴いて過ごしたいという気持ちから、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを毎年欠かさずテレビで見ています。今年の指揮は、史上最年少のグスターボ・ドゥダメル(1981年生まれ、ベネズエラ出身)が初登場しました。伝統あるウィーン・フィルですが、新しい指揮者を登場させるなど、変革も心掛けているのでしょう。「変遷」、「推移」という意味の「Transition」というタイトルのアルバムを。
JOHN COLTRANE (ジョン・コルトレーン)
TRANSITION (Impulse 1965年録音)
1965年に録音されていたセッションですが、1967年7月17日にコルトレーンが亡くなった後の1969年に初めて発売されたアルバムです。1965年は、アヴァンギャルドジャズへ進みつつあった年ですが、崩壊する直前のコルトレーン・カルテットによる内容のよい作品なので、年末年始などまとまった休みの際に、レコードでたまに聴きます。
二つのセッションが収録されていて、1965年5月26日録音の「Dear Lord」のメンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、ロイ・へインズ(ds)。他の2曲は6月10日の録音で、ロイ・へインズに代わりエルヴィン・ジョーンズ(ds)が演奏しています。同年6月28日には「アセンション」の録音が行われていて、僕はそれにはついていけませんが、その前くらいまでなら聴くことがあります。
曲は、「Transition」、「Suite」、「Dear Lord」の3曲。「Suite」は、文字通り組曲で、同じコルトレーン・カルテットによる1964年12月録音の有名アルバム「A Love Supreme」(至上の愛)の小型版ともいえるような内容です。『Prayer And Meditation』、『Peace And After』、『Affirmation(直訳は「肯定」)』といった章からなります。
バラードの「Dear Lord」は、広がりと深遠さが感じられる演奏で、コルトレーン(ts)のタイトで、沁み渡っていくようなサウンドの素晴らしさを堪能できます。「Dear Lord」一曲のためにだけ持っていてもいいアルバムです。「Transition」や「Suite」は、時に切羽詰まったように、力強く吹くコルトレーンに加え、マッコイ・タイナー(p)やジミー・ギャリソン(b)のソロも曲想に沿ったもので、聴きごたえがあります。ただこの2曲では、コルトレーンは本来のテナーサックスの音域を超えた音も使っていて、僕はそれには馴染めないので、若干音量を絞って聴きました。
【ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2017(NHKEテレ放映)】
グスターボ・ドゥダメル(指揮)
豪華なウィーン楽友協会のホール。
休憩時間には、昨年定年で退職したコンサートマスターのライナー・キュッヒルさんのインタヴューが放映されました。この企画はよかった。
キュッヒルさんは、この1月にウィーン・リング・アンサンブルの一員で来日します。明日(1月9日)、長野市で公演があるので聴きに行きます。楽しみです。