グスタフ・マーラー(1860~1911)は、人気のある作曲家ですが、僕はあまり聴いてきませんでした。最近、古本屋で彼の奥さんのアルマが書いた「グスタフ・マーラー」という本に出会ったので、聴くのにも参考になるかもしれないと考え、読んでみました。
著者のアルマ・マーラー(1879~1964)は、21歳でマーラーと結婚し、31歳で死別。その後、建築家のワルター・グロビウスと結婚し、離婚、作家・詩人のフランツ・ウェルフェルと結婚し、アメリカに亡命してハリウッドに住み、85歳で他界。
アルマ・マーラーが書いたマーラーとの日々の記録で、二人の間の話ばかりでなく、友人、知人との会話や想いが赤裸々に書いてあって刺激的です。アルマは、音楽や文学の才能が豊かで、マーラーが結婚と同時に作曲を禁じて家庭のことに専念するように言い渡さなければ、いろいろな曲を残したに違いないと思わせる場面も出てきます。
マーラーの指揮者や作曲家としての仕事ぶりが詳述されていて、生身の人間が葛藤している様子が伝わってきます。マーラーの周りには音楽家や画家をはじめいろいろな人が集まってきますが、シェーンベルクやリヒャルト・シュトラウス、フーゴー・ヴォルフなどの曲や人物に対するマーラーの歯に衣をきせない評価も書いてあるので、そういった点も興味深く読みました。
1910年に初演され大成功した交響曲第8番(「千人の交響曲」とも呼ばれます。)は、アルマに捧げられています。マーラーはアルマを愛したことには違いないのですが、それまでが、仕事一本やりで、他のことには無頓着だったマーラーにも、人間的なところがあったのだと感動を覚えました。第8番は改めて聴きたいと思います。
【たまに聴くマーラーのアルバム】
交響曲第5番 / アントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送交響楽団(NAXOS)。
第5番は、第4楽章(アダージェット)が有名でポピュラリティがありますし、ヴィト指揮の演奏も割合と気に入っています。マーラーやブルックナーの交響曲は、廉価のNAXOSレーベルのCDで昔揃えました。
交響曲全集 / ガリー・ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(EMI)。
マーラーの交響曲の録音は多数ありますが、比較的安いボックスセットだったので購入したものです。内容も十分だと思っています。