原田マハさんの小説は何冊も読んでいますが、書店に「モネのあしあと」(幻冬舎新書)という本があったので購入しました。著者には「ジヴェルニーの食卓」というモネを扱った小説があって、それを面白く読んでいたので、その関連もあり買ったものです。副題に「私の印象派鑑賞術」とあり、2015~16年に行われたマルモッタン・モネ美術館所蔵モネ展のイベントとして著者が講演した内容をとりまとめたものです。
大きな目次は次のとおりです。
プロローグ 私とモネとの出会い
第一章 モネが生きた新しい時代
第二章 印象派絵画の新しさ
第三章 モネのあしあとを追って
第四章 小説『ジヴェルニーの食卓』について
第五章 マハによるモネのあしあと案内
エピローグ いま、改めてモネと出会う意味
わかりやすくエッセンスをまとめたモネと印象派に関する本です。スラスラと読めますが、絵のみどころを記した箇所などワクワクしました。モネのあしあとを追って旅にでようというお誘いの内容でもあり、実際読み終わると、国内の美術館でもいいので、モネの絵を観に出かけたくなりました。
第一章では、モネ(1840年生まれ)の生い立ちと19世紀後半のパリに都市文化が花開いた様子が記され、印象派の画家が活躍できた背景を描いています。第二章は「印象派絵画の新しさ」として、浮世絵からの影響で大きな風景の一部を切り取るカットアウトの手法が導入されたこと、絵筆の筆跡を残すようにしたこと、チューブ絵具が登場し戸外で絵を描けるようになったこと、日々の暮らしの中にある新しい風景を対象としたことなどについて触れています。
(この本で紹介されている絵の一つです。)
第三章では、モネの転居の足跡とともに、モネの連作作品の「ポプラ並木」や「ルーアン大聖堂」、「睡蓮」といった作品に触れています。第四章は、原田さんの小説「ジヴェルニーの食卓」を書いたきっかけや設定などについて記しています。
(この本で紹介されている絵の一つです。)
第五章は、文字通り、モネのあしあとを辿るとともに作品が収蔵されている美術館を紹介しています。それがフランス編と国内編になっていて、国内の美術館にたくさんのモネの絵があることが書いてあり、驚きました。その理由は、モネの生きていた時代に、松方幸次郎、大原孫三郎、薩摩治郎八といった先見の明をもった人が購入したからで、現在ではほしくても手に入らないだろうと記されています。
巻末にモネの絵を収蔵している施設の一覧も載っていて、「国立西洋美術館」や「大原美術館」など国内の美術館に機会を見つけて行こうと考えています。パリの「オランジュリー美術館」、「オルセー美術館」「マルモッタン・モネ美術館」は必須ですが、オランジェリーだけは入ったことがあり睡蓮を見ることができました。いつかまたパリへ行ってみたい気持ちになりました。