先週の日曜日の午後は東京にいたのですが、ごく久しぶりに原宿へ行きました。休日なので、歩道から溢れるほど人がいて、若者を中心として相変わらず賑わっていました。旅行客など外国の方も多く、聞こえてくる言語も中国語や英語で、昔行った香港の通りやパブを想い出しました。そういった街の喧騒も嫌いではないのですが、自宅では静けさがほしくなり、物静かそうなピアニストを聴いてみました。
ROB SCHNEIDERMAN (ロブ・シュナイダーマン)
STANDARDS (Reservoir 1992年録音)
ロブ・シュナイダーマン(p、1957年生)は、1980年代からレザボアレーベルへの録音が多数あり、若手~中堅どころのミュージシャンと思っていたのですが、すっかりベテランの仲間入りをしています。このアルバムは、スタンダード曲を題材にとったもので、親しみやすく、バップベースに新鮮な編曲もあり、現代のハードバップといっていいものです。
メンバーは、ロブ・シュナイダーマン(p)、ルーファス・リード(b)、ベン・ライリー(ds)。ルーファス・リードは、アキラ・タナ(ds)と組んだタナリードで活動をしていて、当時シュナイダーマンはそのコンボのレギュラーピアニストだったので、周知の間柄です。ベン・ライリーについては、ケニー・バロン(p)との演奏などを聴いてシュナイダーマンが気に入ったようで、トリオの連係がよくとれています。
曲目は、タイトルどおりスタンダードが並びます。「Love Letters」、「So In Love」、「On A Slow Boat to China」、「Without A Song」、「I Should Care」、「Fly me to The Moon」、「Disritmia」、「With A Song in My Heart」、「When You Wish Upon A Star」、「Anyone Else But Me」の全10曲。「Disritmia」だけは、アメリカンスタンダードではなく、ブラジルのサンバの作曲家Martinho Da Vilaという人の曲で、シュナイダーマンが好きなものだそうです。憂愁を帯びたメロディと抽象的な和音が印象的な佳曲で、演奏もよく、たいへん価値のある収録です。
ロブ・シュナイダーマン(p)がスタンダード曲を自己の感性で弾いていて、よいアルバムです。原曲を大事にしてはいますが、イントロをルバートでつけたり、静かにスイングしているといった雰囲気があり、「So In Love」では、ピアノだけでスタートし、しみじみとした味わいを出しています。「On A Slow Boat to China」も同様で、ソニー・ロリンズ(ts)の演奏とは傾向が異なります。逆に3人がスインギーでダイナミックなところを聴かせる「With A Song In My Heart」、そこはかとない哀愁が漂う「Disritmia」と、最後まで聴きどころが多い。
【原宿の賑わい】
原宿駅。
まだ少ない方なのかもしれません。
東急プラザ表参道原宿の前。
原宿へ来たのは、ジャズ喫茶の「JAZZ UNION」へ寄るためです。その記事は明日アップする予定です。