群馬交響楽団の第535回定期演奏会に、指揮・ヴァイオリンのオーギュスタン・デュメイが登場し、演奏する曲目もショーソンやラヴェルのものなど興味深いものばかりだったので、高崎市の群馬音楽センターまで聴きに行ってきました。
(出 演)
指揮・ヴァイオリン:オーギュスタン・デュメイ
管弦楽:群馬交響楽団
(曲 目)
チャイコフスキー / 憂鬱なセレナード 作品26
ショーソン / 詩曲 作品25
ラヴェル / ツィガーヌ
ベートーヴェン / 交響曲第4番 変ロ長調 作品60
ビゼー / 「アルルの女」組曲から第3曲「アダージェット」(アンコール)
(感 想)
前半は小編成で、オーギュスタン・デュメイがヴァイオリンを弾きながら指揮をするという、親密感が感じられるステージでした。ショーソンとラヴェルの曲は、本来大きな編成のオーケストラの伴奏ですが、デヴィッド・ワルターという人の編曲によりチャイコフスキーのセレナードとほぼ同じ小編成の伴奏になっていました。原曲の編成だと独奏ヴァイオリンの音がフォルテでは聴こえなくなってしまうので、この編曲版が用いられたようですが、かなり珍しいようです。
デュメイを観るのはもちろん初めてですが、背が高く大きな人で、ヴァイオリンが小さく可愛らしく見えました。独奏ではラヴェルの「ツィガーヌ」における左手によるピチカートやすごい重音など超絶技巧を苦も無く用いていて、スリリングでした。本来ピアノのパートはハープが担当し、そういう意味でも面白い音が聴け、ラヴェルの曲想も豊かなものなので、この曲は素晴らしかった。
休憩を挟んで後半は、ベートーヴェンの交響曲第4番。実は、僕はベートーヴェンの交響曲では柔らかく聴こえる偶数番のものを好んでいるので、今日の選曲はありがたかった。特に、第1楽章のアダージョと第2楽章のアダージェットは優美といいたくなる演奏で、第2楽章におけるクラリネットソロやホルンの演奏も決まっていました。デュメイは、後半は指揮棒を持っての指揮でした。
アンコールのビゼーのアルルの女からの「アダージェット」も落ち着いた細やかな弦楽合奏が聴けて、今日の締めに相応しいものでした。現在、デュメイは関西フィルハーモニーの音楽監督を務めているので、日本でも彼の知名度は高いと思います。僕は、昔購入した、デュメイの独奏による協奏曲などのCDを持っているので、本人の演奏を聴けて嬉しく、満足した気分で帰途につきました。