今年のお正月に購入した、佐藤達哉著「ジャズアルバム大全」(PHPエディターズ・グループ)を、関心のある部分をかなり読んだので、感想を記します。
表紙
(帯裏にある本書の内容紹介)
著者が、自身のブログに掲載した多数のレコードの中から70タイトルを厳選し、一つ一つについて、演奏者の略歴や演奏スタイル、レコーディングの背景、曲の成り立ちやソロフレーズ、使用楽器などの解説と、そのレコードについて、縦横無尽に述べたものです。
(著者の佐藤達哉さんの紹介)
佐藤達哉ホームページ:TATSUYA SATO offical web site
佐藤達哉ブログ:佐藤達哉|note (この本の元となったブログです。現在も続行中、読み応えあります。)
(目次の一部)
目次は、取り上げたミュージシャン名と、その関連レコード(CD)のタイトルからなります。多くのレコードを取り上げたミュージシャンは次のとおり。これは、著者の関心の順と言ってもよいです。
1位 マイケル・ブレッカー(テナー・サックス) 10枚
2位 ジョー・ヘンダーソン(テナー・サックス) 6枚
3位 スタン・ゲッツ(テナー・サックス) 5枚
4位 デイヴ・リーブマン(テナー・サックス) 4枚
5位 ソニー・ロリンズ(テナー・サックス) 3枚
5位 ウェイン・ショーター(テナー・サックス) 3枚
5位 ローランド・カーク(テナー・サックス) 3枚
著者は、テナー・サックス奏者なので、同じ楽器のものが多く取り上げられています。マイケル・ブレッカーやジョー・ヘンダーソンが多く、現代のテナー・サックス奏者に及ぼしている影響がよくわかります。
(感想など)
テナー・サックス奏者である著者の極私的なアルバム紹介の本です。ジャズの歴史とか、背景となる時代についても触れられることはありますが、重要視されていません。その代わり、一枚一枚の紹介が細部にわたり、ミュージシャンとしての観点が入っています。
ジャズが好きで、いろいろとレコード(CD)を聴いている人向けの本です。紹介されたアルバムを聴いたことがなければ、読んでもつまらないので、聴いたことがなければ、そのアルバムを用意した方がよいです。著者の記述に共感する部分も多く、『ソニー・ロリンズ・アンド・ザ・コンテンポラリー・リーダーズ』の中
で、『いつ聴いてもゾクゾクしてしまうのがバラード、「イン・ザ・チャペル・イン・ザ・ムーンライト」の最初のテーマのサビ後、メロディのアウフタクト部分に出てくるLow B♭のサブトーンです。』と記していて、あそこはそうだよなと相づちを打ちました。
(佐藤達哉さんの著書を読んで聴いてみたアルバム)
ソニー・ロリンズ「And The Contemporary Leaders」。上記に記した「In The Chapell In The Moonlight」が聴けます。
キース・ジャレット「Somewhere」。
この中の「Tonight」を論じて佐藤さんは、『イントロ無しでキースのカウントに続き曲がスタート、天から舞い降りてくるメロディを恐山のイタコ状態で身体に受け入れ、ピアノフォルテの完璧な演奏者が脱力、鼻歌でプレイしますが、これはジャズというよりもジャンルを超えた純粋音楽の領域に達しています。』と記しています。面白いので、抜き書きしました。