雑誌「レコード・コレクターズ」は、ロックの記事主体の雑誌として続いてきました。ごくまれにジャズ関連の記事が掲載され、この11月号はブルーノートやECMレコードを取り上げています。ブルーノートのアルバムを。
HORACE PARLAN (ホレス・パーラン)
HEADIN' SOUTH (BLUE NOTE 1960年録音)
ホレス・パーラン(p, 1931~2017年)のブルーノートレーベルにおけるアルバムは、一聴して、『黒っぽい』演奏が収録されていて、たまに、無性に聴きたくなります。チャールス・ミンガス、ブッカー・アーヴィン、ローランド・カークといった彼の共演者の顔触れを見ても、いかにもといった感じがします。
メンバーは、ホレス・パーラン(p)、ジョージ・タッカー(b)、アル・ヘアウッド(ds)、レイ・バレット(コンガ)。本作には、コンガのレイ・バレットが参加しているのが特徴です。より、リズム面が強調されている感じがします。
(英文表記)Horace Parlan(p)、George Tucker(b)、Al Hearwood(ds)、Ray Barretto(conga)。
曲目は次のとおり。
1 Headin' South (Horace Parlan)
2 The Song Is Ended (Irving Berlin)
3 Summertime (George Gershwin, Ira Gershwin)
4 Low Down (Horace Parlan)
5 Congalegre (Ray Barretto)
6 Prelud to a Kiss (Duke Ellington, Irving Fordon, Irving Mills)
7 Jim Loves Sue (Ahmad Jamal)
8 My Mother's Eyes (Abel Baer, Louis Wolfe Gilbert)
参加メンバーのホレス・パーランの自作2曲とレイ・バレットの自作1曲。パーランが影響を受けたピアニストのアーマッド・ジャマル作「Jim Loves Sue」に、あとの4曲はスタンダード。
ブルージー極まりないホレス・パーラン(p)の演奏が楽しめます。録音のせいもあるとは思うのですが、ジョージー・タッカーのベースが、強力でぐっと重心を低くしています。タッカーは、「Summertime」では、弓弾きをやっていて、新鮮でした。レイ・バレット(コンガ)は「Congalegre」でフューチャーされていて、華やかです。「Low Down」では、パーラン(p)がアルペジオを延々と反復していて、彼の真骨頂というべき個性的なプレイが繰り広げられています。
(参考)本作から「Headin' South」が聴けます。
【レコード・コレクターズ 2024年11月号】
表紙
(目 次)
今号の特集は、まず「ブルーノート・ベスト100」として、24名の執筆陣の投票により、必聴の100枚が選ばれています。タワーレコードからSACDハイブリッドコレクションがでるので、それとタイアップした企画です。また、ECMレーベルについては、映画の公開が契機となって、特集が組まれたようです。
(レコード・コレクターズ誌2024年11月号 ブルーノート・アルバム投票順位 1~6位)
1位は、エリック・ドルフィー「Out to Lunch」。1~3位は、順位は別として順当だと思います。投票陣がハードバップというよりも、その先を聴く人が多いので、オーネット・コールマン、ボビー・ハッチャーソン、ドン・チェリー、さらにはケニー・ドーハムのラテン物などが高順位に入っていました。
2位は、ジョン・コルトレーン「Blue Train」。
3位は、キャノンボール・アダレイ「Somethin' Else」。
4位は、ハービー・ハンコック「Maiden Voyage」。新主流派と言われたころのハンコックの代表作です。ホレス・シルバーやアート・ブレイキー、ハンク・モブレイあたりの作品が6位以内に入ると思ったので、投票傾向が新しくなっている感じを受けます。
5位は、ケニー・バレル「Midnight Blues」。この高順位は意外でしたが、投票する人にギターやR&Bがお好きな人が多いためでしょうか。もちろん、僕も大好きなアルバムです。
これは傑作だと思うのですが、今聴くと、意外とオーソドックスです。
(100枚のうち、僕が特に気になったもの)
あまり、ピアノトリオのものは入っていないのですが、このホレス・パーラン「Us Three」は人気でした。そこで、彼のアルバム「Headin' South」を今回拙ブログで取り上げました。
全く聴いたことのない、エディ・ゲイルズの作品が35位に入っていました。CDでいいので、これは聴いてみたい。
オルガンのアルバムは、ジミー・スミスやラリー・ヤングのものが目に付きましたが、このロニー・スミスのものが52位に入ったのには、驚きました。本作の輸入再発盤レコードをもっているので、改めて聴いてみたい。
(投票した24名の投票内訳も記載されています。注目した投票者の例)
エブリデという方は、1993年生まれの音楽家だそうですが、実にオーソドックスで、ハードバップ系をたくさん挙げていて、親近感わきました。26位に、ケニー・ドリューの「Undercurrent」を入れるなど見識が高い。大村幸則さんは、1949年生まれの音楽評論家。エリック・ドルフィー、セシル・テイラー、アンドリュー・ヒルなど新主流派以降を高く評価していました。
【ECMレコード関連記事】
映画が公開されます。
今聴きたいECMのアルバム45選の紹介など。
【レコード・コレクターズ誌を発行しているミュージック・マガジン社のホームページ】
NHK-FM 世界の快適音楽セレクションの選曲者で湯浅学氏、渡辺亨氏が同年輩なので気になる記事でした!
ジャズ専門誌でないジャズ特集は意外と参考になります♪
今回のレコード・コレクターズの特集ですが、お話のように、選者の顔ぶれが面白いですね。
衆目の一致するところはそう変わりませんが、新主流派以降のものや、踊れそうなものなどDJが好む物など、昔のものとは、異なるアルバムも選出されていて、興味深かったです。
ホレス・パーランはともかく、ソニー・クラークの「ソニー・クラーク・トリオ」が全く入ってこないのには、時代が変わったと感慨深かったです。
コメントありがとうございます。