安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ズート・シムズ ZOOT AT EASE

2008-02-13 22:43:28 | テナー・サックス

明日はヴァレンタインデイです。イベントとしてすっかり定着した感があり、帰りに寄った近くのスーパーでもチョコレートやお酒が積まれて売られていました。チョコレートはもしかしたら貰えるかもしれないので、綺麗に包装されたウイスキーの「ヴァランタイン」を買ってきました。いつもはビールですが、今夜はヴァランタインを飲んで酔っています。マイ・ファニー・ヴァレンタインが聴けるアルバムです。

ZOOT SIMS (ズート・シムズ)
ZOOT AT EASE (FAMOUS DOOR 1973年録音)

 Zoot_at_ease

「My Funny Valentine」は、スタンダード中のスタンダードです。ロレンツ・ハートとリチャード・ロジャースが作った曲で、歌ではフランク・シナトラ、演奏ではマイルス・デイビスをはじめそれこそ多くのミュージシャンが録音しています。長野市の今夜はことに冷えるので、温かそうな音色のズートにしてみました。

ズート・シムズがソプラノ・サックスとテナー・サックスの両方を使って吹き込んだものです。ズートの他にハンク・ジョーンズ(p)、ミルト・ヒントン(b)、ルイ・ベルソン(ds)、グラディ・テイト(ds)という腰の据わったスイングが期待できそうなメンバーです。

「Softly in a Morning Sunrise」ではソプラノでスムーズなプレイを展開します。音がふくよかで、さすがズート・シムズです。「In The Middle of a Kiss」はスローなテンポでテナーが悠然とメロディーを綴っていきます。短いながらハンク・ジョーンズのソロも美しい。ソプラノで吹いていく主旋律も癖になりそうな「Rosemary's Baby」もききもの。LPのB面では「Do Nothing Till Hear from Me」と「Cocktails for Two」と「My Funny Valentine」の3曲がテナーです。全部で8曲です。

奥ゆかしく「My Funny Valentine」はLPのB面最後に収録されています。はじめはビートなしに静かにでていき、おなじみのメロディを深い音色で奏したあと、べースに乗ってスインギーに高音も用いながらソロが続きます。良い音楽に、飲みやすいヴァランタインによる酔いも加わっていい気分です。

こうして聴いていくと、本作品は寛ぎに満ちた最高の一枚です。


ハーブ・ポメロイ JAZZ IN A STABLE

2008-02-11 20:17:24 | トランペット・トロンボーン

9日の土曜日、信州大学に用事があって行ってきました。松本市旭町のキャンパスは、春休みにもかかわらず結構学生もいて、激しく雪が降る中、構内を足早に歩いていました。ジャズ・ミュージシャンで教鞭をとる人は多いですが、ボストンのバークリー音楽院の先生をしていたハーブ・ポメロイの作品を聴いてみます。

HREB POMEROY (ハーブ・ポメロイ)
JAZZ IN A STABLE (TRANSITION 1955年録音)

 Jazzinastablepomeroy

ハーブ・ポメロイよりも彼の弟子の方がよく知られています。ゲイリー・マクファーランド、ゲイリー・バートン、秋吉敏子らが教えを受けています。ポメロイは、トランペッターですが、そのことよりも1955年からバークリーでジャズミュージシャンを育てたことのほうが日本では一般的かもしれません。

ボストンのジャズというのはあまりききませんが、ストーリービル・クラブはこの街にありましたし、本アルバムもステイブルというボストンのクラブでライブ録音されています。メンバーは、ポメロイのほか、ヴァーティー・ハラウチュニアン(ts)、レイ・サンティシ(p)、ジョン・ネヴェス(b)、ジム・ジターノ(ds)と地味目です。

東海岸だからといって熱血ハード・バップ一辺倒ではありません。むしろ静かに燃えるというムードです。ポメロイは、アップテンポの「Porta Desks and Tuxedos」と「Ray's Idea」で白熱したソロをとるほか、「It Might as Well Be Spring」でも好調です。レイ・サンティシは白人ながら重めの打鍵でリズムも前のめりではありません。「Ray's Idea」におけるプレイは一聴の価値があります。

曲目は1曲を除きスタンダードでテンポは速めです。「It Might as Well be Spring」、「Porta Desks and Tuxedos」、「One Bass Hit」、「Off Minor」、「Sweet and Lovely」、「Ray's Idea」など9曲です。ポメロイの音色はやや細いながらきれいなので、バラードを聴いてみたいところです。

ホームページにエルジー・ビアンキ(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう


レスリー・ゴーア I'LL CRY IF I WANT TO

2008-02-08 23:02:57 | ヴォーカル(L~R)

明日から3連休なので、たまには元気のいいオールディーズを聴いてみようと、レスリー・ゴーアのCDを取り出し「涙のバースディー・パーティー」をはじめヒット曲を何曲か立ったままで聴きました。彼女のLPの中には「Misy」、「What a Kind of Fool Am I」などスタンダードが入っているものがあるので、それを聴いてみました。

LESLEY GORE (レスリー・ゴーア)
I'LL CRY IF I WANT TO (Mercury 1963年録音)

 Illcryifiwanttolesleygore

オールディーズ(ロック・ロール)の女王といっていいレスリー・ゴーア17歳の時のデビュー曲にして全米NO.1になった「IT'S MY PARTY」(涙のバースディー・パーティー)や全米第5位にランクされたセカンド・シングル「JUDY'S TURN TO CRY」(涙のジュディ)などを収録したLPです。

レスリー・ゴーアを見い出したのは、クインシー・ジョーンズですから歌のうまさは折り紙つきです。ジャズやヴォーカルを聴きながら、ちょっとポップなものもたまにはいいです。軽いビートやこれでもかと刻む三連符を聴くとつい立ちあがってしまうのが困りますけれど。

オールディーズもののもう一つの楽しみは、スタンダードが収録される場合があることです。ここでも、「Cry Me a River」、「I Understand」、「Misty」、「What Kind of Fool Am I」、「The Party's Over」を歌ってくれています。編曲はクラウス・オーガーマン(Claus Ogerman)で、ディレクターはもちろんQuincy Jones。

「Misty」は、ロックビートに乗せて、オルガン、コーラスがバックをつけるなか、のびやかな声と軽い装飾(フェイクまでいかない感じ)をつけながら歌っていきます。「I Understand」はしっとりと歌ったバラード。「What Kind of Fool Am I」はテンポが早くあっさりとした処理です。ジャズファンが抱いているこの曲のイメージと異なると思います。「Cry Me a River」、「The Party's Over」も軽いロック・ビートによる処理です。

「Misty」、「I Understand」がなかなかいいと思うし、ロックビートといいながらへヴィーではないので、お気楽ジャズ・ファンにはかなり楽しめたアルバムです。


ジョー・ニューマン AT COUNT BASIE'S

2008-02-05 22:38:23 | トランペット・トロンボーン

書店でページをめくったら、行ったことのあるジャズ・スポットの写真がいくつか載っていたので「ジャズを巡る旅」(男の隠れ家別冊)という雑誌をつい買ってしまいました。札幌、仙台、東京、京都、博多と見覚えのある光景が目に留まります。仙台のジャズ喫茶「カウント」のアルテックのスピーカーが懐かしいので、お店の名前カウントからジョー・ニューマンのライブアルバムです。

JOE NEWMAN (ジョー・ニューマン)
AT COUNT BASIE'S (MERCURY 1961年録音)

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ニューヨークは、カウント・ベイシーの店におけるライブ録音です。ニュー・カウント・ベイシー楽団におけるスターの一人として名をなしたジョー・ニューマンは、スイングから中間派のセッションに多く参加しており、モダンよりやや古いタイプとされることが多いようです。

本アルバムでは、異色のメンバーに囲まれてモダンなプレイを展開しています。ちょうど61年にベイシー・バンドを辞めて独立した時にあたり張り切ってもいたのでしょう。メンバーは、ニューマン(tp)のほか、オリヴァー・ネルソン(ts)、ロイド・メイヤーズ(p)、アート・デイビス(b)、エド・ショネシー(ds)です。

実は、オリヴァー・ネルソンのテナー・サックスはしつこさと、ぶしつけさが感じられて大嫌いでした。本アルバムでは、そこが抑え気味で、彼のソロに耳をふさぐということもありません。また、エド・ショネシーが彼のイメージをひっくりかえすようなダイナミックなプレイをしていてびっくりしました。

曲目は、「Caravan」、「Love is Here to Stay」、「Someone to Love」、「The Midgets」、「On Green Dolphin Street」、「Wednesday's Blues」 の6曲です。ニューマンお得意のミュート・プレイが冴えていますが、なんと「The Midgets」ではオープンで吹きまくっています。そして、乗り乗りの「Wednesday's Blues」で幕を閉じます。客席からかかる声も調子のいいライブ・アルバムです。

思わず購入してしまった雑誌です。

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アン・バートン IT MIGHT AS WELL BE LOVE

2008-02-03 21:54:57 | ヴォーカル(A~D)

今日は節分なので自宅で豆まきをしました。季節のことから干支の話ですが、今年はねずみ年です。猫がねずみに神社へ集まる日を聞いたところ、1月2日と嘘をつかれて1日の参集に遅れたので、猫が十二支に加えてもらえなかったという小話があります。それで猫はねずみを追いかけるようになったとか。ジャズではジャケットに猫が登場するものが結構あります。ヴォーカルでは、ジェニー・スミスのドット盤が知られてますが、今夜はアン・バートンのCDです。

ANN BURTON (アン・バートン)
IT MIGHT AS WELL BE LOVE (Burtone 1983年録音)

 Itmightaswellbeloveannburton

ターニング・ポイント・レーベルから発売されましたが、この会社が倒産してしまい、権利を買い取ったアン・バートンは自分のレーベル(Brtone)からジャケット写真を変えて発売していました。CD化に当たり元のオリジナルジャケットが用いられ猫が登場しました。アン・バートンは猫好きで、自宅に4匹も飼っていたそうです。バートーンレーベルのロゴも猫です。

本作品は2度目のニューヨーク録音に当たります。伴奏メンバーは、Mike Ranzi(p)、Buster Willimas(b)、Grady Tate(ds)、Cecil McBee(b)、Jay Berliner(g)で、曲によってストリングをかぶせています。彼女のアルバムには珍しい豪華な仕掛けです。

曲目もバートンにしては珍しく、比較的古いスタンダード的なものを集めてあります。「Sooner or Later」、「Nobody's Heart」、「Humpty Dumpty Heart」、「After You」、「It Might As Well Be Spring」など全9曲です。友人だったブロッサム・ディアリー作曲の「I Like You, You're Nice」も入っていて、ボッサリズム でギターの間奏が入ります。

「Nobodey's Heart」、「After You」、「It Might As Well Be Spring」がよいです。「It Might As Well Be Spring」は、ピアノとのデュオで入りストリングスがかぶさってきます。歌詞の意味がストレートに伝わってくるような歌いぶりです。

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