安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

フィル・ウッズ AT THE FRANKFURT JAZZ FESTIVAL

2013-06-12 18:54:54 | アルト・サックス

一昨日の夜、80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんの肉体の秘密を探るという内容のテレビ番組(NHKクローズアップ現代)を見ました。肥満などで、65歳の時には、標高500メートルの山に登るのもたいへんだったのですが、鍛錬により80歳時には驚異的な運動能力を身に付けていました。エベレストに登るという目標に向かって、足に重しをつけ、背中に30㎏のバックを背負い街を多い時には8時間も歩いたことが、それにつながったようです。そんな真似はできませんが、メタボ緩和のため、夕食後に散歩を始めました。激しいプレイです。

PHIL WOODS (フィル・ウッズ)
AT THE FRANKFURT JAZZ FESTIVAL (EMBRYO 1970年録音)

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このところ、モダンスイング~ハードバップを聴いていたので、たまにはフリーがかったものを聴きたくて、取りだしたCDです。フィル・ウッズ(as)は、1968年にパリに移住してから、フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーンを結成して、エネルギッシュな活動をしました。甘美な音で、正確、端正にプレイするミュージシャンというイメージを持っていたので、ジャズ喫茶でこの時代の作品を初めて聴いた時には、びっくりしたのを覚えています。

メンバーは、フィル・ウッズ(as)、ゴードン・ベック(p)、アンリ・テキシエ(b)、ダニエル・ユメール(ds)。ドイツのフランクフルト・ジャズ・フェスでのライブ録音です。この時代のヨーロッパですから、フリージャズやロック系統のものなど、なんでもありのフェスティヴァルだったようです。そんな中では、ウッズ・グループの演奏は伝統的な方だったのかもしれません。

曲は、エディ・ハリス作「Freedom Jazz Dance」、ウッズ自作の「Ode A Jean-Louis」(ジャン・ルイの歌)、ビクター・フェルドマン作「Josua」(ジョシュア)、ゴードン・ベック作「The Meeting」の4曲で、「The Meeting」はアンコールに応えて演奏されたものです。「Freedom Jazz Dance」と「Josua」は、マイルス・デイビス(tp)が録音をしています。

テンポにとらわれないプレイですが、ウッズ(as)のソロには抒情性も感じられ、リズムにもスイング感があるので、抵抗なく聴けます。「Freedom Jazz Dance」や「Josua」では、音の塊を放出するような疾走感のあるウッズ(as)のプレイに興奮しました。「Ode A Jean-Luois」では、ゴードン・ベック(p)が、エレクトリック・ピアノを弾いてフワフワした音を出していますが、うまく使っていて面白い。テキシエ(b)とユメール(ds)のタイトなプレイもあり、スカッとした気持ちになりました。


テレル・スタッフォード THIS SIDE OF STRAYHORN

2013-06-09 22:35:54 | トランペット・トロンボーン

きのう、富士通コンコードジャズフェスの名古屋公演に行ってきました。往年のJATPに倣って、サックス・バトルやトランペット・バトルが繰り広げられて、フェスティヴァルに相応しいステージでした。チャールス・マクファーソン(as)やランディ・ブレッカー(tp)、ハリー・アレン(ts)らメンバーも豪華で、一気にいろいろな人を見て、聴けて、そういう意味でも嬉しい公演でした。出演していたテレル・スタッフォード(tp)のアルバム。

TERELL STAFFORD (テレル・スタッフォード)
THIS SIDE OF STRAYHORN (MAXJAZZ 2010年録音)

  Thissideofstrayhornterellstafford

テレル・スタッフォード(tp)は、1966年の生まれで、ボビー・ワトソン(as)・グループに5年間在籍し、そこでの演奏で認められるようになりました。1995年には初リーダー作を発表し、その後比較的コンスタントにリーダー作を録音しています。今回は、ビリー・ストレイホーン曲集ですが、デイトンにおける1週間に亘るストレイホーンの功績を称えるフェスティバルに参加し、演奏をしたところから録音されたものです。

メンバーは、テレル・スタッフォード(tp,flh)、ティム・ウォーフィールド(ts,ss)、ブルース・バース(p)、ピーター・ワシントン(b)、ダナ・ホール(ds)。それぞれ活発な活動をしていて、ことにウォーフィールド(ts)は、クリス・クロス・レーベルからリーダー作をいくつも出していて、ここでも注目されます。編曲は、ピアノのブルース・パースが担当しています。

曲は、全てストレイホーンの作曲で、一部エリントンとの共作もあります。「Raincheck」、「Smada」、「My Little Brown Book」、「Lush Life」、「Multicolord Blue」、「U.M.M.G」、「Lana Turner」、「Day Dream」、「Johnny Come Lately」の9曲。この中で、多分初めて耳にする曲が、「Smada」、「My Little Brown Book」、「Multicolord Blue」、「Lana Turner」と4曲ありました。ジョー・ヘンダーソン(ts)の「Lush Life」(Verve)というストレイホーン曲集にも、この4曲は含まれていません。あまり知られていない曲を取り上げていることも、当アルバムの魅力の一つです。

曲により変化に富んだ演奏が聴けますが、テーマ部のサウンドやオブリガードなどが洗練されていてスムーズに音が流れていきます。スタッフォード(tp,flh)が緩急をつけた快心の吹奏を行っている「Smada」は、ウォーフィールド(ts,ss)やバース(p)のソロも聴きもので、これが一番よかった。早いテンポの「Raincheck」は明るく爽快感があって印象に残ります。バラードでは、スタッフォードがミュートを使っている「Little Brown Back」や「Multicolord Blue」がよく、後者はブルージー。スタッフォードは、ちょっとリー・モーガンを想わせるところがあります。

【富士通コンコードジャズフェス名古屋公演】

テレル・スタッフォード(tp)の「My Ideal」、ランディー・ブレッカー(tp)の「When I Fall in Love」、そして二人による「Woody'n You」とトランペットバトルが火を吹くようでよかった。ランディー・ブレッカーのハイノートや音色のよさにも感嘆。ロバータ・ガンバリーニ(vo)は、「Estate」、「Fly Me To The Moon」などの他に、テナー・サックスの二人が加わり「Take The A Train」、そしてアンコールにも応えてくれて「It Don't Mean A Thing」をやってくれました。

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ロレツ・アレキサンドリア FROM BROADWAY TO HOLLYWOOD

2013-06-05 20:56:20 | ヴォーカル(L~R)

6月に入り、ようやく飲み会が少なくなってきたので、夕食をたまに自分で作っています。友人から、近頃のインスタントラーメンは昔と違っていいよと言われたので、それにしてみました。確かに麺は、ツルツルして従来のものとは一線を画し、なかなかいけます。深夜に作って食べてしまいそうなので、ほぼメタボの僕としては気をつける必要があります(笑)。体格のいい女性歌手。

LOREZ ALEXANDRIA (ロレツ・アレキサンドリア)
FROM BROADWAY TO HOLLYWOOD (TRIO 1977年録音)

  Frombroadwaytohollywood

ロレツ・アレキサンドリア(vo)は、ホームページに掲載したお気に入りのジャズ・ヴォーカリストです。これはややポップス寄りの作品で、異色作と呼んでも差し支えないものですが、変幻自在に、しなやかに見事な歌を聴かせます。中でも「Send in The Clowns」は、踊れるヴァージョンの所謂クラブジャズとしてロンドンを皮切りに知られるようになりました。

伴奏のメンバーは、ブルー・ミッチェル、スヌーキー・ヤング、バディ・チルダース(以上tp)、フランク・ロソリーノ(tb)、マーシャル・ロイヤル、アーニー・ワッツ、ドン・メンザ(以上sax,fl)、アート・ヒラリー(p)、ギルド・マホーネス(p)、アーサー・アダムス(g)、ケニー・バレル(g)、スタンリー・ギルバート(b)、アンディ・シンプキンス(b)、ジミー・スミス(ds)ら。各曲でソロも入ります。誰がとっているかは、裏面のレナード・フェザーが書いたライナーノートに詳しく載っています。

タイトルどおり、曲はミュージカルと映画からのものがほとんどで、「One 」(「コーラスライン」から)、「Change Partners」、「Come Sunday」、「The Bright Lights And You」、「Send in The Clowns」、「Where is Love」(「オリバー」から)、「You Brought A New Kind Of Love To Me」、「Maybe This Time」(「キャバレー」から)、「You Leave Me Breathless」で9曲。編曲は、アート・ヒラリーとギルド・マホーネスが担当しています。

大型コンボによる伴奏が心地よく、それをバックにロレツ・アレキサンドリア(vo)のラテン系を含むリズムに乗った華麗な歌唱が続きます。「One」や「Change Partners」、「Send in The Clowns」が、そういう系統として挙げられます。バラードでは、デューク・エリントン作「Come Sunday」が熱唱で心に残り、デュークへの敬愛の念が込められているかのようです。伴奏や編曲も面白く、「Maybe This Time」のイントロはまるで歌謡曲のようで楽しいし、随所で入るブルー・ミッチェル(tp)らのソロも作品の価値を高めています。

【十年ぶりくらいに自分で作ったインスタントラーメン】

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盛り付けにセンスもなく全く美味しそうに見えませんが、結構なものでした。チャーシューとメンマも近くのスーパーで買ってきたものです。モヤシ炒めも乗せてみました。今夜は手早く用意できるものばかりで、他に、ベーコンとモヤシの炒め物、冷ややっこ、キューリとトマト。そしてビール(350mm)です。やっぱりカロリー過多ですね。


ルイス・ナッシュ IT DON'T MEAN A THING

2013-06-02 18:53:16 | ベース・ドラムス

僕の珈琲好きを知っている東京に住む親戚から、コーヒーの粉と豆をいただきました。粉の方は、新宿ヤマモトコーヒー店の詰め合わせギフトです。今日はこの中からブルーマウンテンをいれてみました。ちょっと薄くなってしまいましたが美味でした。そして、もう一つは業務用の豆です。実はミルを持っていないので、どこかで挽いてもらうか、それとも手回しのミルを買おうかと思案中です。安くて使いやすいものはないでしょうか。上質なドラムス作品。

LEWIS NASH (ルイス・ナッシュ)
IT DON'T MEAN A THING (M&I 2003年録音)

  Itdontmeanathinglewisnash

ルイス・ナッシュ(ds)は、あちこちのセッションに引っ張りだこで録音は多いのですが、リーダー作は少なく、本作は2作目に当たります。1958年生まれで、1980年代にベティ・カーター(vo)の伴奏を務めた後、90年代にはトミー・フラナガン・トリオの一員として活動し、その後は自己のグループを率いています。今年は、富士通コンコードジャズフェスで来日します。

ルイス・ナッシュ(ds)、スティーブ・ネルソン(vib)、ピーター・ワシントン(b)、ジェブ・パットン(p)というメンバー。ほとんどがヴァイブの入ったトリオの演奏で、パットン(p)が加わりカルテットとなるのは3曲だけです。ナッシュは、リーダー作であるこの作品ではところどころでソロもとっています。けれども、決してうるさくありません。ネルソン(vib)のプレイにも興味が集まります。

曲は、ジャズオリジナルも含めスタンダードがほとんどです。「It Don't Mean A Thing」(スイングしなけりゃ意味ないね)、「Caravan」、「Sophisticated Lady」、「Tico Tico」(ティコ・ティコ)、「Body and Soul」(身も心も)、「Close Your Eyes」、「How Insensitive」、「We'll Be Together Again」、そしてホレス・シルヴァー作「Strollin」とナッシュ自作の「Skeeter Blues」で10曲。「Tico Tico」はほとんどジャズではやらないので、目にした時にはびっくりしました。

タイトルどおり、よくスイングしており、ナッシュ(ds)のソロ・プレイはメロディアスです。「Caravan」や「Tico Tico」では、3人がドライブし、ワシントン(b)の引き締った音によるランニングベースも目立ちます。ミディアムテンポの「Close Your Eyes」におけるネルソン(vib)のプレイは小気味よく、和音の響きも面白い。カルテットでやったものでは、「We'll Be Together Again」が美しいバラードになっていました。

【テーブルの上の珈琲】

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