安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジョン・ヒックス MUSIC IN THE KEY OF CLARK

2013-08-11 08:09:46 | ピアノ

先週、豊丘村(長野県下伊那郡)へもも狩りに行ってきました。その際、農園主からお話を伺ったのですが、7月上旬から8月下旬まで、桃をならせるために、14種類の桃の木を植えてあるそうです。昨年は7千人の入場者があったそうですが、今年も好調で、バスツァーの団体がちょうど入ってくるところでした。親族で農園を継ぐ人がいないところから、やりたいと手を挙げた若手に農園主が技術を教えている最中だそうです。先輩に敬意を表したアルバム。

JOHN HICKS (ジョン・ヒックス)
MUSIC IN THE KEY OF CLARK (HighNote 2001年録音)

  Musicinthekeyofclarkjohnhicks

ジョン・ヒックス(p)のアルバムについては、Theresaレーベルの「In Concert」を取り上げたことがありますが、今回は、コンポーザーズピアニストに捧げた一連のものの中から、ソニー・クラークのものを聴いてみました。他にも、ビリー・ストレイホーン、エロール・ガーナー、メリー・ルー・ウィリアムス、アール・ハインズのものがあります。

ソニー・クラーク(p)については、本国ではほとんど知られていないようですが、ヒックスがクラークに注目して、このようなアルバムを残してくれたのは、嬉しいことです。メンバーは、ジョン・ヒックス(p)、ドウェイン・ドルフィン(b)、セシル・ブルックスIII(ds)。このトリオは、HighNoteレーベルに何作も録音していて、当時のレギュラートリオです。ドルフィン(b)のベースは強力で、「Sonny's Crib」などにおいて、ヒックスの力強いプレイに対応しています。

曲は、ヒックスのオリジナルとソニー・クラークの曲が収録されています。ヒックスの自作が、「Pocket Full of Blues」、「My Conception Prelude」、「Angel With A Briefcase」、「Clark Bar Blues」、「Sonny Side Up」、「A Sonny Day」、クラークのものが、「My Conception」、「Cable Car」、「Sonny's Ballad」、「Minor Meeting」、「I Deal」、「Sonny's Mood」、「Sonny's Crib」で全13トラックです。クラークの作曲したものの中には、メロディがすぐに浮かんでくるものもあり、親しみが湧きます。

企画の面白さに加え、ジョン・ヒックス(p)が好調で、佳いアルバムになりました。「Pocket Full of Blues」は、明るく跳ねるようなメロディを持ったヒックスのオリジナルですが、3人のソロも快調で、素晴らしい。ソニー・クラークの曲も、現代のハードバップとして演奏されていますが、それぞれ聴きどころがあり、例えば、「Minor Meeting」は、ファンクっぽいリズムでブルージーですし、「Sonny's Ballad」は、ソニーへの思いが込められているような抒情を感じます。ソニー・クラークに言及しているライナー・ノートも興味深いものでした。

【豊丘村でもも狩り】

たわわに実っています。桃の種類は、「あかつき」です。冷蔵庫で冷やしておいて美味しくいただきました。

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ブッカー・アーヴィン THE SONG BOOK

2013-08-07 20:39:22 | テナー・サックス

最近、車のCDプレイヤーの調子がおかしく、情報が読み取れず聴くことができませんでした。CDプレイヤーの取り替えを考えていたのですが、TUTAYAにDVDを借りにいったら、レジの横に車載用CDのレンズクリーナーがあったので、試しに買ってみました。さっそくクリーニングしたところ、まだ完全ではないですが、聴けるようになり、思わぬ優れモノに感激しました。もっとも、知らなかったのは僕だけで、CDレンズをクリーニングすることは常識らしいです(苦笑)。試しにかけてみたCD。

BOOKER ERVIN (ブッカー・アーヴィン)
THE SONG BOOK (Prestige 1964年録音)

  The_song_book

夏の盛りにブッカー・アーヴィン(ts)の豪快な演奏では暑苦しくなりそうですが、このアルバムでは、スタンダードばかりを取り上げ、ピアノにはトミー・フラナガンを起用しているので、落ち着いたところがあり、ハード一辺倒ではありません。掲載したジャケットは、日本盤LPのものですが、彼の服装は、夏向きではありませんね(笑)。

メンバーは、ブッカー・アーヴィン(ts)、トミー・フラナガン(p)、リチャード・デイビス(b)、アラン・ドウソン(ds)。プレスティッジ・レーベルには、アーヴィンのブックシリーズが4枚ありますが、このソング・ブックはすべてスタンダードが選曲されています。他の3枚もそれぞれ面白く、「The Space Book」をはじめたまに聴いていました。

曲は、「The Lamp is Low」(亡き王女のためのパヴァーヌ)、「Come Sunday」、「All The Things You Are」、「Just Friends」、「Yesterdays」、「Our Love is Here to Stay」の6曲。「The Lamp is Low」は、ラヴェルの曲のアダプテーションで、日本盤LPでは「ラヴェルのパヴァーヌ」という表記でしたが、1999年発売の紙ジャケットCDから「The Lamp is Low」の曲名とすることが遺族により許可されたそうです。アダプトとはいいながらそっくりなので、ラヴェルの遺族のいい分も、もっともだと僕は考えますが、許可が出てよかった。

アーヴィン(ts)は、黒っぽい音色で吹きまくる一方、バラードでは原曲を大事にして情緒豊かな演奏をしています。時々、長く伸ばした音を下降させる特徴もみられます。早いテンポの「The Lamp is Low」や「All The Things You Are」では、息もつかせぬようなアーヴィンのソロが聴け、スローテンポの「Come Sunday」は、深い音による寂しさがこみ上げてくるような印象深い演奏。フラナガン(p)やリチャード・デイビス(b)もソロをとりますが、「Yesterdays」におけるフラナガンのソロは、上品で美しい。

【TDK カーCDレンズクリーナー】

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ワンダ・ヂ・サー SOFTLY!

2013-08-04 12:07:18 | ヴォーカル(S~Z他)

先日、アメリカのミズーリ大学の先生や学生さんとお話をする機会がありました。米国大学生日本文化研修プログラムで来日し、飯田市(長野県)で今田人形浄瑠璃を研修し、その成果を「いいだ人形劇フェスタ」で上演をする皆さんです。お土産にミズーリ州の車のナンバープレートをいただきましたが、PRでしょうか、ナンバーの他に「SHOW-ME STATE」と記載されていました。これは日本では考えられないですね。若々しい歌声でボサノヴァを。

WANDA de SAH (ワンダ・ヂ・サー)
SOFTLY! (Capitol 1965年録音)

  Softlywandadesah

ボサノヴァというと、アストラッド・ジルベルト(vo)やスタン・ゲッツ(ts)のアルバムを思い浮かべますが、ワンダ・ヂ・サーのこれも忘れることができません。キャピトル・レーベルらしく、編曲伴奏にポピュラー色が濃く、ヴォーカル作品といっていいものです。この6月、1200円の国内盤CDがリリースされたのでゲットしました。解説や歌詞の対訳が付いていて良心的な作りです。

彼女は、1944年ブラジルの生まれで、ロベルト・メネスカルにギターを習い、歌も始め、彼のプロデュースでデビュー作をリリース。セルジオ・メンデス・トリオのアメリカ・ツァーに同行して渡米。そして、このアルバムを録音しています。伴奏は、ジャック・マーシャル編曲指揮によるオーケストラですが、メンデス・トリオの2人やバド・シャンク(fl)が参加しているようです。

曲は、どこかで耳にした有名曲が収録されていて、ボサノヴァを普段聴かない方にもなじめるアルバムです。「Ho Ba La La」、「Samba De Orfeu(Sweet Happy)」(オルフェのサンバ)、「Corcovado(Quiet NIghts)」(コルコヴァード)、「Aruanda」、「The Dreamer」(夢みる人)、「So Dance Samba」、「Once I Loved」(過ぎし日の恋)、「Who Knows」、「Tem Do」、「With Feeling」、「Agua De Beber」(おいしい水)の11曲。

ブラジルのリズム陣とストリングスをバックに、ワンダ・ヂ・サーは、可憐で、優しく、時に儚げに歌っていき、夏の暑い日に心地よく聴ける一枚です。僕が好きな曲である「The Dreamer」では、彼女の伸びのある歌声が美しく、バックのラッシュなストリングスも効果的です。「Who Knows」や「Tem Do」では、リズムに乗りクール気味に歌っていますし、ポルトガル語で歌われる「おいしい水」も伴奏を含め躍動感があり、ボサノヴァというイメージに相応しいアルバムです。

【アメリカからのお土産】

ミズーリ州のナンバープレートです。

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