安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ピート・マリンベルニ DON'T BE SHY

2014-10-15 22:40:10 | ピアノ・トリオ

高速道の松本インターを降りて、どこかで遅い昼食を食べたいと思いながら走っていたら、支留比亜珈琲店(しるびあ珈琲店)というお店があったので試しに入ってみました。コメダ珈琲店と同じく名古屋が発祥のようですが、支留比亜は、ボリュームのあるカツサンドなど食べ物で特徴を出しているようでした。珈琲とカツサンドの味はそこそこでしたが、落ち着けてよかった。ボリュームを上げて聴きたいアルバム。

PETE MALINVERNI (ピート・マリンベルニ)
DON'T BE SHY (Sea Breeze 1987年録音)

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マリンベルニ(p)は、レザボアレーベルに多くの録音を残していますが、これは彼の初リーダー作です。1957年生まれで、ちょうど30歳の時の吹きこみですが、ハード・バップベースにビル・エヴァンスからの影響がみてとれます。録音の良さも手伝っているとは思いますが、磨き抜かれたピアノのサウンドが素晴らしい。

メンバーは、ピート・マリンベルニ(p)、デニス・アーウィン(b)、メル・ルイス(ds)。リーダーばかりでなく、メル・ルイス(ds)のドラミングも聴きどころです。ことにブラシの音が豊かで素晴らしく、サド・メル楽団のイメージが強く、ビッグ・バンドの人と思っていたので、意外な発見でした。大きな音量で聴きたくなります。

曲は、スタンダードが「Who Cares」、「I Love You」、「I Fall In Love Too Easily」、「Beautiful Love」、「Nardis」、「The Star-Crossed Lovers」、「For Heaven's Sake」の7曲、セロニアス・モンク作「Ugly Beauty」、作者不詳の(マリンベルニ作?)「Hester Prynne」と「Don't Be Shy」で全10曲。CDでは、「I Love You」と「Beautiful Love」が追加されています。「Nardis」は、スタンダードの中に入れました。

マリンベルニ(p)の瑞々しいプレイで、有名曲が楽しめます。1曲目の「Who Cares」のイントロを経てテーマが始まると、3者一体のスイングしたプレイに自然と笑みがこぼれました。スロー・テンポの「I Fall In Love Too Easily」や「The Star-Crossed Lovers」には詩情が溢れています。CD追加の「I Love You」や「Beautiful Love」も決して残りものではなく、後者ではメル・ルイス(ds)が活躍し、ハードバピッシュになっているのが面白い。他にも「For Heaven's Sake」におけるマリンベルニのメロディアスなロング・ソロやデニス・アーウィン(b)のソロなど、聴きどころがたくさんあります。

【支留比亜珈琲松本島内店】

住所:長野県松本市島内4105-1
お店のホームページ:支留比亜珈琲松本島内店

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松本インター方面とは反対側から撮ったものです。看板が目立ちます。

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駐車場が広くて駐車しやすいためか、女性客が多かった。松本の島内近辺では、他に適当なところがないせいかもしれません。

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仕切りの向こう側は、喫煙のスペースでした。

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このカツサンドはボリュームがあります。


レスリー・アガムス SO IN LOVE

2014-10-12 09:18:08 | ヴォーカル(L~R)

新潮文庫の「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(小澤征爾、村上春樹著)を読みました。単行本で3年ほど前に出ていたのですが、この7月に文庫化され、しかも村上春樹のエッセイ『厚木からの長い道のり』が収録されていたので買いました。最初から最後まで、興味深い話の連続で、興奮気味に読み終わりました。多くはクラシックに関する内容ですが、音楽づくりの面白さ、たいへんさが伝わってきます。クラシックに少し近いヴォーカリストです。

LESLIE UGGAMS (レスリー・アガムス)
SO IN LOVE (COLUMBIA 1963年頃録音)

   Soinloveleslieuggams

レスリー・アガムス(vo)は、1943年ニューヨーク生まれの歌手兼女優ですが、現在も現役でステージに立っています。7歳の時からショー・ビジネス界に入っていますが、有名になったのは、60年にミッチ・ミラー(プロデュサー、合唱団指揮者)に見出されてからです。67年には、「Hallelujah Baby」でトニー賞を受賞しており、ミュージカルの世界でも活躍しています。

このアルバムは、63年の録音で、プロデューサーはミッチ・ミラー、編曲と指揮はグレン・オッサーが担当しています。ストリングスやハープをきっちりと使った豪華な伴奏で、ミッチ・ミラーが相当力を入れて制作に当たったのだろうと思います。このレコードは、よく売れたのか中古市場に出回っているようで、比較的容易に入手できます。

曲は、スタンダードです。「Glad to Be Unhappy」、「Serenade In Blue」、「April In Paris」(パリの四月)、「Smoke Gets in Your Eyes」(煙が目にしみる)、「Tenderly」、「Alone Together」、「Spring Will Be A Little Late This Year」、「Once Upon A Time」、「Someone to Watch Over Me」(やさしき伴侶を)、「Love Walked In」(忍び寄る恋)、「So In Love」の12曲。有名なスタンダード・メロディを聴いてみるのに最適です。

レスリー・アガムスの高音までよく伸びる声による爽やかな歌唱でスタンダードが楽しめます。ジャズ的要素はほとんどありませんが、ヴォーカルものとして秋の夜長に聴くのに相応しい。ミディアム・テンポでサビの部分が魅力的な「Serenade In Blue」、どの音符もしっかりと歌われている「Smoke Gets In Your Eyes」、ドラマティカルな「Alone Together」、流れるようなリズムに乗った「So In Love」といったところが印象に残ります。

【レスリー・アガムス・ホームページ】

ホームページ:Leslie Uggams com

【小澤征爾、村上春樹著 小澤征爾さんと音楽について話をする(新潮文庫)】

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村上春樹は、「楽譜を読み込む」ことと「文章を書く」ことの違いはあれ、二人の共通点として、集中して仕事をすることと、その『集中の深さ』を挙げています。『厚木からの長い道のり』では、小澤征爾と大西順子が松本市で開催された2013年のサイトー・キネン・フェスティヴァルで「ラプソディー・イン・ブルー」を共演するまでのいきさつなどを書いています。


レッド・ガーランド THE RED GARLAND TRIO WITH EDDIE "LOCKJAW" DAVIS

2014-10-08 21:17:06 | ピアノ

大町市経由で長野市へ帰る途中、「居谷里湿原」に寄ってみました。この湿原は、幅130メートル、長さ約1.5キロメートルで、昭和46年に長野県天然記念物に指定されています。春から夏にかけて、ザゼンソウやミズバショウなどのいろいろな花が咲きます。しかし、今の時期は訪れる人も少なく、誰もいない静まり返った遊歩道を、あたりを眺めながらゆっくりと歩いてきました。トンボが、僕の肩や手に停まって歓迎してくれました。スローテンポの心地よい音楽。

RED GARLAND (レッド・ガーランド)
THE RED GARALND TRIO WITH EDDIE "LOCKJAW" DAVIS (Moodsville 1959年録音)

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レッド・ガーランド(p)は、マイルス・デイビス・グループで活躍した強力なピアニストですが、シングルトーンにブロックコードというスタイルは、スローテンポなムーディーな演奏にも向いています。そのせいか、Moodsvilleレーベルのカタログの一番はじめは、このレッド・ガーランドのアルバムです。

メンバーは、レッド・ガーランド(p)、エディ・ロックジョー・デイヴィス(ts)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds)。エディ・ロックジョー・デイヴィスは、カウント・ベイシー楽団における活躍が知られていますが、強烈なブロー、個性的な節回しで、好き嫌いの分かれるプレイヤーかもしれません。

曲は、エディ・デイヴィス入りのカルテットで演奏されるものが、「We'll Be Together Again」、ガーランド作「Softly Baby」、「When Your Lover Has Gone」の3曲、ピアノ・トリオで、「Stella By Starlight」(星影のステラ)、「I Heard You Cried Last Night」、「Wonder Why」、「Blue Room」、ガーランド作「The Red Blues」の5曲で、全8曲。スタンダードが6曲に、ガーランド作が2曲です。

この4人による職人技とでもいうべき、リラックスした癒し系の音楽が楽しめます。ピアノ・トリオで演奏されるものの中では、ガーランド(p)のスタイルの特徴が良く出ている、イン・テンポになってから歯切れがよい「Wonder Why」や纏面とした情緒を醸しだす「Blue Room」が見事です。エディ・ロックジョー・デイヴィス(ts)は、スローテンポのものでも迫力があり、「We'll Be Together Again」や「When Your Lover Has Gone」で、太く逞しい音色でムード豊かに吹いています。

【居谷里湿原】

住所:大町市大町
紹介ホームページ:大町市観光協会ホームページ

花や蝶の名前は、その方面に造詣の深い知人から教えてもらいました。彼によると、居谷里湿原には、「ハッチョウトンボ」や「ミヤマキシタべ」という珍しい種類の昆虫がいるようです。花を見るなら6月が一番いいということなので、来年はその頃に出かけるつもりです。

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湿原の周囲に遊歩道が整備されているので、散策がしやすい。

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青いつぼみのような花は、「ヤチアザミ」。

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中央に写っていて、穂先のように見えるのは、「サラシナショウマ」。

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蝶。メスグロヒョウモン(メス)

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蝶。メスグロヒョウモン(オス)        

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トンボ。「アキアカネ」。


ジャッキー・マクリーン JACKIE McLEAN QUINTET

2014-10-05 09:55:11 | アルト・サックス

父が蕎麦を食べたいというので、安曇野市豊科の「うちぼり」へ行ってきました。米が一番で、そばやうどんは、米が無い時に臨時に食べるものだと父は言っていたのですが、高齢になったせいか、蕎麦を食べたいというリクエストがたまにきます。安曇野市には蕎麦屋がたくさんありますが、「うちぼり」のものは美味しい。食べ始めの一口目がうまいことが肝要ですが、このお店は、その期待に応えてくれます。一音聴いただけで、名前がわかるサックス奏者。

JACKIE McLEAN (ジャッキー・マクリーン)
JACKIE McLEAN QUINTET (jubilee 1955年録音)

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フクロウのような猫ジャケットがユーモラスなジャッキー・マクリーン(as)のアドリブ原盤のアルバムです。僕のもっているのは、日本盤LPですが、学生時代に購入したまま、愛着があって未だに手放せないでいます。アドリブ原盤のジャケットでCDも出ているので、そちらでお持ちの方もいらっしゃると思います。本作は、マクリーンの初リーダー作に当たります。

メンバーは、ジャッキー・マクリーン(as)、ドナルド・バード(tp)、マル・ウォルドロン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、ロナルド・タッカー(ds)。一番の年長が、マル・ウォルドロンで当時29歳、他のメンバーは20歳代前半です。それぞれ新進気鋭で、録音年の3月に亡くなったチャーリー・パーカーの跡を継ぐ一人となったマクリーンをはじめ、ハードバップの最前線で活躍したミュージシャンばかりです。

曲は、スタンダードとメンバーの自作です。スタンダードが、「It's You or No One」、「The Way You Look Tonight」(今宵の君は)、「Lover Man」、マクリーン作「Blue Doll」と「Little Melonae」、ウォルドロン作「Mood Malody」の全6曲。マクリーンの「Little Melonae」は、彼の代表作であり、ぎくしゃくしたメロディーを持っていますが、一度聴くと覚え込んでしまいます。「Lover Man」は、パーカーがダイアル・レーベルに録音したことでも知られています。

フレッシュで青春の息吹を感じさせる作品です。学生時代に初めて聴いた時、勢いがあって、吹っ切れたように演奏するマクリーン(as)とバード(tp)に憧れを覚えました。彼らが、まさにやりたいことを実現しているかのように思えたのです。「The Way You Look Tonight」は、甘い音色のマクリーンがパーカー流に吹き、また、バードもクリフォード・ブラウンを髣髴とさせるソロをとっています。マクリーンの自作「Little Melonae」は、テーマも忘れられませんが、ウォルドロン(p)を含む3人のソロが熱く、若さが感じられます。

【うちぼり】

住所:長野県安曇野市豊科南穂高571-3
TEL:0263-72-8342
営業時間:11:00~14:00、17:00~20:00 ※蕎麦が無くなり次第終了
定休日:火曜日(8月は営業)

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安曇野インターから豊科市街に向かって、比較的近いところにあります。

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盛りがよく、蕎麦の量が多く、天ぷらも美味しい。


ヤン・ラングレン PLAYS COLE PORTER LOVE SONGS

2014-10-01 21:55:28 | ピアノ・トリオ

友人から、軽井沢町発祥の丸山珈琲のブレンド(粉)をいただきました。さっそく、淹れて飲みましたが、すっきりとして美味しい。妻もこの珈琲は美味しいと、珍しく賛意を唱えています。従業員がバリスタ世界選手権に優勝したこともあって、丸山珈琲の知名度は全国的に上がっているようです。珈琲タイムに相応しい優しげなピアノを。

JAN LUNDGREN (ヤン・ラングレン)
PLAYS COLE PORTER LOVE SONGS (Marshmallow 2006年録音)

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ヤン・ラングレン(p)のコール・ポーター作品集です。曲目はおなじみのものばかりなのですが、5曲で全く聴いたことのないヴァースが演奏されていて、非常に驚きました。しかも、演奏の密度が濃くて、ラングレンの作品中でも大事にしたいアルバムです。

メンバーは、ヤン・ラングレン(p)、イェスパー・ルンゴー(b)、アレックス・リール(ds)。3人ともデンマークのミュージシャンです。ラングレンのマシュマロ・レーベルにおける7作目だそうですが、ルンゴー、リールと組んだトリオは、最高の組み合わせです。そして、本CDは録音がよいことも特徴で、ピアノの音の強弱、減衰がとらえられ、ベースやドラムスの音もくっきりとしています。

コール・ポーターの作品集です。ヴァースも演奏されているのが、「When Loves Comes Around」、「At Long Last Love」、「What is This Thing Called Love」(恋とはなんでしょう)、「Easy To Love」、「I Love You」の5曲です。他に、「I Love Paris」、「You'd Be So Nice To Come Home To」(帰ってくれれば嬉しいわ)、「So In Love」、「Everytime We Say Goodbye」(いつもさよならを)、「Love For Sale」(恋の売り物)、「True Love」の6曲で全11曲。

ラングレン(p)が、響きを大事にしながら丁寧に弾いています。「What is This Thing Called Love」のヴァースは、ポーターならではの美しいメロディで、それをはじめ5曲のヴァースを世に出しただけでも意義があります。また、演奏は派手なことはやっていませんが、曲の良さを引き出しています。冒頭の厚みのある和音ですぐに惹きこまれる「I Love Paris」、この上なくロマンティックな「When Loves Comes Around」、リラックスしたリズムも心地よい「At Long Last Love」など、じっくりと楽しみたいアルバム。

【丸山珈琲】

お店のホームページ:丸山珈琲

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いただいた珈琲の粉と、淹れた珈琲。

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丸山珈琲の長野店(長野市青木島4-4-5 青木島ショッピングパーク1F)入り口

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長野店の販売コーナー

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ケーキセットです。お客様がいっぱいだったので、店内撮影は自粛しました。