安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

スティーヴ・キューン COUNTDOWN

2015-06-21 08:00:12 | ピアノ・トリオ

JR長野駅の駅ビル「みどり」の屋上には、夏のシーズンにビア・ガーデンが開設されます。既に営業を開始していたので、たまには、空の下で飲むのもいいかと、職場の仲間と数年ぶりに寄ってみました。いくらか涼しい風に吹かれながら、ピッチが上がり続け酩酊しました。自宅まで歩いて帰ったのですが、転倒などせずに無事でよかった。スピード感のあるプレイです。

STEVE KUHN (スティーヴ・キューン)
COUNTDOWN (RESERVOIR 1998年録音)

   

スティーヴ・キューン(p)に対しては、特にECMの作品によって、耽美的、抽象的なプレイをするという印象を抱いていました。もっとも、その印象は初期のころのもので、80年代以降は様々なアルバムを出していて、このレザボアレーベルへの録音は、右手のシングルラインを中心とし、リズムもはっきりとしたものです。

メンバーは、スティーヴ・キューン(p)、デヴィッド・フィンク(b)、ビリー・ドラモンド(ds)。ドラムやベースのソロが入るものもありますが、基本的に、キューンのピアノを中心としたトリオ演奏です。それにしても、キューンのピアノの音(サウンド)は最高で、水も滴る美音とか、豊潤と言うような形容をしたくなります。ルディ・ヴァン・ゲルダーが録音に当たっていて、そのせいもあるのかもしれません。

曲は、ジャズ・スタンダードとキューンのオリジナルなどです。コルトレーン作「Countdown」、スティーヴ・スワロ―作「Wrong Blues」、マイルス・デイヴィス作「Four」、ベニー・カーターの「When Lights Are Low」、キューンの自作が「Chalet」、「Last Year's Waltz」と「Tomorrow's Son」、あとはスタンダードで、「Why Did I Choose You?」、「She's Funny That Way」、「Speak Low」の全10曲。キューンの自作も有名なもので、親しみやすい選曲です。

キューンの鮮烈なサウンドによる爽快なプレイが楽しめ、ブルージーさは少ないですが、ハードバップの好きな方にもいいのではないでしょうか。「Countdown」における、キューン(p)の小気味良いプレイでまず引きずり込まれます。「Last Year's Waltz」の出だしの、妖しいフレーズとタッチは、彼ならではのもので、個性が際立ちます。おなじみの「When Lights are Low」や「Speak Low」は、メロディをくっきりと出し、バウンドもする楽しい演奏。

【ビアガーデン 長野市駅ビルみどり屋上】

スマホによる酔いながらの撮影なので画像はよくありません。

   

予約だけで満席のようでした。

   

屋上からの長野駅前の様子


高島城(長野県諏訪市) 

2015-06-19 21:07:36 | お出かけ・その他

先日、甲府市のジャズ喫茶アロマに出かけたのですが、途中少し時間があったので、諏訪インターで降りて、高島城に寄りました。城内に入るのは、実は今回がはじめてです。高島城は、日根野高吉により文禄元年(1592年)に着工され、慶長3年(1598年に完成。廃藩置県で取り壊され、本丸跡は高島公園となりました。現在の天守などは、昭和45年(1970年)に復興されたものです。(パンフレットより)

   

   

諏訪湖と河川に囲まれた水城で、難攻不落といわれたようです。

   

   

冠木橋(かぶらぎばし)と冠木門

   

本丸跡は公園として整備されています。公園内からの天守閣の眺め。

   

天守閣。高さ20.2m、三層。天守台は、12.54m(石垣)

   

天守からの諏訪湖方面の眺め。江戸時代に埋め立てられたようですが、その前は、お城の脇まで諏訪湖でした。

   

天守からの南方向の眺め。一帯は公園です。

   

角櫓(すみやぐら)。今回ぐるっと歩いてみて、最も気に入ったたたずまいです。

【高島城】

住所:長野県諏訪市高島1丁目20番1号
問い合わせ:0266-53-1173

【お城スタンプラリー】

大垣城築城480年を記念して、大垣観光協会と中日本高速道路株式会社がお城スタンプラリーというものを開催しています。大垣城を含めた5つ以上のお城のスタンプを集めると、参加賞などがもらえます。本日は高島城のスタンプをゲットしたので、あと4つですが、松本城を除き、遠いところばかりなので5つまでやるか思案中です。松江城が国宝に指定されるようですし、姫路城も海外から注目を集めていて、いいタイミングの企画です。

   


バーニー・ケッセル SOME LIKE IT HOT

2015-06-17 21:18:53 | ギター

いまの職場の事務室は、北側に面していて、外光があまり入らず暗くて、気温もかなり低めです。部屋が殺風景なこともあり、耐寒性のある観葉植物を置いてもらいました。そうしたら、最近、白い花をつけてくれたので感動しています。ユリ科のオリズルランという種類で、花は珍しいものではないようですが、この環境下なのによく咲いてくれました。華やかなアルバム。

BARNEY KESSEL (バーニー・ケッセル)
SOME LIKE IT HOT (Contemporary 1959年録音)

   

ビリー・ワイルダー監督のコメディ映画「お熱いのがお好き」のタイトル曲をはじめ、この映画に使われた曲をバーニー・ケッセル(g)が演奏したアルバムです。映画の方は、マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモンなど出演の超有名作品ですね。僕も、2回ほどDVDを借りてきて観ましたが、最後の落ちも素晴らしく、面白いコメディです。列車の中で、ウクレレを弾きながら歌うマリリン・モンローの姿は忘れられません。

メンバーは、バーニー・ケッセル(g)、アート・ペッパー(cl, as, ts)、ジョー・ゴードン(tp)、ジミー・ロウルズ(p)、ジャック・マーシャル(rhythm g)、モンティ・バドウィック(b)、シェリー・マン(ds)。ケッセルのリーダー作ですが、アート・ペッパーが参加していることが、日本のジャズファンの興味を惹いてきたのだろうと思います。しかも、ペッパーはクラリネットも吹いていて、50年代の貴重な録音です。

曲は、古いスタンダード中心です。「Some Like It Hot」(お熱いのがお好き)、「I Wanna Be Loved by You」、「Stairway to The Stars」、「Sweet Sue」、「Runnin' Wild」、「Sweet Georgia Brown」、「Down Among The Sheltering Palms」、「Sugar Blues」、「I'm Thru With Love」、「By The Beautiful Sea」の全10曲。

映画の場面を髣髴とさせる演奏で、ケッセル(g)はじめメンバーがご機嫌にスイングしています。「Sweet Sue」では、ペッパー(cl)、ケッセル(g)、ロウルズ(p)、ゴードン(tp)と短いながら整ったソロをリレーしています。ケッセル(g)が和音をつけてメロディーを弾き、バドウィック(b)が伴奏をつけるバラードの「I'm Thru With Love」は、ロマンティック。ペッパー(as)が舞い上がるようなソロをとっている「Runnin' Wild」と「By The Beautiful Sea」も聴きもの。

【オリズルランの花】

   

   

   


ART PEPPER [虹を求めて]

2015-06-15 21:32:12 | 読書

内藤遊人さんの編集で、1992年立東社から、ジャズ入門シリーズの一冊として発行された本です。当時、書店で買おうか迷い、結局書棚に戻しましたが、最近、中古本で購入できたので、早速読んでみました。入門とあるとおり、アート・ペッパーの生涯や音楽を概観できるコンパクトな本です。付属のCDは、1976年7月東京郵便貯金ホールにおけるライブ録音(2枚のLPとは別テイク)で、出版当時、ローリー夫人から提供された音源を使っています。

   

内容(目次)は次のとおり。

マルタが語るアート・ペッパー
アート・ペッパー・ストーリー
アート・ペッパー・インタビュー
サクソフォン・ファンタジー
  サクソフォン・ヒストリー入門
  名盤ベスト・セレクション
CDパート・ライナー・ノート
  1979年日本の夏のアート・ペッパー
  収録曲目紹介
スコア解説 (「Over The Rainbow」と「You'd Be So Nice To Come Home To」)
ディスコグラフィー 

以下、目次にそって、印象に残ったところを感想とともに記します。

マルタ(アルト・サックス奏者)が語るアート・ペッパー

・ペッパーとの出会いについて
『ジャズ喫茶で、ウェスト・コーストっぽい軽やかさで、しかもしっかりビ・バップしているアルトをきいたんだ。すごく魅力的でね。それがアート・ペッパーだったんだよ。』

・ペッパーは、ウェスト・コースト・ジャズ入門に最適ではないかという問いに対して、聴く方はそうかもしれないが、
『ペッパーという人はコピーしてもつかみどころがない人だね。・・・・鋭い感性の持ち主で、その場その場のノリで違うんだよね。だから、ペッパーのアドリブを譜面化して吹くっていうのは、すごく難しいんだ。』

・ペッパーの魅力を一言で語ってほしいという問いに答えて、
『チャーリー・パーカー的なビ・バップとウェスト・コースとの軽さがブレンドされた独特のプレイ、ということだろうね。』

日本を代表するアルト・サックス奏者の一人であるマルタさんのミュージシャンの立場からの発言ですが、簡潔にペッパーの魅力、個性を語ってくれています。

ペッパー・インタビューは1978年に行われたもので、ジャズライフ誌の同年5月号に掲載されたものを転載したものです。

・ウェスト・コースト派のミュージシャンと呼ばれることについては、どのように受け止めていますかという問いに答えて、
『ボクは、別にウェスト・コースト派という意識を持っていないんだ。ニューヨークの連中と演奏したとき、なにひとつ違和感のようなものを感じなかったし、連中もボクと同じような演奏法をしていたしね。』

・コルトレーンの影響について、
『ボクが影響をうけたミュージシャンといえば、真っ先にコルトレーンをあげるよ。・・・・彼のアプローチの仕方、コードの使い方、フレイジング、そして、フィーリングやサウンド自体まで、とにかく多大な影響だった。・・・・コルトレーン以外に強いていえば、ズート・シムスだね。』

ペッパー本人の率直な発言だけに間違いないのでしょうが、そこまで強く影響を受けたというのには、ちょっと驚きました。 

   

(1950年代の写真。文中から)

スコア解説「ユード・ビー・ソ―・ナイス・カム・ホーム・トゥ」

採譜と解説は、北原英司さんによるものです。北原さんは、コピー譜には、D♭音が頻繁に使われていて、ブルー・ノートを多用していることを指摘しています。そして、 こういうフレイズは、他のウェスト・コースターにはない黒っぽさを感じさせるが、例えば、ジャッキー・マクリーンにこれを吹かせると、もっとアーシ―で黒っぽくなるとして、ペッパーがそこまで感じさせないのは、おそらく音色とリズムの乗り方のせいだろうと解説しています。

また、繊細なヴィブラート、強いタンギングとソフトなレガートとのダイナミクスの落差、サブトーン、これらのニュアンスが黒人ではないペッパーの個性であり、かつウェスト・コーストの中でも際立った独特のスウィング感を醸し出しているのだと記しています。

マルタさんと同じ趣旨のことを書いていました。僕は、ペッパーマジックと勝手に名付けているのですが、北原さん指摘のダイナミクスは、たまらない魅力です。アルバム「Meets The Rhythm Section」をはじめ、とりわけ50年代の録音には、そうしたスリルが詰まっているように思います。

ディスコグラフィーを眺めていると、持っているものも多いのですが、新しいものを中心として、聴いてみたい作品がいくつもあって、ペッパーに対する興味が、再び湧いてきつつあります。付属のCDの方も、フリ―キ―なトーンを吹くところはどうかと思いますが、健在ぶりを伝える嬉しいものでした。

上記の本に付属している1979年の来日ライブCDに続いて、1977年4月5日に録音されたペッパーの初来日をとらえた「Tokyo Debut (邦題は、ファースト・ライブ・イン・ジャパン)」(Galaxy)も聴いてみました。カル・ジェイダ―・グループに加わっての来日でしたが、お客さんはペッパーに対して盛大な拍手を送っています。

   


チャールズ・トリヴァー IMPACT

2015-06-14 09:48:10 | トランペット・トロンボーン

蝶など昆虫や草花について教えてくれる友人がいますが、彼が編著者の一人である「見つけよう信州の昆虫たち」という本を奨められて購入しました。あわせて、「いっしょに探そう野山の花たち」という図鑑も買いました。この2冊を活用して、山や高原へ行く楽しみを拡げるつもりです。訊ねた方が早いので、また教えてほしいとは言ってありますが、手元にこういう本があると、暇な時にパラパラと読むのに都合がよい。サウンドがカラフルです。

CHARLES TOLILIVER (チャールズ・トリヴァー)
IMPACT (enja 1972年録音)

   

チャールズ・トリヴァー(tp)は、最近でもビッグ・バンドなどで作品を作っていますが、熱くて鋭いプレイで、1970年代に大いに注目されました。70年代半ばは、いろいろな傾向のジャズが流れていて、僕は、フリーやフュージョンにはあまりついていけなかったので、従来の延長線上にある、こういったジャズは結構聴きました。 

メンバーは、チャールズ・トリヴァー(tp)、スタンリー・カウエル(p)、ロン・マシューソン(b)、アルヴィン・クイーン(ds)。ミュンヘンのクラブ「ドミシル」におけるライブ録音です。トリヴァーの楽器は、正確にはフリューゲルホーンのようですが、出てくる音は鋭い。ドラムスが、アルヴィン・クイーンなのが嬉しいところ。このリマスター盤のCDのジャケットは、オリジナルとは、異なっています。

曲は、トリヴァーのオリジナルが、「Impact」、「Brilliant Circles」、「Our Second Father」。カウエルのオリジナルが、「Truth」、「Prayer for Peace」、「Abscretions」。全てオリジナルで、CDでは2曲 が追加されました。力強い曲が多い中で、カウエルの書いた「Truth」は、バラードです。

勢いのあるライブ演奏が繰り広げられています。「Impact」は、トリヴァー(tp)の高音やトリルを用いた吹奏もいいですが、カウエル(p)のソロがリズミックでかっこよく、また、クイーン(ds)のシャープで小刻みなリズムが力強い。「Truth」は、トリヴァーがスムーズに吹いていて、抒情性があり、マシューソン(b)もソロをとります。「Abscretions」では、クイーンのすさまじいスピードの、しかも音楽性のあるドラムプレイに驚きました。

【購入した2冊の本】

見つけよう信州の昆虫たち(信濃毎日新聞社)

   

いっしょに探そう野山の花たち(信濃毎日新聞社)