第 592回の 「企業の道徳的退廃」や昨日の第597回「日 本のかたちを取り戻す」 で80年代以後の日本の経営者の堕落を嘆いてきましたが、そんな経営者ばかりじゃないようです。
最近産経新聞で上田和男さんという方が時々面白い考えを書いているのは知っていたのですが、余り、詳しくは知らない ので取り上げてきませんでした。
ところが、何と、ここで取り上げて来た日本が取り戻すべきことをサムライ資本主義と名付けて書いてくれています。
産経WESTよ り 2014.12.18
【日本千思万考】 欲 望丸出し中国・欧米企業「拝金主義」は曲がり角 “サムライ資本主義”が世界をリードする
中国企業では経営陣と従業員の所得格差が300~1000倍といわれる(ブルームバーグ)
金融資本主義から公益資本主義へ
アダム スミスが「国富論」を書いて「神の見えざる手」という表現を用いた背景には、深い人間理解があったと言われ ております。すなわち、人間には誰 しも“弱く愚かな人間”と“強くて賢い人間”という二律背反する資質があって、前者が突出してしまうと、他の人のことな どよく考えずに短絡的な欲望に走っ てしまうが、一方で後者が前面に出てくることでそのバランスをとることができる-というわけです。
ある意味、産業革命以降の欧米先導の世界は、モノの豊かさを追い求めることにとらわれすぎて、株主資本主義と市場経 済万能主義が合体して「金融資本主 義」に行き着いてしまったように思われます。欧米や中華系資本家に代表される、いわゆる「モメンタムプレイヤー」と呼ば れるヘッジファンドやアクティビス ト(物言う投資家)、今流行のFXトレーダーなどはいずれも投機的なゼロサムゲームに過ぎず、人為的にバブルを起こし崩 壊させると言う暴挙がまかり通って きたことに、グローバル経済の害毒性、反社会性を痛感します。
近時日本も、こうした金融資本主義の迷惑を相当被っているものの、もともと「武士道の心」に立脚してきた明治から昭 和中期までの日本資本主義には、高 貴な志のもと、共通善を実践するという理念があったはずです。新渡戸稲造が紹介したように「武士道とは、仁智勇(博愛 心、智恵、勇気)の枠組みで支えら れ、行動する本質的な掟」であり、そのDNAを引き継いだ日本的経営が「国家、郷土、共同体などの公益を重視する理念」 を持っていたことに思いを致し、い まこそ原点回帰を目指すべきではないでしょうか。
アメリカやヨーロッパの資本主義が曲がり角にきている今、“侍”道による賢明なる資本主義、21世紀型の新鮮な「公 益資本主義」のリーダーシップを日本が担うべき最大のチャンスです。
悪徳アクティビストの出る幕なくせ
健全な自由資本主義世界をとりもどすには、まず欧米投機家の短期利益主導主義を排し、中長期的な投資を活発に促すよう な制度的変革が必要となります。例 えば、株主が株式の保有期間を長くすればするほど、配当額が増えるとか、資本利得に対する分離課税額が漸減するような制 度ができれば、悪徳アクティビスト の出る幕などなくせるでしょう。併せて、短期取引による過大な配当利得には、相応に過大な累進税を課すことが、必至条件 となります。
公益とは、現世および後世の国民や共同体、企業などにとって、「経済的および精神的な豊かさ」を意味しますが、その中 身は時代や社会の複雑性からも抽象 的なので、これを簡単に定義したり、法律文書化することは、かないません。そこで、必要不可欠な、要件を述べておきたい と思います。
まず企業経営でいうならば、事業の持続可能性でありますが、社会の繁栄こそ会社の利益に欠かせない案件である以上、ま ず公益と私益を一致させることが、 もっとも大切な柱になるといえそうです。「会社は株主のもの」という欧米資本家の論理や「企業も国家のもの」と考える旧 共産国家の資本論理とは違って「会 社は公器である」としてきた多くの日本企業の伝統に立脚し、内部留保を厚くし、まさかの危機にそなえるとともに、投資リ スクが高い開発費や設備投資を借金 でなく自前資金で賄えるような優遇税制が望まれます。
利益分配の公平性に関しては、アメリカや中国の経営陣と従業員の所得格差が、300~1000倍といわれるのに対 し、日本ではせいぜい10倍から15 倍しかないことを比較すれば、自ずと結論が出ております。欧米型のストックオプションという膨大な株価連動報酬や、旧共 産圏にはびこる過大な賄賂・利権と いう歯止めなき人間欲望の本質構造に、根源的な問題が潜んでいるようです。
総じて日本人の場合には、気配りや遠慮とか、何らかの歯止めが効くのか、極端な格差を生じさせない公徳心が働いている ようです。さらに、忘れてならない のは、事業の社会や顧客との関わり合い、すなわち安全・安心を高める商品の提供と絶え間ない改善・改良が、株主利益より 優先するという日本的な文化の独自性です。…中略
【プロフィル】上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業 後、住友金属工業(鋼管部門)に入 社。米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。米国支社総支配人とし てカセット世界一達成に貢献し、 57年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8年(1996)カナダへ 亘り、住宅製造販売会社の社長を勤 め、25年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。
いやあ、これ程私が常日頃ここに取り上げて来た考えをズバリと書いてくれたのはなかったですね。プロフィールを見る と、経営者でもあったんですね。そ れもアメリカやカナダです。それでいて、グローバリズムやマネーゲームに毒されずこうした考えを持っているとは素晴らし いですね。
この考え方は何時も取り上げさせてもらっているトッ テンの考え方とも殆ど同じです。ねずさんの考えにも通じますね。
この「サムライ資本主義」なる言葉を世界に広めるべきですね。但し、中・韓から撤退して日本の経営者がこうした考え をきちんと理解しないと駄目ですね。
そうなれば、日本は、放っておいても世界を牽引する景気を取り戻すでしょう。とは言いながら、これを実現するには相 当な時間が掛かりそうです。それまで、日本が持てば良いのですが。
それでも、目指すべき方向は見 えて来た!
第 4604回の「太陽電池と太陽風呂」や第 4979回の 「太陽の光と熱利用」などで何度も書いてきた太陽光と熱の両方を利用する方式が何故できないのだろうかと不思議でした。 やはり、コストの問題があるのかも しれませんが、それにしても、折角の太陽の熱と光を有効に利用することが実用化されないのには納得が行きませんでした。
ところが、ここに来て年末に素晴らしい記事がありました。とうとう、私の夢が実現するのかもしれません。ちょっと長 いですが、これだけは全文を取り上げさせてもらいます。
スマートジャ パンより 2014年12月26日
LIXILは 「屋根は資源」であり、屋根から得られるエネルギーで住宅内消費量の多くを賄うことができると考えている。2014年12月 には既築戸建住宅の屋根に「高効率太陽熱光ハイブリッドパネル」を設置した実証研究の成果を発表した。冬季の2月 に総消費エネルギーの約80%を賄うことができたという。 畑陽一郎
LIXILは2014年12月16日、 集熱と発電を一度に実現できる「高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステム」の実証実験の結果を発表した。戸建住宅 の総消費エネルギーの約80%を削減可能であることを実証できたとする*1)。 既築住宅をゼロエネルギー化するために役立つ技術だ。
太陽エネルギーの最適ソリューション提供事業を進めるGF技 研と共同で、静岡県富士市の戸建住宅(図1)*2) に高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムを設置、2014年2月 から実証実験を開始したもの。
*1) 日本エネルギー学会第23回大会で、同社が発表した「ストック住宅にお ける太陽熱の高度利用に関する実験的研究 その2 実験結果」によれ ば、2014年2月16日 の集熱効率は最大24.5%(平均17.6%)、 発電効率は最大11.0%(平均9.5%)。1日 当たりの集熱量は16.99kWh、発電量は9.97kWh。 その結果、省エネ率は81.1%となった。
*2) 築28年 の2階建住宅(延床面積130m2、4LDK) に設置した。木質2X4工法を採用しており、外壁・屋根・床とも50mmの ロックウール断熱材を導入している。居住形態は高齢者2人暮らし。
図1 実 証実験の対象となった住宅と屋根に載せた専用パネル 出典:LIXIL
専用パネルは太陽熱と太陽光を両方吸収
高効率太陽熱光ハイブリッドパネルの外観と構造を図2*3) に示す。単結晶シリコン太陽電池(PV)の背面にアルミニウムの板構造を重ね、そこ に蓄熱槽と接続した銅の集熱用パイプを通した形だ。通常の太陽電池モジュールとの違いはもう1つ ある。太陽電池の表面から熱が逃げないように、風防ガラスを全面に置いた。
パネル1枚当たりの太陽電池の定 格出力は135W。集熱部の定格出力は400W。 実証実験ではこのパネルを16枚、住宅の屋根に設置した。システム全体とし て約2kWの太陽光発電システム、約6.4kWの 太陽熱温水システムとして機能する。
*3) 日本エネルギー学会第23回大会で、同社が発表した「ストック住宅にお ける太陽熱の高度利用に関する実験的研究 その1 実験概要」より引 用。
図2 高 効率太陽熱光ハイブリッドパネルの外観と構造 出典:LIXIL
熱をうまく使うことが重要
パネルの仕様から分かるように単位面積当たりに得られる熱は電力の約3倍 もある。パネルで得た熱をどのように使うのかが、住宅のエネルギー消費量削減の決め手になるだろう。
実証実験では、「集熱PV併用シ ステム」として、住宅内の構成を図3のように決めた。実証実験で興味深いのは、戸建 住宅にもともと備わっていた給湯機器やヒートポンプ床暖房と接続して成果を挙げたことだ。
新たに追加した主な機器は、16枚のパ ネル*4)との間で不凍液(熱媒体)が循環する500Lの 蓄熱槽、熱交換器、混合三方弁、システム制御装置だ。
太陽熱の利用方法は2つ。床暖 房と給湯だ。床暖房では熱媒体をそのまま利用する。今回の実証実験の特徴は給湯にある。
給湯では熱交換器を通じて水道水から得た温水と、ガス給湯器で得られる温水 を混合三方弁で混合して利用できるようにした。パネルや蓄熱槽内の温度を測定し、どのように混合するのかをシステム 制御装置が決める。このようにして、ガス給湯器の利用量をなるべく減らした。
*4) 高効率太陽熱光ハイブリッドパネル自体は2012年から研究のため に使用しているものと同等であり、システム制御装置の改善が効率改善に効いている形だ。
図3 集 熱PV併 用システムの構成 出典:LIXIL(図2と 同一の論文より引用)
今回の実証実験では東京大学生産技術研究所の岩船由美子准教授の協力を得 て、環境省「エネルギー起源CO2排出削減技術評価・検証事業」の対象物件と して、HEMSを用いた測定も続けている。一般的なHEMSの 使い方とは異なり、温度の測定に重点を置いた。温度の測定点は30カ所以 上。
今後は高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムと、暖房やキッチン、浴 室などの住宅設備をHEMSによって連携する手法を探っていく。
まだ実用化とはなっていないようですがやっとこうした方式が考えられるようになったんですね。風呂じゃなく床暖房の ようですね。太陽光発電もわずか2kWhですから、パネルを増やせば風呂も電気も十分に賄えそうです。
問題はコストですが、この方式はどうやっても実現すべきでしょう。将来は全ての住宅がこの方式で電気と湯を賄うよう になったら日本の電力事情は画期的に確信されるでしょう。
それこそ、太陽光発電を主体として自然エネルギーで日本全体のエネルギーを賄うことも十分可能になりそうな気がしま す。そうなれば、当然原発も廃止できるようになるでしょう。
これはどうあっても実用化まで進めてもらいたいものです。幸いLIXILという大手企業が手掛 けているので資金面も安心でしょう。
今日もねずさんです。「授業づくりJAPAN」というものが出来たとの紹介を書かれています。なかなか素晴らしい集まりのようです。
早速リンク先に飛んで読んでみました。というか、第19回の「恩知らず」や第27話の「焼き場に立つ少年」でも取り上げた何度もねずさんのところで涙無くして読めなかった話なので、一瞬躊躇しましたが、やはり、何度でも読むべきだと読み始めました。
やはり、もう駄目でした。こんなもの涙無くして読めません。この子供達に比べて、何と自分が情けない人間だろうかと悔しくなります。
パラオのベリリューの話も何度読んでも涙があふれます。しかし、今回は沖縄を思ってしまいました。同じように島の人達を犠牲にしないようにと戦った人達に対する、パラオと沖縄の全く逆とも言える対応は何でしょう。これも、教育の所為じゃないでしょうか。
こうした話を子供達に教えてくれようとする教育には大賛成です。早く日本中の子供達全員に教えることが出来るようになって欲しいものです。こんな話を子供の時に知っていたら、今の軟弱な私もなかったかも。
是非リンク元で読んでください。
ねずさんの ひとりごとより 2014/12/27(土)
授業づくりJAPAN
…略
「授業づくりJAPAN」は全国の心ある教師の集まりです。
自虐史観を克服し、愛国心を持った、誇りある日本人を育てる教育を進めていきます。
全国の教室でしっかりと結果を残す教育を実現します。
これはあれこれのおしゃべりではなく、いまここにある誤った教育の事実を変える運動です。
先日、ブログ「授業づくりJAPANの『日本人を育てる授業』」をつくりました。
ぜひ開いてみてください。
また、メルマガ「授業づくりJAPANの『日本人を育てる授業』」の創刊号を配信しました。
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購読は無料です。…以下略
どうですか、涙なくして読めましたか。
第198話の「道端を汚す国、汚さない国」などで紹介させてもらった「ねずさんとふたりごと(小名木善行先生)」 の番組の待ちに待った6話がアップされました。これも目から鱗です。やはり、日本は世界から待たれているのじゃないでしょうか。それまでには、戦前の日本 人の心に少しでも近づける努力をして、世界の人々を失望させないように日本を再生しなくてはなりません。それには、上記のような教育が大事です。