第 5589回の「米・中はグルだった」などで強力な助っ人として取り上げさせてもらったマイケル・ヨンさんがブログで古 森義久さんとの対談をリンクしてくれています。
ヨンさんの慰安婦問題に関する研究はどんどん進んでいるようで、今までは殆ど語られることのなかった戦後の世界の軍 の性の扱いなどにも触れてくれています。
これ程、きちんと調べて日本の慰安婦問題の捏造をはっきりと発言してくれる人が出てきてくれたと言うことは日本に とっては本当に有難いことです。
日本政府・外務省がヨンさんをバックアップしないのは大きな損失です。もっと真剣に取り組んでもらいたいものです。
かなり、長いので全文はリンク元で読んでください。
PHPビジネスオンライン 衆知より
2015年
01月
23日
<特 別対談>慰安婦問題はフィクションだ
マイケル・ヨン(ジャーナリスト)×古 森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
《『Voice』2015年2月 号より》
米国のジャーナリストが語る中国、韓国のウソ
人権問題ではなく政治問題
古森 今回、慰安婦問題についてアメリカの軍事ジャーナリストであるマイケル・ヨン氏と話したいと思います。私 が最初にワシントンでこの問題に携わったのは、
1990年代半ばでした。 そして慰安婦問題がアメリカで注目を浴びるようになった最大のきっかけは
2007年、 カリフォルニア州選出の下院議員のマイク・ホンダが提出した慰安婦問題に関する対日非難決議(「慰安婦の人権擁 護」、下院決議
121)の可決です。一介の下院議員が起こした運 動がなぜ、ここまで大きな問題に広がってしまったのか。そのプロセスの水面下にはさまざまな激しい動きがありまし た。
さてマイケル・ヨン氏は、アルカイダやイスラム原理主義過激派のタリバンと戦うアメリカ軍の活動を至近距離から報道し、全米で注目を集めたジャーナリ ストです。アフガニスタンやイラクの戦地の最前線で長い年月を過ごし、「軍隊とは何か」を知り尽くした人物が、2014年9月 に日本を訪れ、慰安婦問題の実態を調べていると聞いたときは本当に驚きました。いったい、何がきっかけだったの でしょう。
ヨン 長年、戦争の現場を見続けるうちに、私は地政学に強い関心をもつようになりました。そのなかで明らかに なったのは、中国がさまざまな手段を用いて日本、韓国、そしてアメリカのあいだを切り裂こうとしている、ということ です。
3カ 国のあいだに亀裂が入れば、中国の南シナ海での勢力拡張や尖閣諸島の獲得が有利になるからです。慰安婦問題が拡大し て最も利益を得るのが中国であることは いまや明らかです。そして次にメリットを得るのは、日本から賠償金や慰謝料を求めようとするごく一部の女性活動家 群、さらに政治力の拡大を目論む一部の共 産主義勢力です。
古森 加えて一部のアメリカ人の評論家、学者やジャーナリストも、「安倍叩 き」のために慰安婦問題を利用してい ます。オバマ政権もその前のブッシュ政権も安倍晋三氏の対米協力路線、日米同盟や日本防衛の重視路線を歓迎して きました。しかし、民主党リベラルのオバマ 政権やその周辺には安倍首相の日本の独自性重視に奇妙な警戒を見せる向きがあります。
国家のために戦死した人たちへの弔意表明という概念にも違和感を見せる向きです。こうした人たちが安倍氏をナ ショナリストとか右翼、反動的と呼び、批判 するのです。理屈に合った反発とはいえません。本能的、生理的な反発とでもいいましょうか。そういうところからアメ リカでの慰安婦問題を使っての安倍攻撃 という現象が起きるのだと思います。
ヨン アメリカの新聞記事を読むと、お決まりのように「日本で右翼勢力が拡大 している」という話で始まり、人権 侵害としての慰安婦問題に話が移ります。しかし、考えてもみてください。アメリカの国内には人権問題がいくらで もあります。私がいまいるタイにも、メキシ コにももっと大きな問題があります。何がいいたいかというと、慰安婦問題は人権問題ではなく、政治問題なので す。たとえばアメリカ下院でマイク・ホンダと 連動している女性活動家、ミンディ・カトラーの関心は女性の人権、フェミニズムにあると主張しています。では、 なぜいま現在の中国の女性の人権弾圧を問題 にしないのか。さらには、もし本当に人権が問題であれば韓国だけでなく、インドネシアやタイ、フィリピンから、 日本に対する訴訟がもっと起きないとおかし い。
韓国の朴槿惠大統領も、日本について発言するときは必ず慰安婦問題を絡めてきます。しかし、本当の主役は韓国で はありません。慰安婦問題を地政学的、政 治的問題の道具として利用しているのは中国です。いわば韓国は、中国の操り人形として利用されているだけなのです。
韓国の朴槿惠大統領も、日本について発言するときは必ず慰安婦問題を絡めてきます。しかし、本当の主役は韓国 ではありません。慰安婦問題を地政学的、政治的問題の道具として利用しているのは中国です。いわば韓国は、中国の操 り人形として利用されているだけなのです。
終戦70周年の対日攻撃はすでに始まっている
ヨン 近年、カリフォルニア州のグレンデールに慰安婦の銅像が立ち、私も二度、現地を訪れました。そこでは日本 の共産党関係者の一行が、KAFC(在 カリフォルニア韓国系米国人フォーラム)の一団と談笑していました。彼らは共産党支持者で、『しんぶん赤旗』に載っ た記事か広告を契機にグレンデールへの 訪問を実現させたというのです。
グレンデール慰安婦像の碑文には数多くの国が列挙されており(「大日本帝国の軍隊によって韓国、中 国、台湾、日本、フィリピン、タイ、ベト ナム、マレーシア、東ティモール、インドネシアの故郷から移住させられ、強制的に性奴隷にされた20万人以上のアジ アとオランダの女性たち」)と、まるで あらゆる国々がいまも日本に敵対しているかのようでした。
私は現在、碑文で挙げた国の一つであるタイにいますが、「反日」など欠片も感じません。にもかかわら ず、碑文には日本へのタイの敵意も刻ま れている。なぜでしょうか。グレンデールで起きた裁判の訴状を見ると、グローバル・アライアンス(世界抗日戦争史実 維護連合会=抗日連合会と略)が姿をみ せています。この組織は在米中国人を中心とし、中国政府との協力も密接です。慰安婦問題ではこの中国の動きこそが核 心なのです。
2007年に公表されたIWG(ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班)のアメリカ議会 宛て最終報告に明記されているように、 7年近くかけて約3000万ドルをつぎ込んだ調査の結果、「慰安婦問題の犯罪性や性的奴隷化の証拠はどこにもない」 旨がアメリカ議会にも提出されていま す。「日本軍が20万人のアジア女性を強制連行して性的奴隷にした」という主張はまったく根も葉もない幻だったので す。
古森 周知のように、慰安婦問題の核心は旧日本軍と政府が朝鮮や中国、その他アジア各国の女性を強制的に連行 し、同様に強制的に性的サービスを供させ たか否か、という点にあります。私の見解――現在の日本政府も同じですが――は「そのような強制性はなかった」とい うものです。
ヨン KAFCのような組織を通じて、韓国人が慰安婦問題に深く関与していることは事実です。が、背景を注視す ると、明らかに中国の手が伸びている。 いまや沖縄(宮古島)にも慰安婦像ができているのですよ。もはや中国は天才としか言いようがありません。現地の人は そのような像の存在など知らないわけで すが、韓国人はグレンデールなどに行って、「日本人も沖縄にこんな像をつくりましたよ!」と言い募る。実際は中国が 背後にいて、慰安婦像を建てさせている わけです。
…中略
戦うことだけで手一杯だった
古森 あなたの慰安婦問題に関する見解は、彼女たちは軍人を対象とした「売春婦」であり、軍が慰安所を管理するとい う意味での関与はあったが、主要部分は本質的に売春という商行為だったということですね。
ヨン 日本軍の将校は戦うことだけで手一杯だった。そんなときに、兵士という貴重な人員を女性の誘拐に割くはずがあ りません。女性を本当に強制連行す るならば、拘束したうえで輸送し、保護のために食事を提供しなければなりません。背後から襲いかかる敵にも直面しなけれ ばなりません。戦闘中の軍隊がそん な愚かなことをしますか。
また、そのような大規模な拉致という犯罪があれば、女性側の家族も含め、膨大な数の証人を残すことになり ます。たんに女性だけを拉致すると いう話ではない。済州島がよい例で、吉田清治が書いたようなことを本当に軍がしたら、島全体に話が広がりますよ。島民に 知られないまま、200人の女性を 駆り出すなどできるはずがありません。住民200人の目の前で3人の女性を連れ去ったら、計203人の目撃者がいること になる。万単位の女性が被害に遭っ たならば、数百万人単位の証人が残るということです。だが、そんな目撃の記録はない。
それほどの規模で強制連行があったとすれば、なぜ大規模な反乱が起きなかったのか。まったく説明がつきま せん。私が戦地の真っ只中で何年も 過ごしてわかったのは、「前線の将軍はつねにさらなる兵士と武器を求める」ということです。補給はいくらでも欲しい。無 駄な人員を充てる余裕などありませ ん。
古森 あなたはイラクとアフガニスタンなどでアメリカ軍の活動を間近に見てきました。軍のあるところでは必ず、売春 をする施設と女性が現れるという現実を目撃してきたわけですね。
ヨン 韓国がよい例でしょう。私は5年間、陸軍に所属していました。私自身、韓国に駐留したことはありませんが、ア メリカの兵士たちが韓国について語 るのは、決まって「韓国は寒い」「売春が盛んである」の二つです。表向きはマッサージパーラーの場所があり、内部で何が 起きているかは誰もが知っていたと いう。戦場で戦うのは若い男たちです。小遣いがあれば次はセックス、となるのが当然でしょう。そこにお金を求める女性が 集まり、取引が成立する。第二次世 界大戦中のホノルルもそうでした。ホテルストリートは軍が経営する売春宿が並んでいることで広く知られていました。
古森 慰安所そのものですね。
ヨン ほぼ同じです。実務を取り仕切る出入り業者がいて、女性を用意する。軍は値段設定に関与していました。 1980年代の在韓米軍基地に売春婦が出 入りしていたのは、厳然たる事実です。現在のイラクとアフガニスタンでも、フィリピン人女性がメイドや美容師のかたちで 入国し、売春をしていた実態はよく 知られています。
古森 つまり、大日本帝国陸軍は性の問題を抱えた唯一の軍隊ではない、と。
ヨン タイでは毎年、「コブラ・ゴールド」と呼ばれる合同軍事訓練が行なわれています。アメリカのほかにタイ、マ レーシア、シンガポールなどアジア諸 国の軍隊が集い、日本も参加しています。コブラ・ゴールドに参加する若い海兵隊員が、厳しい訓練が終わったらどこへ行く のか。聞くまでもないことです。
古森 あなたから見ると、日本の慰安婦は性奴隷とは程遠い存在だということですね。
ヨン OWI(アメリカ戦時情報局)の報告書を読めば明らかですが、日本の慰安婦の平均年収は9000円でした。日 本軍の将軍の平均年収が6600円 だった時代の話ですよ。さらにいうと、この額はすべての必要経費を支払ったあとの手取り額で、実際には1万8000円以 上を稼いだことになります。売春宿 が半額取ったとしても、なお9000円残るのです。
古森 最近、日本の『朝日新聞』が長年の慰安婦報道について訂正記事を出しましたが、残念ながら海外にはあまり届い ていません。「私どもの新聞は日本 軍が女性たちを強制連行して性奴隷として慰安婦にしていたと報じたが、実際には強制連行はなかった」という訂正です。し かしアメリカ人の学者や評論家は、 いまだに「軍に強制連行された従軍慰安婦」の存在を鵜呑みにしている。そして近年の日本を右傾化の一語で括り、安倍首相 がリベラル紙の『朝日新聞』を叩い ている、という誤った見方がいまだに広がっています。
ヨン 『朝日新聞』は全世界を騙して、日本に深刻な問題をもたらしたままです。あなたがつねづね指摘しているとお り、アメリカの評論家にとって日本に 関する情報源がいまだに『朝日新聞』である、という点が大きい。いまや「慰安婦」はかつてのグレッグ・モーテンソンのよ うに、カルト的人気を誇る存在に なってしまっている。モーテンソンの権威は失墜しましたが、いまだに彼の本を信じている人がいます。慰安婦問題に関心が ある人は全員、先述のIWG報告書 を読むべきでしょう。
古森 そうした誤解に対して、アメリカ人のあなたが正しい歴史認識を伝えるメッセージを発信しているのはありがたい ことです。日本政府はまず、クマラ スワミ女史が提出した国連人権委員会の報告(クマラスワミ報告)への公式な抗議から始めるべきでしょう。アメリカ議会下 院が採択した慰安婦問題での日本糾 弾の決議に対しても、その内容は事実ではないと言明していくべきでしょう。日本政府自ら、国際的に歴史の真実を発信しな ければならない。日本の民間でも同 様に発言を続けるべきです。
ヨン そのとおりです。私が育ったアメリカ南部、いまいるタイ、そして日本の文化に当てはまるのは「自分は何も悪い ことはしていないが、とりあえず謝 れば許してもらえて、事態は円満になるだろう」と考えることです。しかし韓国人や中国人は、相手が謝るとピラニアのよう に食いついてくる文化があります。 日本人なら「一度、非を認めたのだからもういいだろ? 謝ったからといって罪を認めたわけではない」と思うでしょうが、 中国人や韓国人は「有罪を認めた」 といって畳み掛けてくる。日本文化の「本心が善であれば向こうは理解してくれる」という発想は変えたほうがいいでしょう ね。
古森 その意味で、河野談話の見直しは重要です。外交的に正面からの見直しにはあまりに反発が多いということであれ ば、そのまま手を付けず、凍結させ て、別の談話や声明で河野談話の「強制性」という部分などを骨抜きにすればよいわけです。とにかく現状のままだと、次世 代の日本国民にとっての冤罪が続い ていくことになります。
ヨン 河野談話を見直したうえで、クマラスワミ報告は根拠が薄弱であることを訴え、下院決議121の撤廃に向けて動 くべきでしょう。この決議に何の拘 束力もないことは、ワシントン在住が長いあなたなら十分ご存じのはずです。冒頭に吉田清治の証言が採用されているだけ で、ウソとわかる代物です。日本はし つこく対日非難決議の欠陥と国連報告の欺瞞を訴えつづけなければなりません。中国の拷問で「ひたすら水に打たれつづけ る」というのがあるでしょう。あれと 同じように徹底してやる(笑)。そもそも、90年代のうちに『朝日新聞』が誤報を訂正していれば、現在のような大問題に はならなかったはずです。
古森 そのとおりです。現にアメリカの最高裁も、『朝日新聞』や中国、韓国の誤りを認めています。2006年2月 21日、アメリカ最高裁は第二次世界 大戦中に日本軍の「従軍慰安婦」にさせられたと主張して日本政府に訴訟を起こした中国と韓国の女性15人に対し、「日本 側の謝罪も賠償も、もう必要はな い」という最終判決を下しました。これ以上、確固たる決定があるでしょうか。当時、アメリカ国内ではこうした訴訟が可能 だったわけです。
ヨン 日本は韓国に対しては1965年の日韓基本条約で総額8億ドルの支払いを行ない、すべての補償は済んでいるこ とが明らかにされている、と記憶しています。
古森 たしか日韓基本条約では、謝罪や補償という言葉は使われていません。あくまで「経済支援」という名目ですが、 補償の意味が込められていたことは、いうまでもなく当時、日韓両政府の暗黙の了解でした。
最後に、ヨン氏からこの慰安婦問題に関して日本人一般に対して、なにかメッセージがありますか。
ヨン 大切なのは、慰安婦問題を大声でわめく韓国に対して日本が引き下がらないこと、そして中国の脅威に屈しないこ とです。アメリカは全体としてこの 問題では中立です。アメリカの軍人およびアメリカ人女性は誰一人、慰安婦問題には関係がない、ということです。だから私 自身も一アメリカ人として慰安婦問 題への個人的な関わりはまったくない。あくまで中立の第三者として、またジャーナリストとして、この問題を調査し、分析 するに至り、虚構部分が大きいこと に気付きました。その点で私が最も恐れるのは、この慰安婦問題で吉田清治のような輩によってつくり上げられたフィクショ ンにより、アメリカと日本の関係に ヒビが入ることです。
古森 あなたのような完全に中立かつ何の利害関係もない立場から力強い言葉をもらい、日本人として勇気づけられる思 いがしますね。アメリカ議会では共 和党が上下院をともに握るなど、日米関係にとって晴れ間も見えてきました。私も歴史戦の挽回に向けて、微力ながらペンの 力で戦いたいと考えています。
<構成:タカ大丸(ポリグロット〈多言語話者〉>