今日の、「トランプ政権、過去最大の武器供与を台湾へ」で、トランプさんの中国叩きが本気かと喜びましたが、そう単純に喜べないものがありそうです。
頂門の一針へ興味深い台湾問題を投稿してくれるAndy Changが、驚くべきことを書いてくれています。
頂門の一 針4302号より 2017・3・22(水)
台湾の自衛力
Andy Chang
中国の強い圧力にもめげず韓国はサード(THAAD、終末高高度防衛)ミサ イルを導入すると決定した。日本の自衛隊は2年前からサードミサイルの 導入を検討していて、稲田防衛相は今月13日にグアムの空軍基地でサード ミサイルを視察した。
ところが台湾では同じ日に国会で議員から台湾にサードの導入を聞かれた 馮世?国防部長はNoと答えた。しかも馮世?部長は理由を聞かれて、台湾は 米中間の戦争に巻き込まれたくないと答えたのだ。
●サード導入に反対の理由
馮世?部長が導入に反対した理由の第1は、台湾は米中間の戦争に介入せず中立を守る。台湾は自国の主権を守るために戦うべきで 他国を援助すべきではないと言ったのだ。
これは誰でもおかしいと感じる。アメリカは台湾の安全を守ることを法律で決めている。つまり台湾の敵か味方かはすでに明らか だ。アメリカに頼っていながらアメリカの味方にならないで中立を守ると言う理屈は通らない。
米中戦争に巻き込まれたくないと言っても戦争になれば中国は真っ先に台湾と沖縄、グアムを攻撃する。馮世?が台湾は中立を守る と言ったのは中国に忠誠心を示したのであろう。これが台湾の国防部長なら一旦戦争になれば台湾軍はすぐに降参するか、それとも中 国に寝返るかもしれない。この男は早急に更迭すべきである。
次に馮世?部長は、台湾は中国に近いから高高度ミサイルで台湾を攻撃する必要がないと言った。だが韓国と北朝鮮はもっと近いけ れど韓国はサードの設置に踏み切ったのだ。
中国がサードを怖れる理由はサードのレーダーが広い範囲にわたって敵陣の動きを探知できるからである。サードを台湾に設置すれ ば韓国に設置したサードレーダーが探知できない中国の内部や、海南島や南シナ海まで監視できる。サードを拒否した馮世?は中国の 味方である。
馮世?部長の第三の理由は高価なサードを買う金で他の武器を買う方が良いと言うのだ。確かにサードは高いだろう。しかしサード は中国の動きを監視できるから台湾の安全にも寄与するはずだ。
台湾がサードを買わなくてもアメリカにサード基地を貸せば金は要らない。アメリカの基地があれば中国は台湾を攻撃できなくな る。台湾を防衛するならこれが最良だ。アメリカと台湾は国交がない。しかしアメリカは台湾から99年租借で土地を借りて大規模な 領事館を建設した。それならサード基地の租借など簡単である。
台湾の安全はアメリカに頼っているのに台湾の国防部長は中国を怖れているか、中国に味方しているかのような態度である。台湾は このような軍隊に頼れるだろうか。
●アメリカの軍備提供
アメリカがトランプ政権に変わって台湾に新しい武器を提供すると言い出した。最近のニュースではアメリカが台湾に高移動性ロ ケット砲撃システム(HIMRS)を売ると言ったそうだ。HIMRSミサイルは射程が200キロもあるので、ミサイル防御の外に 中国沿岸のミサイル基地を先制攻撃することもできる。
これについて蔡英文総統は、アメリカが最新武器を提供するならF35ステルス戦闘機や潜水艦も売って欲しいと述べた。台湾の ニュースによるとアメリカはブッシュ時代に潜水艦を台湾に売ると約束したが今になってもまだ提供していないと言う。アメリカが最 新武器を提供しないのは台湾の軍部が信用できないからだろう。
三年ほど前にアメリカがアパッチヘリコプターを台湾に売ったところ、パイロットの空軍中佐が芸人グループを軍事基地に招待して アパッチヘリを見せびらかし、コックピットの計器類の写真を撮らせた事件があった。しかもこの操縦士は叱責されただけで今でもア パッチのパイロットとして軍務に勤めている。
こんな軍隊にF35ステルス戦闘機を提供したらどうなるか。パイロットが離陸して台湾のレーダーから消えたとたんに中国に飛ん でいくかもしれない。潜水艦も同様だ。馮世?部長の話を聞けば台湾軍の忠誠心に問題があることは明らかである。
●最新武器よりも忠誠心が先決
問題の核心は台湾に中台統一したい人間がいて、おまけに彼らが政治や軍事の決断をする上層部に居ることである。台湾にはすでに 中国から来た人が数十万も居る。戦争になったら台湾軍が最新武器を持っていても上層部が降参するかもしれないし、内通する者が居 るかもしれない。国民の85%が台湾人で独立を望んでいても少数の中国人が政治や軍事を操っていれば安心できない。
台湾人の蔡英文が総統になったが、彼女にとって大切な仕事は台湾に忠誠を尽くし、台湾のために戦う軍隊を作ることである。それ には中国系の将軍たちを引退させ、台湾人を上層部に任命して最新武器を持つ部隊の忠誠心を厳しく監督しなければならない。
国会議員も国家の安全と将来を真剣に考えるべきである。先日の国会ではある議員が馮世?部長を召喚し漫才の掛け合いのように人 で軽口をたたいていた。時間の浪費だけでなく政治家失格である。
軍事機密を中国に渡した事件は数え切れないほどある。武器よりも軍隊の士気と軍人の忠誠心が大切だ。アメリカが最新武器を提供 しても台湾軍の自衛力は疑問だらけ、台湾人さえ信用しない軍隊をアメリカが信用するわけがない。外省人の台湾に対する忠誠心が問 題なのだ。蔡英文は現状維持など寝言を言うときではない。台湾軍の刷新は蔡英文にかかっている。
軍は国民党に押さえられているとは言われてましたが、まだ、一掃出来てないんですね。蔡英文さんが動きが鈍いのは、こうした問題を抱えているからなのですね。まだ、一気に改革するのは難しいのでしょうか。
これだったら、軍を改革するより、アメリカ軍に駐留してもらう方が早そうですね。サードもアメリカ軍が設置すれば良いということです。
そのアメリカ軍は、当然、沖縄からの移動ということです。兎に角、急ぐ必要があります。