腰の引けた世界も流石のプーチンの侵攻には驚いたようで、制裁で珍しく団結しました。
しかし、これがChinaの台湾侵攻で効き目があるのかと宮崎さんがシミュレートしてくれています。
どうやら、ロシアよりは相当に手強いようです。やはり、根本は経済力にありそうです。
ここまで放置しておいた世界の怠慢がこの恐ろしい現実のようです。果たして、世界はどうなるのでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022) 3月8日(火曜日)
通巻第7249号
西側がロシア制裁で団結し、ウクライナを熱烈支援したように
中国が台湾を侵攻したら、SWIFTからの排除、生産停止などは可能か?
ロシア経済は西側の制裁によって、鍋をひっくり返されて大やけどを負ったようだ。
SWIFTからロシアが排除された。頼るは中国版SWIFT(CIPS)のみ、中国へのガス輸出契約はユーロ建てだが、特 例で人民元建てとなる模様である。西側はロシアからのガス輸入を全面的に禁止する方向にある。
まずSWIFTの決済通貨のシャアをみよう。
米ドル 39・9%
ユーロ 36・0%
英ポンド 6・7%
人民元 3・2
日本円 2・58
米ドルとユーロの優位は不変だが、1%前後しかなかった人民元が日本円を凌駕している「変化」に留意しておく必要がある。
ちなみに2016年10月にIMFのSDR通貨入りした人民元の、現在のSDRのシェアをみておこう。
米ドル 41・73%
ユーロ 30・93
人民元 10・92
日本円 8・33
英ポンド 8・09%
いつの間にか中国通貨が英国と日本を追い抜いていた現実には瞠目せざるを得ないのではないか。
●シミュレーション(1)
中国が台湾を侵攻しても、SWIFTから人民元の排除はかなり難しい。国際的に深刻な影響がでるからである。
となれば、大本の人民元とドルの交換システムを断ち切るにはどうするか?
米国に残された手立ては香港ドルと米ドルの交換停止である。しかし、これもウォール街に天文学的な損害を同時にもたらすこ とになるだろう。米国も甚大な出血を覚悟しなければならない。
▼ロシア国債、社債はもともと紙くずだったのだ
ロシア国債ならびにロシア企業社債など債券市場では、S&Pやムーディズがロシアの格付けをダウングレードしたため多くが 紙くず同然の扱いとなった。
國際ファンドの一部は巨額を失い、またルーブルの暴落によって、ロシア物不足に加えての猛烈なインフレがロシアの庶民の台 所を襲っている。だが、ロシアルーブル建ての投資をしてきた西側ファンドは債券が不良債権化する事態を迎えた。
●シミュレーション(2)
西側ファンドの中国投資は対ロシア投資に数百倍規模であり、中国が台湾侵攻の場合に露西亜と同様な制裁措置を債券市場でも とれるか、どうか。大いに疑問だろう。
次にクレジットカード決済である。
現金を使わない支払いは、いまや世界的に普遍的だが、スーパの買い物もカードかスマホが主流(日本はまだ現金決済が目立つ が)、ロシアのウクライナ侵攻により、マスター、ヴィザという二大クレジットカードがロシアでの通用が出来ない措置を講じ た。
JTBもロシアの(制裁されていない)ズベル銀行と提携しているため制裁対象となった銀行との取引を停止する。スベル銀行は 中国連銀との提携を水面下で模索している。
ロシアでキャッシュレス化は70%である。日本より普及している。
ロシア人は買い物に支障をきたすため、銀行のATMに並ぶが引き出し金額に上限がある。
すでに2015年からロシア独自の,MIRを発行していており、かなりのロシア国民はMIRカードに切り替えてきた。
●シミュレーション(3)
ロシアは昔ながらの現金決済に戻るだろうが、ロシア国内で通用するクレカMIRの普及が急膨張するだろう。
中国はこの点で、殆ど心配がない。銀連、そのほかのディビッドカードを導入済みであり国内の人民元しか通用しないが、中国国 内では通用するからだ。つまりクレカ使用停止の制裁は、効き目が薄いのである。
なにしろ連銀のクレカ普及率はヴィザ、マスター、アメックス、JTB、ダイナーズを合計したよりも多い。
従って中国は打撃を受けないという強みを持つ。
▼生産現場、販売拠点はどの程度の悪影響がでるだろうか?
ついで生産現場である。
インテル、サムソンはロシア向け半導体の出荷を停止した。現地で生産もしくは組み立てをしている自動車、機械産業などは山 のようにある。
トヨタはモスクワに於ける自動車生産を暫時停止、工場休業にはいった。中国との交易、物流はサプライチェーンの寸断によっ て」世界的な悪影響がでたが、ものつくりのサプライチェーン関しては、それほどの影響はない。
問題は「物流」の痲痺である。
コンテナ船が欧州航路で遮断されスエズから地中海からボスポラス海峡を通過するロシア向け船舶が立ち往生。また欧州からの 物流はオランダで積み替え、バルト海をサンクトペテルブルグまで運ぶ死活のシーレーンも遮断され、残るのは中国からの鉄道と 陸のシルクロードを経由する貨物列車ルートくらいとなっている。(3月8日現在)。
販売ではアップルがスマホをマイクロソフトやオラクルも製品販売を中断した。グッチ、ルイビュトンなどブランド品のロシア に於ける販売と停止した。LVMHモエヘネシールイビュトンは3月4日にロシア国内124店舗での販売を閉鎖した。
中国ではすでに武漢肺炎で消費激減し、旗艦店を畳んだ。香港でもブランド品通りは閑古鳥、店舗閉鎖が連続した。
ツィッター、フェイスブック、TIKTOKは反対にロシア国内で遮断された。むしろ逆の制限対象となった。この点でも、中 国では以前から西側との通信、情報の収集や相互通信は遮断されている。
●シミュレーション(4)中国はすでにサプライチェーン寸断、ならびにウイグル問題で、販路などにも制裁対象が及んでおり、 それでも一方で「人民元経済圏」を構築し、制裁に同調しないASEAN諸国やモンゴル、中央アジア諸国、イランなど産油国 と、利権影響下にあるアフリカ諸国への「市場」を確保しているから、それほどの影響があるとは思えない。
つまり西側の団結がシーレーン封鎖にまで及ばなければ対中制裁の効果は薄いだろう。
●映画、音楽、文化交流や、物資支援、人道的支援、衣料支援などの死ミューレーションは次号で。
(この項、続く)
何だか恐ろしい世界ですね。やはり、世界が本気で団結して立ち向かわないととんでもないことになりそうです。
世界に、それだけの自覚と覚悟があるか。この時点でも延命の為に金を注ぐ奴等がいるのでしょう。
さて、年末に人類は残っているのか。