今回のプーチンによるウクライナ侵攻は読み違いによる失敗に終わりそうですが、もしこれが成功していたら習皇帝が台湾侵攻に踏み切っていたのじゃないでしょうか。というか、二人の間にその約束があったと考えるのが当然でしょう
幸い、プーチンの失敗と民主主義国の予想以上の結束が習皇帝をビビらせ、台湾を鼓舞することになった。
宮崎さんが取り上げてくれています。それにしても、プーチンの侵攻が予想通り成功していたことを考えるとまさに紙一重の差だったことが分かります。
今頃は、台湾も戦争になっていた恐れがあります。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022) 3月22日(火曜日) 通巻第7267号
ロシア制裁の國際的合唱は台湾を鼓舞した
民主主義という価値観の共有が重要と台湾政治
ロシア軍のウクライナ侵攻。中国がこのどさくさに便乗して台湾侵攻をやらかすのではないかと深刻な危惧が拡がった。
ウクライナ報道に隠れたが、地殻変動的な動きが台湾で起きていた。
トランプ前政権から米国は米台関係緊密化を推進してきたが、ダメ押しのイベントは3月2日、ポンペオ前国務長官の台北訪問 だった。
台北の高層ビルには「熱烈歓迎」、「台湾ラブ米国」の電光掲示板、街は交通規制がひかれ、なんだか大統領が台湾を訪問したよ うな異様な昂奮状態となった。ポンペオは台湾各地で大歓迎の嵐に見舞われた。講演で「米国は台湾を主権国家として認めるべき だ」と発言したからだ。画期的なことである。
総統府に蔡英文総統を表敬したところ「台湾と強く支持し、在任中に米国高官の台湾訪問解禁など米台友好に貢献してくれた」 と特別勲章(特殊大授景星勲章)が伝達された。
ポンペオは「私たちは現在、ウクライナの悲劇を日々、目撃している。台湾は二の舞を演じてはいけない。私は一個人や党派を 代表して訪問しているのではない。全アメリカ人を代弁している」と台湾を勇気づけた。
中国はすぐに噛みつきポンペオを制裁対象に加え、「嘘と偽善の極悪人だ」と口を極めて人民日報(3月2日付)が罵った。
同日、ワシントンでは「台湾侵攻があればアメリカは直ちに『壊滅的な金融制裁』をなす」という法案がリック・スコット上院議員らから提案された。
主旨は「中国共産党の台湾攻撃に対する処罰には曖昧さを示してはならず、金融取引、とくに株式・債券への投資を禁じる。武 力行使に関与した中国人のビザの取り消し、入国を制限」などが骨子。
ロシア軍のウクライナ侵攻に対して西側の制裁を比較することは重要である。二百万を超えた難民を西側は暖かく受け入れ、食 糧、医薬品、衣料など空前の支援体制を敷いた。遠く英国でも20万人のテント村を用意した。志願兵による義勇軍も名乗りを上 げた。
一方でSWIFTからロシアを排除し、國際金融分野でロシアの経済活動を低下させ、ヴィザ、マスターなどのクレジットカー ドはロシア国内で使用不能とし、またグッチ、ルイビュトン等はロシアの販売を中止、トヨタなどもロシア生産を中断した。
貿易ルートを西側は協力して封鎖したため、プーチンが頼るのは中国のみとなった。 その中国とて制裁には加わらないものの 国連決議では棄権した。ロシアは失望した。
極めつけがガスをロシアに依存するドイツだが、ついに制裁に加わり、ウクライナに武器供与。プーチンの思惑は完全に外れ た。
台湾はこうした西側の団結と支援を日々目撃しながら、民主主義の価値観を共有することが如何に大切かを身に染みて感じたの である。 (この文章は北国新聞コラム「北風抄」3月14日号の再録です)
ここからプーチンの反転攻勢があるとは思えませんが、自棄糞で核の使用なんてことになれば何が起きるか分かりません。まだまだ油断はならないでしょう。