明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



猛暑の中、作りなおした某大先生の頭部完成する。人形を作り始めた頃を別にすれば、作りかけの頭部を捨て、新たに作りなおしたのは初めてかもしれない。男は諦めが肝心という風潮の東京の下町育ちのために、そんな見栄を張るわりに、実はまったく諦めが悪い私なのである。しかし、作品を読んだのは高校生の頃までで、人物像をたいして把握せず始めたおかげで、今回ばかりは一からやり直すはめになった。途中見せた人には、似ていたのに何故だといわれたが、似ていれば良いというものではない。 ネットで検索すると、さすが巨匠である。全国各地に銅像が設置されている。ネットの画像なので良く判らないが、とても同一人物とは思えないほど様々な顔をしている。少ない写真資料を参考にしているからそういう事になるのだが、例えばある人物を見て、誰に似ているという人あれば、どこが似ているんだという人もいる。人はそれぞれ気になったり、印象に残る部分が違うから起きることである。不鮮明な写真を参考にしていればなおさらであろう。私は写真を自分で撮影することも関係しているのかもしれないが、何もディテールがなく、情報がなにも無いように見える画像を立体視することが、多少訓練されているような気がする。ある種の妄想ともいえようが、何も無いところに何か視えるようでないと、いやそれどころか頭の中で動き出すようでないと、百年も前の人間などバカバカしくて作れるものではない。 とりあえず都内某所に経つ銅像より、はるかに先生らしいものになるであろう。

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