明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



東京の風景の、山の手と下町の大きな特徴は、山の手の坂に、下町の橋であろう。私は下町育ちなので坂にはまったく縁がなく、なんの情緒も感じることなく、むしろウンザリであるが、橋には大いに感ずるものがある。現在済んでいる深川は、泉鏡花の『葛飾砂子』にあるごとく、それこそ橋だらけであるが、それもリベット打ちの橋ときているから、ムードは満点である。 大分涼しくなったとはいえ、日中を避けて自転車に乗っている。乗るのは良いが、食事のついでに汗をかいたので、つい一杯ということになる。しかし実際いけないことで、特に私の自転車は車輪が20インチと小さく、ハンドルがクイックで危険である。というわけで、夜の永代橋を眺めながら芝生にしばらく寝転んでいた。屋形船からは、ヘタクソなサライが聞こえる。2、3日前は、夕涼みどころでない熱帯夜で、人などほとんどいなかったが、今日はけっこう川風に当たっている人がいた。私は下町といっても、いわゆる0メートル地帯の育ちであり、川面より下に屋根があったりしたが、そのような環境は、人間のメンタリティーに影響は及ぼさないものであろうか。いやそれより、すぐそばの高圧電線の方が良くなかったかも。などと、夜の隅田川を眺めながらアクビをしていた。

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