先日は女将さんが、二升五合のキンミヤ焼酎とポーズをとっている所を撮影してしまった。いやはや。K本の愛猫モッコを撮った時、神経質なはずが逃げもしないでレンズを見る。シャッター切ったら次にアクビをして見せた。厨房担当のあんちゃん曰く「こんなの初めて」。それを耳にしたとき、女将さんも撮れると確信した。“将を射んと欲すれば、まず猫を射よ”というわけである。 人形制作と写真撮影は使う部分が違う。なので同時に進めると気分転換になり調子が良い。制作中の作家はK本と目と鼻の場所で明治時代に生まれ、平成になって亡くなっている。つまり亡くなったのはそれほど昔ではないのだが、ネットで画像検索してもほとんど出てこない。完成後、展示収蔵予定の文学館に雑誌に掲載されたカット、ご遺族からお借りしたプライベート写真をコピーしてもらった。どうやら写真が苦手な人物らしく、家族旅行の写真でもムスッとしている。肖像写真には、人にこう見られたい、という部分が出るものである。ならば、と。思いっきり乗っかって、くわえ煙草の苦味走った昔のドラマの事件記者みたいな方向で行こうと考えている。
※タウン誌深川 『常連席にて日が暮れる』連載第一回 或る酒場 発行。
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