明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



久しぶりに麻布十番の田村写真へ。湿版写真を見せてもらったが、完成度がさらに上がっており、当時の写真師とまったく遜色がないように思える。田村さんとは付き合いも随分長いが、相変わらず感心するのは物の見え方である。 先の話になるが、来年の深川江戸資料館レクホールの個展は、会場が広いので、並べられる作品をできるだけ、とは思っていたが、画廊と違って多目的に使われるスペースなので、展示の仕方によるとダサくなる可能性が高い。しかし一つだけ、広さとさらに天井が高いのを利用し、作者である私も見たことがない展示にする方法がある。人形を人間大に拡大したプリントである。これはサンディエゴの写真美術館の館長にそうしろ、といわれたことがあったが、その時はそうおっしゃられても、と苦笑するしかなかったが、この展示が決まった時に田村さんにもいわれた。 私は常に人間を撮るつもりで撮影している。(人間に見えるようにとは違う。私にとって必要なリアル感さえあれば粘土丸出しで良い。)そう思うと、人間大になった時、それでないと出てこないイメージが在りそうである。作家シリーズを始めた頃、江戸川乱歩が気球にぶら下がっているプリントを田村写真で始めて見た時『私はこういう事しようとしてたのか。』と思ったのを鮮明に覚えているが、あれを私自身がもう一度味わうとしたら、人間大プリントではないたろうか。 資料館にはホールがある。そこで以前世田谷文学館でやった乱歩作品のスライドを流しながらピアノ演奏と朗読の再演と『貝の穴に河童の居る事』を予定している。しかし河童の朗読を当初予定していた今拓哉さんがスケジュールが合わず。ずっと考えていたが、田村写真からの帰りの電車内で突然思いついた。スケジュールは空いている。果たして快諾が得られるだろうか。 河本にて日影丈吉の立像を披露。頭部はよくポケットに入れて持っていくが全身像は久しぶりであった。

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