明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

暖簾  


夜になると野暮な街路灯に照らされる河本だが、ここ2年くらいだろうか。店内の蛍光灯が昼光色に変わった。外から見ると赤々と温かく良くなった。私は昔から蛍光灯が寒々と感じ、引っ越しすると、真っ先に電球に変えるのが常であった。 夜の外観を撮る。休業する大分前から暖簾を出さなくなっていた。ネットでしばしば言われるように、店だか民家だか判らない。久しぶりに暖簾を掲げてみることにした。 私が通いだして、この暖簾で何代目であろうか。横に大きく河本、と書かれていたこともあれば、その字がアップリケのように縫い付けられていたり、小錦の特大パンツのような時もあった。そのほとんどが、厨房担当のあんちゃんの手作りであろう。そして出されることのない現在の暖簾はというと、出されなくなった理由の一つかもしれないが、劣化が甚だしい。日焼けにより、かつて紺色であった下地は薄い灰色がかった茶色と化し、判別困難な河本の部分は破けてガムテープで補修されている。撮影中に、営業していると勘違いされても困る。人通りの少なくなった頃、暖簾の片付けを担当していたTさんにお願いして、撮影中待機してもらうことにした。といっても数カットで終了した。どうしても信号機が入るが、色味的に赤信号を選ぶことになる。そういえば学生の頃、赤提灯だと思って向かったら、道路工事してた、ということが何度かあった。 チェックすると、やはり暖簾がある方が画になるのは当然のことである。一日も早い再開が待たれる。

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