大伸ばしにするプリントは、どんな画が合うのか考えている。そろそろデータを用意しないとならないことになっている。 質屋から出てきた樋口一葉は、何も大きくする必要ははないだろう、と思うのだが、かといって当初からプリントしようと思っていた、フンドシ姿で複葉機に乗り夜空に浮かぶ稲垣足穂が向いているか、というとこれも良く判らない。迷う原因の一つは私が本来、感心されるくらいなら呆れられた方がマシ、という性質であることがあるだろう。作品どうの、の前に円谷の蛸かでかくなったら面白いだろう。と思ってしまうのである。 私の作品は粘土の質感丸出しである。肝心なのは“佇まい”であり、それさえあれば、むしろリアルな質感にこだわる必要が私にはない。この佇まいが、大きく引き伸ばされどうなるか。佇まいまで拡大しないだろうか。 かといって、蛸がでかくなったところを見てみたい、というのは抑えがたくはある。蛸で呆れられたいなら他にもあるが、これでは人形作家でもなんでもない。
深川の人形作家 石塚公昭の世界展
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