明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



次は誰にしようか迷っていたが、手塚治虫にした。これは気球にぶら下がった乱歩同様、造形の段階で遠近感を強調して作ってあり、しかも写る所しか作っていない。当然一カ所からしか見ることができない。乱歩の場合、出品の際は木の箱に入れて見える所を限った。 手塚は子供の頃の少年漫画誌の表紙をイメージしてみた。手塚漫画のジェット噴射はロウソクの灯のようだが、実際ロウソクを撮影して使ってみたら、あきらかに出力不足なので、噴射に勢いを加えた。 こういう場合ちょっと角度を変えたら楽屋裏が見えてしまうくらい裏は何も作っていない。試しに後ろを作り足してみたら、つじつまが合っていて、このまま完成に向かいそうである。つまり前面だけ作った物に背面を作り足した、という訳である。三島の場合は上半身に下半身を作り足したが。まったく他所ではいえない作り方である。 自己流で制作を始めた頃、集中しすぎて前面ばかりが完成に向かってしまい、翌日からは後ろ姿を、ということがしばしばあった。そんな過去の“ヘキ”がこんなことをさせてしまうのであろうか。そういえば長らくコタツで作っていたせいか、離れてバランスを見るという習慣もない。

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