明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昨年来、いやここ数年といって良いだろう。私事でバタバタしており、それをかいくぐりながら制作を進めている。いつ頃からだったか、どこからか水漏れか雨だれの音が昼夜問わずしており、それが実は自分の心臓の音だった、ということがあった。まさにエドガー・ポーの『告げ口心臓』である。この調子だとずっと聴こえ続けるのか、と半分覚悟し、まあ気になる程の音量でもなし、とも思っていた。しかし面倒なことの出口が開けそうだ、となってからはパッタリと聴こえなくなった。あれは何かの警告だったのだろうか。奇妙なことは起こるものである。 しかし幸いといって良いのかどうかは判らないが『潮騒』の初江が周りの海女が、半裸状態なのにかかわらず、乳首一つ透けていないのはおかしいだろう、と透けさせたり、三島由紀夫の背中に『唐獅子牡丹』を入れるために日本刀持たせてサラシを巻いたりさせていると、制作中は私事のバタバタから一時逃れることができ、せいぜい自分の心臓の音が聴こえてしまう程度に収まっている、とはいえそうである。

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