明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



神奈川近代文学館で3月15日~5月22日『100年目に出合う夏目漱石』がある。私も漱石像を出品するのだが、制作当時から、漱石の鼻筋について一人でああだこうだいっていた。漱石のトレードマークといっても良い高い鼻は、眉間から真っ直ぐ伸びている。銅像その他、漱石像はみんなそうしている。しかし写真をじっと見ていたら、もやもやと修正の跡のように感じられる部分があった。当時はネットで検索してもデスマスクを真横から写した画像はなかったが、『夏目漱石デジタル文学館』の遺品ほかにデスマスクがあり、真横から撮影したわし鼻を見ることができる。背景の鼻筋まっすぐ漱石と比べると面白い。名前は忘れたが、撮影者は私がオイルプリントを手がけるきっかけになった野島康三の弟子だったと思う。巧妙な修正にも私は引っかからなかったぞ、と喜んだ。以前も書いたが、写真師が被写体に対して無断で修正するはずがないだろう。まして相手は有名作家である。 たかが鼻筋ではある。こんなことに関心を持つのは私くらいかもしれないが、しかし写真師に命じてたかが鼻筋を修正させるような人物だと思うと、神経衰弱や胃病に苦しんだのも判る気がするのである。

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