明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



永井荷風で力及ばず、周囲に配した七輪、煙草盆その他、日本画的遠近法で描くことはできなかった。そこで今回、『ゲンセンカン主人』で行灯、煙草盆をやってみた。それを配したのは最前であったし、そもそも写真でそんなことにはならないこともあり、いわれなくては気が付かない人もいるだろう。もしくは私がヘタクソだから、で終わってしまうかもしれない。知り合いのカメラマンからはこれで充分ではないか、そもそも陰影を取ったり遠近感を変える意味が解らない、といわれた。 私は眉間にレンズを当てる念写が理想といいながら、頭から取り出したものに、現実に在るかの如き陰影を与え、背景に馴染ませてきた。実在した人の場合はしかたない部分もあったが、そこにはイメージとズレがあることは気付いていたものの、どうしていいか解らなかった。それを見事にこなしていたのが、西洋的常識に毒されていない日本の先人達の浮世絵や日本画というわけである。 『ゲンセンカン主人』ではその記念すべき?第一作と考えていたのに、結果は行灯、煙草盆以外、ごく無難な“普通の”遠近感にしてしまった。しかしどうにも我慢ができない。幸いプリンターの田村さんが本日出社するというので再プリントをお願いした。田村さんは日曜美術館で『鈴木春信』を見たばかりだという。 初日に来ていただいた方には申し訳ないが、昨日オープニングがあったばかりのビリケン商会に作品を差し替えに行った。



※『拝啓つげ義春様』
 (前期)2017年9月30日(土)~10月15日(日)『ゲンセンカン主人』出品
 (後期)21017年10月21日(土)~11月5日(日)
ビリケンギャラリー
 住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
 TEL:03-3400-2214
 営業時間:12:00 ~19:00(月曜休)
 ホームページ:http://www.billiken-shokai.co.jp/

※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )