明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

構想  


実在した人物を作る場合、頭部を作るのに最も時間がかかる。それさえできれば、出来たも同然である。作りたい人物もほとんどなくなり、来春の個展では新たに撮影用に作るとしても、頭部がすでにある人物しか扱わないつもりである。ここ数年、撮影用に、写る部分しか作らなかったりした物等、作り飛ばして放ったらかし、であったので、ちゃんとしておこう、と考えたのが深川江戸資料館の個展であった。それでも展示にいたらなかった作品は10体体以上あったろう。広いホールではあったが、出品数の制限もあった。 写る部分しか作らなかったのは主に交通局のフリーペーパー用に制作した物で、画にならない、都営地下鉄沿線風景を背景にするため、背景を決めて、それに合わせて造形するという苦肉の策を取ったためだが、そういう背景と関係なく、改めて写真作品として残しておこうというもくろみもある。私の場合、実在した人物を、何もない所から始めた場合、写真撮影を含めて、1年で6体がせいぜいである。しかしすでにある作品を使い、頭部を作る必要がなければ、時間的余裕がある。となると、ちょっと欲が出てくるのは『寒山拾得』である。いずれ爺さんにでもなり、作品化する方法があれば、と頭の隅にウッスラ考えていた。そもそも私の晩年は今まで作って来たデータを、すべてオイルプリント化して終わるのではないか、と想像していたが、最近始めた手法のせいでそんな構想も崩れた。崩れたけれども、その方法なら、写真では扱えないだろうと思っていた『寒山拾得』を描けるような気がしてきた。意識したのは、今年の7月末、千駄木の全生庵へ三遊亭円朝像展示の件で伺った玄関先であった。中国の寒山寺と同じ、臨済宗の禅寺であったことに縁を感じた。こういうことは逃すべきではない。もっとも、昨日書いたように、私はブログでこうして思いついたことは書くが、断念したことは書かないのだけれど。

※『拝啓つげ義春様』
 (後期)21017年10月21日(土)~11月5日(日)『ゲンセンカン主人』展示
ビリケンギャラリー
 住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
 TEL:03-3400-2214
 営業時間:12:00 ~19:00(月曜休)
 ホームページ:http://www.billiken-shokai.co.jp/

※『タウン誌深川』25日“明日できること今日はせず”連載5回「芭蕉の実像」

※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

HP

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