明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



意外だったのは、ゲンセンカンの女将が、あんな顔した女性を撮影した、と思っている人が多いことである。だとしたら相当ユニークな顔である。先日も書いたが、私の加工のしかたは気分は粘土で造形している感じで、普通はどうするのかは知らないが、人形制作者のデジタル造形、多分写真関係者のそれとは大分趣が違うだろう。つまり元の顔を、粘土台に置き、ヘラで造形して行く。そんな心持ちなのである。それに限らず、私の場合は道具はフォトショップでも、方法がアナログ的な泥臭さなので、そんな所も全体の風合いに影響しているに違いない。ゲンセンカン女将の場合は原型のままなのは鼻だけである。原作にできるだけ近くしてみた。 こういうことは裸になってもらう場合、顔出し不可、なんていう時に威力を発揮するだろう。今までは、どうせ使えないのだから、と顔が入らないよう撮影することが多かったが、こんなことができるなら、下地の素材として撮影しておけば良かった。 三島由紀夫が神輿を担ぎながら死んでいる、というのを作った時(未発表)担ぎ手がアップで4人写っている。それぞれ懸命に担いでいる表情に臨場感がある。そこで4人の中で目や鼻や口を交換した。本人達が見ても、半纏を見ればうちの町会だし、何故か馴染み感は感じるけれども、という感じであろう。特撮監督の円谷英二を制作した時、かちどき橋を大蛸に襲わせたが、そのパーツが残っていたので、北斎をイメージして遊んでみたが、こんな娘はどこにも存在しない。



※『拝啓つげ義春様』
 (前期)2017年9月30日(土)~10月15日(日)『ゲンセンカン主人』出品
 (後期)21017年10月21日(土)~11月5日(日)
ビリケンギャラリー
 住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
 TEL:03-3400-2214
 営業時間:12:00 ~19:00(月曜休)
 ホームページ:http://www.billiken-shokai.co.jp/

※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )