明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


部屋が片付くまでは、人形を作り出したらそれに没頭し逃げてしまうことが判っており、次の段階に進むためにもまず片付けを、と粘土も入手しないままである。片付けの方はというと、薄皮を剥ぐように、上品な調子で進行中である。いつものように、かぶり付くように寒山と拾得に取りかからなくて良かった。薄皮を剥いでいるうち、当初のイメージから変わってきたからである。たまには品良くやるものである。 来年某所で泉鏡花関連の催事が予定されそうでもあり、今後個展会場で販売することも考え、風濤社より『貝の穴に河童の居る事』を送ってもらった。ビジュアル化されたのは初めてだろうし、今後もないだろう。通常では作者を作中に配するのだが、残念ながら鏡花の出番はなかった。その代わりに柳田 國男を河童に優しく接する“灯ともしの翁”役に起用したことが成果だった。未だに思い付いた瞬間を覚えている。立ち上がり、そのまま飲みに出掛けた。 16年に深川江戸資料館で開催されたスライドによる朗読ライブは立ち見も出るほどであったし、再演の機会を待ちたい。あの時は、今日ここで販売しないでどうする、という時に本が足りない、というミスもあったが、これで大丈夫である。 続いてリコーより2メートル超のプリント届く。うかつに拡げる訳にもいかず、リコーに全部送って2カット選んでもらった。エレベーターが開くとすぐに6、7センチの顔が数十倍に引き伸ばされた巨大な乱歩の顔が迎えるのだが、しばらくドアが開くたびギョッとしていた。
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旧HP
『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家たち』 2018年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutube
2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載10回『劇場の永井荷風』


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