クリスマスに目にして即座にページを閉じた〝頂相は形の上で表せるようなものではなく無相である“ という一文。長年人間を、形の上で表そうとして来た私に、とんだクリスマスプレゼントとなった。これは極意だ、といったところで、どう受け止め、どうするかは私にかかっている訳で、今まで色々あったものの、楽しくやって来たのに余計なことを知ってしまった、と後悔する可能性だって大いにある訳で、身分不相応な物を貰ってかえって始末に困る〝乞食が馬をもらう“という故事もある。 頂相の傑作といわれる国宝の蘭渓道隆の肖像画を参考に坐禅像を作った私に、この暮れも押し迫ったタイミングで「我が没年齢を超える前に、せめてここまでは来い。」といわれたかのようである。来年2月には超えてしまう。 件の乞食はというと、馬を貰って当初喜んだものの、餌代はかかるし鞍だって要る。こんな物貰うんじゃなかった、とぼやくことしきりであった。