明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



まことを写すという写真という用語に対し、まことなど写してなるものか、と長年あらがい続けて来た。夜の夢こそまことたる江戸川乱歩チルドレンからすると、あくまでマコトは己の中にこそ在る。 96年、SPACE YUIで、ギャラリーでの初めてのジャズ、ブルースシリーズの写真を展示した時のこと、某男性ファッション誌の編集者が、被写体の人形が目の前に置かれているのに写真はミュージシャンを撮った実写と間違えた。相当なオッチョコチョイだが、その時の、殴られたような違和感は忘れられない。 であればと一年後、作家シリーズに転向し、これなら大丈夫、と思ったらなかなかそうも行かず、長い旅路の末、陰影を排除することにより、まことなど欠片もない、とようやく丁種不合格を得たのではないか?不合格ののち、後ろから追いかけて来やしないか、心配する父親に手を引かれ、徴兵検査所から走り去った三島由紀夫ではないが〝ここまで来ればもう大丈夫“。七百数十年前の人物の頭を撫でながら遠くを見る目の私であった。



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