ルクセンブルクの現代美術ビエンナーレで、写真家の作品を左右反転した絵画が受賞し、写真家が盗作で訴えたが〝写真の独創性が不十分だった“として訴えを退ける判決が下された。訴えた方はとんだヤブ蛇で、不名誉な判決を受ける羽目に。昔、ジャズ系の絵を描いてる画家がネタ切れで、写真を反転するしかない、とこぼすのを聞いたことがあるが、人間の顔は左右対象ではなく、著名人がモチーフなので上手く行かなかったろう。私の場合は様々な写真を参考に立体を作る。作ってしまえば誰も撮ったことがない角度からも撮れるので問題はない。 訴えられた画家は、すべて承知の上でやっていることだろうし、あえて独創性に欠ける写真家の作品を選んだのであろう。 写真の弱点は、無い物は撮れないことである。どんな技術、手法を駆使しようと一番エラいのは被写体だと考えている。なので私がルールブックだ、といいたいがために、わざわざ被写体から作っている。