明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



表層の脳で企んだことはことごとくうまくいかない。陶芸家を目指したことだってそうである。昨日の続きになるが、絵の具をそこいら中に着けてオイルブリンと一人格闘していた時は、何しろメカ音痴。さらに昔、一眼レフのビントがあわなかったのは、まだ眼鏡をかけておらず、乱視のせいだったと気付いていないくらいで、いずれ発表などとは考えてもいなかった。であるから、画が出た時点で即止めたのである。表層の脳が早く止めよと苛んでいた。 しかし数年後、たまたま自分の作品を撮影する事になり、個展会場の壁面を飾るようになった。だったらいっそオイルプリントで、と再開する事になった。後から考えると、上の方で、客観的な存在が見ているのでは、と思いたくなるような話である。 考えて見ると人間も本来木や草と同じ自然物である。内部にはちゃんと答えがあるのではないか?その声を聞き逃しさえしなければ、まんざら外すことはなさそうである。今回、グループ展でご一緒した他のお三方も、どちらかというと、耳をすませているタイプとお見受けした。古典技法もさることながら、むしろ、そちらに共通点があったような気さえした。

ご来廊いただいた方々、ツィートその他でご意見いただいた方々に感謝いたします。

鵜の木駅前 会期中通いました。

オイルプリント制作法

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http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

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オイルプリントで個展を続けていた頃、『乱歩夜の夢こそまこと』の制作が決まりオイルプリントを中断した。そして4年続いた『中央公論Adagio』その後『三島由紀夫へのオマージュ展』つづいて『貝の穴に河童の居る事』。である。中井英夫のオマージュ展よりオイルプリントから遠ざかり十年。乱歩本が河童と同じ編集者だったこともあり、河童も終盤に差し掛かった頃には、オイルプリントの再開を考えていた。 この十年の間に写真を取り巻く状況は変わり、デジタルの反作用で古典技法への関心も高まっていた。 それにしても、よくオイルプリントを選んだものだ、と自分でも不思議になる。いくら考えても数ある技法の中で、私に向いているのはこれしかない。そもそも暗室作業が向いていないのだから話にならない。オイルプリントには暗室はいらないのである。 今回のグループ展は私にとって有意義なものであった。展示の予定も写真家になるつもりもないのに、人形作りを中断し、ただやりたいだけで取り組んだ日々を思い出した。こんなことをやっている場合ではない、とはらはらしながらやっていた。改めて、どうしてもやらずにいられないことはやっておくべきだと、思うのであった。それには必ず理由がある。

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洗濯をしながら部屋の整理。近々世田谷文学館から半年振りに6体の人形が帰ってくる。大変だ。 明日はグループ展最終日である。91年より、写真、カメラに興味がなかったはずの私が人形制作を放っぽりだして、突然始めたオイルプリント。当時一体何をしている。と友情を持って止めてくれたり心配してくれた友人も、ユーチューブで、ブラシでプリントする様子をで見て、あんなことやってたのか、といっていた。それが今日グループ展である。“待てば海路の日和あり”。子供の頃、お隣に勝手に上がりこんで、しょっちゅう聴いていた広沢虎造のレコード『石松三十石船』で覚えた。後年、おかげで、国語のテストで日和をつい“しより”と書いてしまった。 今回、私も色々考えるところがあった。本来の目的であった、人形やデジタルを使うこと、ウソやホントもすべて平らかにしてしまう手段としては、それはもうすでに実現している。過去の作品を改めて見直して見て、オイルの独特のグラデーションを生かしたポートレイトやヌード。つまり人物を撮りたくなった。そもそも形や内容を含め、人間にしか興味が無いところから私の人形制作は始まっている。顔が命といわれる人形を作って幾年月。そんな私ならではのアプローチが可能ではないだろうか。 会期中、鵜の木駅前の焼き鳥屋のTVでステージを見たばかりの岩崎宏美さんと、御主人の今拓哉さんが来廊された。どうやら楽しんでいただけたようである。件の焼き鳥もゲットとのこと。明日最終日。焼き鳥屋のオジサン、気がついたか訊いてみよう。

『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

http://t.co/lc05lwVaiM

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hasu no hanaへ向かう為、12時にT千穂の女将さんと、常連でギター仲間のトラックドライバーSさんと、昨日に続きイタチのKさんである。休みの日にどこにも行くところがないので一緒に行きたいという。定年過ぎたら飲むかパチンコしかない。そこで我々が飲もうがアルコールは一切禁止、ギャラリー内の椅子には座らない。という条件で許した。素面であればオドオドしたチワワ程度のものである。  鵜の木に着いて昼食後ギャラリーへ。ビリケン商会の三原さんがみえていた。三原さんとは付き合いが長い。ビリケン商会のはす向かいにあったギャラリーで82年に初個展、翌2度目の個展に来てくれた。以来、私の重要な場面、また私の見えないところで何かとお世話になっている。フェイスブックの画像では常にニコニコと満面の笑みだから、昔ビリケンにいたのは、双子の兄弟のもう一方であろう。 都写美の藤村里美さんが来廊。今から十数年前、古典技法を担当していた藤村さんを作品を持って訪ねた。古典技法のグループ展に参加している今日、隔世の感があるが、人見知りの私が訪ねて行くほど、話し相手がいなかった。 閉廊後、雑巾がけの?白石ちえこさんと飲みにいく。知り合ったのは20年ほど前だろうか。話はあらゆる方向に及び盛り上がり終電まで。 白石さんにもイタチのK公が愉快なおじさんに見えるらしい。実情を暴露したいが、そんな輩とよく一緒に、と私の品性が疑われるのでいえないのが実に悔しい。かといって利用価値がないわけではない。大きさが三島由紀夫とほぼ同じなので、『潮騒あるいは真夏の死』では、水に接するわずかな部分を人形と合成するためだけに房総に連れて行き、冷たい々とむずがるのを、日頃の憂さ晴らしを兼ね、つべこべいうな、と海水に浸けた。

※半年に及んだ世田谷文学館の展示が終了いたしました。有難う御座いました。

『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

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長く身辺雑記やブログを続けていると、最低な人物も登場する。一時期盛んに登場したのが、某ブラック企業を定年になった64歳の男である。書けないことを避けて書いていたら、なんだか面白いおじさんに思えるのか、勘違いした方々に妙な人気が出てしまった。これはいけない、と控えていた。 一見ニコニコしている陽気な人物のように見えるが、実態はそんな物ではなく、イタチにマムシが混ざったような男で、バレるウソを平気で撒き散らし、バレても笑っている。被害者はけっして笑えないのである。酔っ払っては何度も救急車で運ばれ、コタツの角で額をぶつけ数十針縫って“へ”と書いてある。 夜中に酔っ払って電話をかけてきた。ロレツが回らず何をいっているか判らない。いい加減にしろ。と電話を切ったが、数時間後またかけてきて、写真展会場に行く、というから絶対来るな、ときつくいった。アルコール類があると知ってしまったから、嫌な予感がしていたのである。ギャラリーカフェがどんなところか理解するような男ではない。会場に向かう電車の中でに「今ゴビ飲んでます」。とメールが着た。ゴビ?(後でコーヒーと判る。)マズイ。会場に着くと案の定である。ドロリとした目をして、一緒に出かける人がいないと必ず誘う、常にバイアグラを携帯しているという85歳と飲んでいる。居酒屋と勘違いしている。はやく帰れといっていると、関係者からまさかの発言「お父さんですか?」。人を見る目が無いにも程があるといいたい。 地元に帰ってとっちめるつもりが、このショックのおかげで顔見たらかえって怒る気が萎え、いくら飲んでも酔えなかった。いつか荒川の土手で寝転がっていたら、頭に雀が止まったことがある。『こんなことではいけない』。反省した。あの時の気分と非常に似ている。

 

半年間の世田谷文学館の展示も5日までです。

※世田谷文学館にて展示中

オイルプリント制作法

 

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『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

 

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会期も終盤である。額のアクリル板を外し見え方が変わった。 写真というはた迷惑な用語から決別するとなると、同時に古典技法という用語からも、ということになる。写真の歴史自体、たかだか200年である。写真とすれば古典だ、という程度のことである。 オイルプリントが、用紙にただ油性絵の具が残るピグメント法であるところがポイントである。写真と思うから首をかしげられてしまう。見たことが無い物に対して、まずこれは何?となってしまうのが日本人なのだな。と発表当時感じたので、私なりのやり方になっていたが、技法の公開をした。一方。技法の不思議さにばかり目がいって、肝心の私の表現が届かないとしたら作品に力が無いからだ。私もそのくらいのことは考える。オイルプリントを休止していた間に、頭に浮かんだ程度のイメージは取り出せるようになった。制作途中の粘土像を前に、何処かヘンなのに何をどうしていいか判らない。そんな昔良く見た夢も最近は見ることもない。  『The Pit and the Pendulum』。縛り付けられたポーの上に、徐々に迫る刃の付いた恐怖の振子。制作を頼む友人の一人が通風になってしまい、会場に行かれるかどうか判らないとのメール。

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『モダン藝術写真展』9月15日(月)~10月7日(火)

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※世田谷文学館にて展示中10月5日まで

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私がポーを作り始めると、かつて『三島由紀夫へオマージュ男の死』を反対した友人が、またも「なんでさらにマイナーな方向に」といった。私は何をいっている。海外ではマグカップ、Tシャツ、あげくは縫ぐるみにまでなっている稀有な作家であるぞ。と反論した。しかし私の在廊中、今のところ未だポーの愛読者にお目にかかっていない。 そんな時、翻訳家の金原瑞人さんから新訳書を御恵投いただいた。『ポー怪奇幻想集』ダビッド・ガルシア・フォレス画1赤の怪奇2黒の恐怖の2冊である(原書房)スペインのイラストレーターだそうだが、ポー作品が親しみやすく、かつ不気味に描かれている。これがきっかけで、ポーが注目されることも期待できるだろう。 ネットでまったくのデジタルで制作された人物を見た。いよいよ私が待ち望む、イメージがすべて。ウソもマコトもあるもんか的時代になってきたようである。さらに某所では“石塚式オイルプリント”のワークショップが開かれるという。廃れた技法、オイルプリントの再興を目指し、HPで技法を公開して14年。かつて森田健作が唯一私を感心させた一言が「正義が勝つには時間がかかる」。 現在グループ展で一緒に作品を並べる鈴木ノアさんがブロムオイルを始めたきっかけは、私のHPだったというではないか。時間が経つのは早いともいえ、感慨もひとしおである。初対面だけど。

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脇役  


エドガー・ポーを作り進めるには、どうしても他に役者が必要である。しかし我がタレント事務所?には日本人と残りわずかな黒人だけである。黒人は『黄金虫』のジュピターぐらいしか出番はないし。『貝の穴に河童の居る事』(風涛社)に登場いただいたK本の常連は、どう見てもすべてモンゴロイド系なので使えない。 そういえば一人いた。ドストエフスキーである。ポーを敬愛し、影響を受けた作家であるからうってつけである。『落とし穴と振り子』の、異端審問をする側にしてしまったりして? ドストエフスキーは実際の写真を見ると口は半開きで、心ここに在らずな表情である。これじゃ文豪にならない、と私はアンモニアを嗅がせてしゃんとさせてある。髭は実際は、これほど密集していないので何かで工夫したい。 それにしても役者不足である。後の使い道を考えると同じく大いに影響を受けたボードレールを作るのはどうか。私は常にこういった感じで枝葉を伸ばしていく。 もしくは怪奇俳優ヴィンセント・プライスなどどうだろう。私がポーに初めて触れたのは小学生の時にTVで観た『恐怖の振り子』(61)である。ポー作品に付き物の俳優といえるだろう。もっとも作家と違って俳優は肖像に対する権利はうるさい。しかしあの個性的な顔は4分の1、チラ見させる程度で充分効く。ポー作品に出演した映画俳優をポー作品の中で作者のポーと共演させる。こうなるとハチャメチャなようであるが、心配することは全くない。所詮私の中に浮かんだイメージである。自動的に私カラー一色に染まって出てくる寸法である。

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