岩だらけの、達磨大師が座禅した少林寺の岩が重なる洞穴の壁は自分で作ったが、中国の山水風景は、当初、作業台の上にジオラマのように作るつもりでいたが、予定と違う作り方で進行している。陰影を出さない状態で撮影した岩や石は、切ったりつなげたり自由自在なのであった。霧が立ち込める奇岩そそり立つ山岳風景は、古来より不老長寿の仙人が住むと思われて来た。これで私を調子に乗せてしまった。実際の山を撮りに行くことは二度となく〝外の世界にレンズを向けず、眉間にレンズを当てる念写が理想”にまた一歩近付いたといえるだろう。『虎渓三笑図』の虎渓とは虎が住んだと言われている。今のところただの岩山なので、明日は有機的な草木の要素、滝を加えたい。最後に境界となる石橋を撮影すれば画面に初の三人。薄笑いではあるが、私が40年で初期に数人しか作ったことのない笑う三人男となる。
Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念
10月13日(木)〜11月6日(日)
ふげん社イベントページ