The Marvel Studios Story: How a Failing Comic Book Publisher Became a Hollywood Superhero (The Business Storybook Series) by Charlie Wetzel (Author), Stephanie Wetzel (Author)
https://www.amazon.com/dp/1400216133
はマーベル・ファン必読の1冊になる。
マーベルのスーパーヒーロー全員について実にドラマティックに書かれているのがすばらしい。
例えばマイティ・ソーと『マイティ・ソー バトルロイヤル』については次のように書かれている。
今日のGetUpEnglishはその部分を紹介しよう。
In Thor: Ragnarock, Feige sought out a director to change things up again: Taika Waititi. “It was really Boy that convinced us. And it was the meetings with Taika,” said Feige of the choice to hire Waititi as director. The native of New Zealand got his start doing comedic short films that often relied on improvisation. He brought a different take on Thor that Feige loved. “He always knew he wanted to do a movie like this,” said Feige. “He always knew he had a bigger scale movie in him. And I think he trusted that we wanted to do different things with the characters. He had done a sizzle reel that he had brought to our first meeting, that was hilarious—just clips from other movies, clips from other Thor movies, cut together with his own unique take and tone. And he used [Led Zeppelin’s] ‘Immigrant Song’ in that sizzle reel. And it just unlocked a whole new thing for us. We went: ‘This is it, this has got to be in the movie, this song’s got to be in the marketing.’ And, of course, it was.”11
『マイティ・ソー バトルロイヤル』でファイギはふたたび新しい風を吹き込んでくれる監督を見つけ出した。タイカ・ワイティティ(1975~ )だ。「決め手はやっぱり男の子的要素です。タイカに会ってそれに気づきました」とファイギは言う。ニュージーランド人のワイティティは短篇コメディ映画監督としてキャリアをスタートしたが、アドリブを使うこともよくあった。そんなワイティティは『マイティ・ソー』に違う一面をもたらし、ファイギもそれを気に入ったのだ。ファイギは言う。「こんなふうに、タイカはどんな映画を作るのがいいかわかっていました。これまでなかったスケールの映画をイメージしていたのです。最初のミーティングにイメージ動画を作って持ってきてくれましたが、これがまた傑作でした。ほかの映画のトレーラーのようにソーの映画からイメージを取って作ってありましたが、タイカ独自のセンスとアイデアがあふれていたのです。そして音楽にはレッド・ツェッペリンの「移民の歌」が使われていました。まったく斬新なアイデアでした。『これだ! これを映画に使おう。この曲で客を引き寄せることができる』。そのとおりになりました」
‘This is it, this has got to be in the movie, this song’s got to be in the marketing.’は直訳すれば、「これだ、これを映画に使わなければならない、この曲をマーケティングに使わなければならない」ということだが、①英語のニュアンスを考える、②日本語は普通どういうかを考えれば、試訳くらいの言い方にしてよいと思う。
よく翻訳には意訳が必要だという人もいるが、上のふたつのことを考えると大体自然に処理できると思う。
上杉と一緒に仕事をしてくださる編集者のみなさんはそのあたりをいつも建設的にsuggestionしてくれるので、大変助かっている。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』、実に愉快な映画だし、ここから『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』につながるので、ぜひご覧いただきたい。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』
ジム・マッキャン (著), エリック・ピアソン (著), タイカ・ワイティティ (著), 上杉 隼人 (翻訳)好評発売中。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000190775
本文より
「ほら、言いなさい。おまえはいったい何の神だった?」
ソーの意識はふたたびアスガルドに戻っていた。右目が見えない彼の喉元をつかんで、ヘラが尋ねる。
ビリビリビリビリ……。剣におさえられていたその右腕がバチバチと青い光を発する。ヘラは驚いてそちらに目を向ける。ソーの左目も同じ青い光を発する。ヘラは今度は空を見上げた。そして「うわあ!」と大声を上げる。
ビリビリビリビリ……ダーーーーン! 強力な雷が二人のいるアスガルドの宮殿に落下した! 虹の橋の上にいた誰もがその強力な光を見上がる。
バキバキ! ドーン! ヘラの体は吹き飛ばされ、はるか下に落ちていった。
ビリビリビリビリ……。雷の光に包まれたソーが虹の橋に降りてくる。ヘラの兵士たちは寄り固まって迎えうつ。
ダーーーン! バリバリ……! 雷神(ゴッド・オブ・サンダー)が舞い降りた。その目も、体も、強力な青白い光を発している。襲いかかる兵士たちを、光を放つ体を回転させて一気に蹴散らす。まさしく光のボルトと化したソーをもはや止めることができない。強力なパンチとキックを繰り出し、敵を次々になぎ倒していく。ある兵士の体ははるか遠くに投げ飛ばす。