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名翻訳家の柴田元幸がまた英語を楽しく勉強できる訳書を刊行してくれた。
エドワード・ゴーリーの『失敬な招喚』(河出書房新社)である。
GetUpEnglishでは今日から3日間、本書に出てきた気になる英語表現を紹介しつつ、ゴーリー文学と柴田訳のすばらしさをお伝えできたらと思う。
『失敬な招喚』(Edward Gorey, The Disrespectful Summons)はこの文章ではじまる。
〇Practical Example
The Devil gave a sudden leap
And struck Miss Squill all of a heap.
本書はこのように全編にわたって各ページに2行の詩が左ページに、そして絵が右ページ書かれているのだが、詩はご覧のようにすべて末尾が韻を踏んでいる。
正確な意味で訳すことも大事であるが、この韻を踏んでいる感じも出さないと原文の最大の特徴を再現できないことになるので、訳出は相当工夫しないといけないだろう。
ぜひ『失敬な招喚』をご覧いただき、柴田元幸の訳の妙技をご確認いただきたい。
●Extra Point
なお、all of a heapは「どうと、どたりと[倒れる]」。
knock [strike] someone all of a heap(~をびっくり仰天させる、あっと驚かせる、すっかりうろたえさせる)の形でよく使われる。
◎Extra Example
The surprise birthday party my students gave me knocked me all of a heap.
「学生が私の誕生日にびっくりパーティーを開いてくれたときには、ほんとに驚いたよ」
☆Extra Extra Point
もう一例。
★Extra Extra Example
His generosity struck us all of a heap.
「彼の気前のよさにはみんなすっかり驚かされた」