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エチオピア黙示録

2005-05-10 18:21:24 | アート・文化
野町和嘉写真展

2005年4月29日(金)~5月20日(金)
コニカミノルタプラザギャラリーB&C(新宿タカノビル4F) 
10:30~19:00 無料

photo




写真展のパンフと説明文

野町和嘉氏は、これまで一貫して「過酷な風土のもとで力強く生きる人々」を追い続け、ドキュメンタリー写真家として世界的に高い評価を得ています。
本展は、東アフリカの一角に位置し、灼熱の砂漠に取り囲まれた高原にあって、独自のキリスト教文化を育んだエチオピアをモチーフとしています。

1980年代、エチオピアは、たび重なる旱魃と、終わりのない内戦により困難な時代に直面していました。野町氏は、情にあふれる高原のユニークな暮らしや、生活のなかに深く根付いた独自の信仰を精緻に写し撮ると同時に、未曾有の飢餓に見舞われたエチオピアの、困難と苦悩を映像化しています。

今回の写真展は、極限状況下での人々の強靭な生きざまと、3000年の歴史が培った中世さながらの宗教文化という、エチオピアの実情に触れていただくと共に、“困難に立ち向かう魂”“人間の豊かさとは何か”といった、人間本来のあり方を感じていただける機会をご提供できるものと確信しております。

野町氏渾身のリポートを是非ご高覧ください。

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精神的な力強さを秘めたモノクロの作品である。
一部は高原で暮らす人々の写真。
二部は旱魃と内紛による飢餓。1984年には100万を越える人びとが犠牲になった。特に多いのは子どもたちであった。
三部はエチオピア正教で祈る人々の姿。
いい写真だ。第二部の飢餓で死んでいく子どもたちの写真は声もでない。 ぜひ見てもらいたい。

エチオピアには行ったことはない。アベベやロバのふるさととして時折紹介されるのを見るだけだが、高原である。
野町さんによれば、独自の文化を作り上げてきた人びとであったという。その人びとに与えられた試練、旱魃と内紛。生きることへの模索。100万もの人びと、特に子どもたちが死んでいった。なんで死ななければならないのか。この子達にも人びとにも罪はないのに、不条理である。「天道、是か非か」(史記)を再び思い起こしてしまった。この言葉は残念ながら、まだ世界の多くの場にあてはまる。

「天道人を殺さず」 天は慈悲深くて人を見捨てることはない。天の慈悲の広大なことをいう。にもかかわらず、「天道是か非か」個人に非があるのでもなく、残酷な運命にもてあそばれ、見捨てられる人々もいる。果たして天道は本当に正邪を区別しているのだろうか。

しかし、そういう過酷な運命にも立ち向かって生きようとする人々の姿、それは感動である。

私はJVC(日本國際ボランティアセンター)のカレンダーで野町さんとはおなじみである。野町さんの写真が好きである。「祈りの大地」は平塚美術館と、都写真美術館でみた。自然とその中で生きる人間の生き方がじつに時間をともなって撮られている。「祈りの大地」はカラーだったが、これはモノクロである。今は写真の技術が進歩して、印画紙もいいのができたので、カラー写真をモノクロに変えることができるのだと言う。しかし元の写真が光を意識していないと、モノクロにしても美しくはないだろう。大分見た写真があったが、モノクロにしたことによって、印象がずいぶんと変わったし、力強さも増したように思う。もちろん写真は技術的なものばかりではない。写真は、写し手の思想信条、何を訴えたいかに他ならない。
そして作品を通して、見る側もそれを受け取っていく。

コメント
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