買い物から帰ってきたとき、息子が白い花に気が付いた?と聞いた。ううん、そこでコンデジをもってついていくと、教室の前のしいのきの根元にこの花があった。あちこち同じようなスタイルで、いくつも咲いている。葉はない。ウドみたいな植物である。幽霊の名前がついていたみたい、と言いながら、写真を撮った。幽霊みたいと思ったのは、ギョリンソウだが、違った。知恵袋で問い合わせると、「タシロラン」だと教えてくれた。タシロランの説明を読むと、準絶滅危惧種であることも分かった。常緑樹林帯の、落ち葉の多い、自然が豊かなところに生える。三浦半島や皇居にある・・といった記述があった。なるほど、条件としてはここは生育場所としては適している。しかし、なぜ今年咲いたのか。どこから来たのか?長く住んでいるが初めて見た、というより気が付いた。
真鶴の植物のことなら、松本農園の茂さんに聞けばわかると、朝っぱらから電話をして聞いてみた。やはりすぐわかった。お林の木陰にも、松本農園にも自生しているそうだ。なら納得。シイの落ち葉がうずたかく積もって、お林のような条件だから、鳥さんが運んできたのが生えたんだろうが???
、
ネットで調べると、タシロランについてこういう書き込みがあったのでお借りしてここに載せる。ただし記述中の写真はカットされてしまっている。おかげで腐生植物なんて、いろいろ知った。
「ランと言うと,カラフルで華やかなランを想像するが,タシロランは華やかさとは無縁な地味なランで,ツクシを細く頼りなくしたような茎の上に,緑の葉はなく,イネの穂のような若干黄色味を帯びた白い花が咲く。
2001年,神奈川県公園協会主催の観察会で,初めてタシロランを見た時,正直のところ私は内心ガッカリした。ところが,講師の観音崎自然博物館・主幹研究員の話を聞いたり,ネットでタシロランについて調べたりする内に,このランが非常に貴重なランであることを知り,そう思ってこのランを改めて眺めると,神秘的な森の妖精のように見えてきたから妙なものだ。
タシロラン(田代蘭)の名は,発見者の田代善太郎氏に因んで,牧野富太郎博士により命名された。観音崎のような常緑樹林内に生える,葉緑素を持たない腐生殖物で,観音崎では1983年6月東京湾海上交通センターの職員により発見された。
花期は6月下旬から7月上旬にかけての約2週間。関東地方南部以西の良く保存された森の,落ち葉が堆積して腐葉土に近い状態の日陰の場所からごく稀に生える。タシロランが生えることは,豊かな自然に恵まれていることの証でもあり,観音崎でいつまでもこのランが見られるよう,大切にしたいものだ。。
2003.6.24
環境省 準絶滅危惧種
ネットでタシロランをキーワードに検索したところ,日本生物多様性防衛ネットワークの河野昭一代表幹事の「京都御苑のタシロラン保護に関する要望書」が専門的でありながら,素人の私にも判りやすかったので,抜粋してご紹介させて頂きます。
タシロランは、照葉樹林の暗い林床に成育し、光合成をしない無葉の腐生ランで、地下部は菌根となり、得意な生活様式を持っていますが、その生活史の詳細は未だ解明されていません。
産地は、オーストラリア、マレーシア、インドシナ、中国南部、台湾、日本となっています。日本での産地は少なく、九州、沖縄の限られた地域にその産地が知られ、また、本州では群馬県高崎(絶滅)、神奈川県(三浦半島)(すでに絶滅?)、静岡県静岡(すでに絶滅?)、和歌山県(危険)、高知(危険)などに極限され、すでにその北限地域では絶滅してしまったと報告されています。
環境庁は、タシロランを絶滅の危険性がある「危急種」に指定していますが、その危産ぶりからすると限りなく絶滅危惧種に近いと考えられれます。このような危産・貴重種が大都市のどまんなかにある京都御苑に産するのは奇跡的なことであり、大変な驚くべきことです。
タシロランの生育条件は極めてデリケートであり、高木一本伐っても、土壌を掘り起こしても、落葉を掻いても、生育環境の破壊につながる取り返しのつかない事態となります。したがって、現在行われている草刈りした植物体や落葉の投棄は、少なくとも本種の成育地や隣接地では直ちにやめるべきです。
また、タシロランの成育地の上に、無神経に落葉や刈り草を山積みすることや、整備の名のもとに林地面積を減らしたり、芝地に変えたりすることは決してしてはならないことです。ましてや、樹木の伐採や、緑地の減少を伴う建物施設の建設などは、いかなる目的であれ避けなければなりません。
本種は、学術的にも危産・貴重種でありますが、本種のみを保護すればよいという考えは安易であり、最終的には本種の保護にもならない有害なものとなってしまいます。大切なのは御苑の自然環境全体を保護することであり、本種を含む植物、菌類、昆虫類、チョウ類などからなる多様な生物群全体、まさに生物多様性を保護することこそが今求められていることです。
環境行政のよきお手本として、環境庁は自らの管理区域内に成育する絶滅危急種の保護保全に全力を尽くされるようお願いする次第です。浅慮による開発行為等によって、タシロランに象徴される危産・貴重種が絶滅してしまうようなことがあってはなりません。京都の文化には、自然との調和、自然との共存、自然との一体感といったものを求める世界に誇るべき伝統があるのですから、本種の保護をもってその範を示されんことを切に願う次第です。」
真鶴の植物のことなら、松本農園の茂さんに聞けばわかると、朝っぱらから電話をして聞いてみた。やはりすぐわかった。お林の木陰にも、松本農園にも自生しているそうだ。なら納得。シイの落ち葉がうずたかく積もって、お林のような条件だから、鳥さんが運んできたのが生えたんだろうが???
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ネットで調べると、タシロランについてこういう書き込みがあったのでお借りしてここに載せる。ただし記述中の写真はカットされてしまっている。おかげで腐生植物なんて、いろいろ知った。
「ランと言うと,カラフルで華やかなランを想像するが,タシロランは華やかさとは無縁な地味なランで,ツクシを細く頼りなくしたような茎の上に,緑の葉はなく,イネの穂のような若干黄色味を帯びた白い花が咲く。
2001年,神奈川県公園協会主催の観察会で,初めてタシロランを見た時,正直のところ私は内心ガッカリした。ところが,講師の観音崎自然博物館・主幹研究員の話を聞いたり,ネットでタシロランについて調べたりする内に,このランが非常に貴重なランであることを知り,そう思ってこのランを改めて眺めると,神秘的な森の妖精のように見えてきたから妙なものだ。
タシロラン(田代蘭)の名は,発見者の田代善太郎氏に因んで,牧野富太郎博士により命名された。観音崎のような常緑樹林内に生える,葉緑素を持たない腐生殖物で,観音崎では1983年6月東京湾海上交通センターの職員により発見された。
花期は6月下旬から7月上旬にかけての約2週間。関東地方南部以西の良く保存された森の,落ち葉が堆積して腐葉土に近い状態の日陰の場所からごく稀に生える。タシロランが生えることは,豊かな自然に恵まれていることの証でもあり,観音崎でいつまでもこのランが見られるよう,大切にしたいものだ。。
2003.6.24
環境省 準絶滅危惧種
ネットでタシロランをキーワードに検索したところ,日本生物多様性防衛ネットワークの河野昭一代表幹事の「京都御苑のタシロラン保護に関する要望書」が専門的でありながら,素人の私にも判りやすかったので,抜粋してご紹介させて頂きます。
タシロランは、照葉樹林の暗い林床に成育し、光合成をしない無葉の腐生ランで、地下部は菌根となり、得意な生活様式を持っていますが、その生活史の詳細は未だ解明されていません。
産地は、オーストラリア、マレーシア、インドシナ、中国南部、台湾、日本となっています。日本での産地は少なく、九州、沖縄の限られた地域にその産地が知られ、また、本州では群馬県高崎(絶滅)、神奈川県(三浦半島)(すでに絶滅?)、静岡県静岡(すでに絶滅?)、和歌山県(危険)、高知(危険)などに極限され、すでにその北限地域では絶滅してしまったと報告されています。
環境庁は、タシロランを絶滅の危険性がある「危急種」に指定していますが、その危産ぶりからすると限りなく絶滅危惧種に近いと考えられれます。このような危産・貴重種が大都市のどまんなかにある京都御苑に産するのは奇跡的なことであり、大変な驚くべきことです。
タシロランの生育条件は極めてデリケートであり、高木一本伐っても、土壌を掘り起こしても、落葉を掻いても、生育環境の破壊につながる取り返しのつかない事態となります。したがって、現在行われている草刈りした植物体や落葉の投棄は、少なくとも本種の成育地や隣接地では直ちにやめるべきです。
また、タシロランの成育地の上に、無神経に落葉や刈り草を山積みすることや、整備の名のもとに林地面積を減らしたり、芝地に変えたりすることは決してしてはならないことです。ましてや、樹木の伐採や、緑地の減少を伴う建物施設の建設などは、いかなる目的であれ避けなければなりません。
本種は、学術的にも危産・貴重種でありますが、本種のみを保護すればよいという考えは安易であり、最終的には本種の保護にもならない有害なものとなってしまいます。大切なのは御苑の自然環境全体を保護することであり、本種を含む植物、菌類、昆虫類、チョウ類などからなる多様な生物群全体、まさに生物多様性を保護することこそが今求められていることです。
環境行政のよきお手本として、環境庁は自らの管理区域内に成育する絶滅危急種の保護保全に全力を尽くされるようお願いする次第です。浅慮による開発行為等によって、タシロランに象徴される危産・貴重種が絶滅してしまうようなことがあってはなりません。京都の文化には、自然との調和、自然との共存、自然との一体感といったものを求める世界に誇るべき伝統があるのですから、本種の保護をもってその範を示されんことを切に願う次第です。」