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ルーペ

2014-07-05 20:03:29 | アート・文化

ルーペが届いた。goose-neck ropeという読書用のスタンド式のルーペである。大きさはIpadminiくらい。倍率は1.8倍、薄いレンズ。レンズの下に本を置いて読むらしい。確かに字は拡大される。丸い虫メガネと違い広範囲がおおきくなるので、楽のようだ。で、いろいろやってみた。なかなか好みの位置におけない。だから均一に表示するのは難しい。上からの光がレンズに入ってしまって邪魔。試行錯誤しながら、たったの1ページ読んだだけで、頭が痛くなってしまった。困ったな、いずれはなれるだろうが、「マリウス」を読むだけなのだが、その間、このレンズと付き合うのは気が重い。「マリウス」はやっぱりご縁がないのかな、とまで思った。

 

そんなとき、以前CMで石坂浩二がかけていた眼鏡の上からかけるルーペを思い出した。なんて言ったかな?商品名がわからない。そこで石坂浩二のルーペで検索するとすぐわかった。ハズキルーペという名前だった。そこで、今度はこのハズキルーペを注文した。

 

今日、それが届いた。早速眼鏡の上からかけ、「マリウス」を読んでみた。手で本を近づけたり、離したりして、焦点を合わせたが、これはいい。使いやすいし、読みやすい。あっという間に16ぺージ読んだ。うふふ、そんなに飛ばさなくてもいい、ポレポレ、と言いながらやめた。

 

マリウスの出だしは、ローマから離れた田舎の農園、彼が父なき後、家督を継ぎ、先祖のために供養しているところから始まる。地方の伝統的な神々に祈りをささげ、先祖を敬う日常的な儀式、要するに、マリウスの若き日の宗教的影響を紹介している。当時のローマの神々はどういうものであったかは知らない。時代を推し量れば、マククス・アウレリウスは五賢帝の最後、2ADの人だ。まだキリスト教は公認されていない。ペイター自身、イギリス人なのだから、資料は調べたとはいえ、そこら辺は斜め読みしてもいいだろう、と研究者でない私は、いわゆる小説として読むことにした。作者が聞いたら、目を剥くだろうが。ただやたらとプラトンが使われている。プラトンを読み漁ったのは20代のことだ。ギリシャ哲学は、とうに記憶のかなただ。思わず苦笑してしまった。さりとて、困ることもないが。ただ、本多さんの訳はいただけない。

それにしてもこの本は、訳注のまったくない。紙面の節約のためか、事情はわからないが。昭和25年当時、文庫本は星ひとつが40円、新書は80円だった、と思う。この本は世界文学選書31として出版され、定価150円。当時としては妥当な本である。文庫本だって、ものによりけりだが、訳注は付いていたような気がする。

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