今年は蜩が絶好調で、
七月の初めから今までずーっと鳴いてる。
ひとりひとり音階もテンポも違うので、
輪唱になるとすごい。美しい。
今はミンミン、ツクツクも出そろった蝉時雨。
アブラの声が響いてると、
どこまでが自分の体か分からなくなる。
三の鳥居を入ったところの気が濃くて、
それ以上進めない。
虫に追い払われる。
同じ岩の上にいつもいるカモメ。
美人で、気持ちのいい場所でゆっくりくつろいで、
ときどき毛づくろいをしてるので、
女の子だナ、と思った。
先週末、急に星が見えだした。
ペルセウスの日は河原に行っても
ろくに見えなかったのに。
夕暮れの西の空に金星。ビッカビカ。
月も明るくなって、仲秋の予感。
でも今や、仲秋の名月も晩夏の一環。
虫の声も晩夏の一環。
白鳥、鷲、蠍がはっきりしてきた。
葛が元気。
まだ富士山は見えない。
晩夏というにはまだ早い、真夏の終盤。
お盆過ぎたら急に、海から人が減った。
みんなマジメか。
夕暮れ時、泣きながら
「海に行くー」と水に入っていく子供。
「動いちゃダメ!」と、浮き輪に乗って偉そうなお姉ちゃん。
ビーサンが流されてるのに気づかない、夏のオレ。
「流されてるよー」と離れたところから身振りで知らせても、
(あのおネエちゃん達も、オレのこと見てるし!)と全然気づかない。
面白いから水槽で飼いたい、夏のオレ。
時々日に当てとけばいい。
50年来その海に来てる、という70がらみの兄弟と話してたら、
考えてることが私たちとだいぶカブっていた。
クラゲのかわし方、海に入ると体の調子が全然違う、
夏の由比ヶ浜、逗子うざい、など。
夕暮れ時に一人で泳ぐマダムとも顔見知りに。
今年は去年よりぐっと、葉山の海とお近づきになれた。