金正日重病説/日本が為すべきこと

2008-09-15 07:30:57 | Weblog

 9月9日(08年)の北朝鮮建国60周年行事という重要な式典に出席して然るべき金正日将軍様が欠席して重病説が取り沙汰され、その後脳梗塞で倒れて入院治療中だと報じられた。

 どの程度の症状なのか、回復説と重病説が交錯しているようだが、9月13日「毎日jp」≪北朝鮮:金総書記重病説 病状は?異なる報道 韓国「急速に回復」/米国「重病」≫の見出し記事を伝えている。

 内容は、韓国側は「脳卒中の後遺症である断続的で不規則なけいれん」の症状があって建国60周年記念行事に参加できなかったものの、急速に回復して自分で歯磨きができるまでに回復しているとする説を採り、米国側は重病説を展開、金正日政権が崩壊した場合を想定して米国と中国が対応を協議しているしている。

 中国当局の見方は<金総書記が言語・思考に特段の問題がないものの、身体活動の制約により体力の急速な減退を免れないと判断。長期的には通常の統治行為の継続にも影響がありうると見ている>と伝えている。
 世界の注視は金正日が統治能力を失った場合の後継者問題と後継の内容であろう。誰がなるのか?権力移譲がスムーズに行われるのか?どのような体制となるのか?

 スムーズに行われず、権力闘争が発生した場合の政治混乱、あるいは社会混乱の程度は?

 後継が父子継承であるなしに関係なく、金正日の指名と承認を受ける形式を採った場合(父子継承を装って子の背後で権力を操る、金正日の指名と承認を利用した権力の二重構造ということもあり得る)、例え実体は伴わなくても、後継者は権力掌握と権力遂行の正統性を金正日の指名と承認に置くことになるから、金正日を偉大な正義の人と価値づけ続ける必要性が生じる。その時点で、権力継承者は金正日の全存在を肯定する立場に自分を縛り付けることになる。

 金正日の人格とその権力を否定した場合、金正日からの権力継承の正統性自体を自分から否定することになるからなのは断るまでもない。 

 日本は拉致問題を抱えている。今まで繰返し言ってきたことの繰返しに過ぎないが、昨07年2月24日当ブログ≪アメリカは北朝鮮に譲歩したのだろうか≫で次のように書いた。

 <実際に後継問題が持ち上がって、後継が内定し独裁政権の父子継承が決定的となった場合、現状でも困難な状況にある拉致問題はその解決の目を失うことが予想される。拉致は金正日自身の主導によって行われただろうからである。

 いわば拉致の真相解明を最も恐れるのは拉致行為張本人の金正日自身であり、権力の父子継承によって、真相解明に蓋をする先延ばしが可能となるからである。

 北朝鮮は日本と国交正常化を果たして日本からの戦後補償と経済援助を梃子に壊滅状況にある北朝鮮経済建て直しの重要な起爆剤の一つとしなければならないことは誰の目にも明らかなことであろう。起爆剤とする唯一の条件は拉致問題の全面解決なのは言うまでもない。また北朝鮮経済の建て直しは金正日独裁体制保証の条件であるだけではなく、父親の金日成から権力を引き継いだと同じく、自分の子どもに権力を無事引き継ぎ父子継承を保証する条件でもある。

 と言うことは、拉致解決が金正日独裁体とそれに引き続く権力父子継承を保証する切って捨てることはできないハードル・条件でもあると言うことであろう。

 ところが、拉致は解決済みの態度を崩さないし、今回の6カ国協議では日本相手にせずの姿勢を取っている。拉致解決のカードを切ることで様々な保証獲得のより有利なカードに替える、誰でもそうするに違いない手を打たずに不利と分かるカードを手に握ったままでいるのは、裏を返すなら、金正日にとって拉致解決はそれ以上に不利なカードとなるからだろう。いわば日朝国交正常化が朝鮮経済の建て直しのカードとはなり得ても、金正日独裁体制保証と権力父子継承保証のカードとはなり得ないということである。ここに金正日が拉致行為張本人とする根拠がある。拉致解決は金正日を権力者の座から引きずり降ろし、決定的な悪人・無様な道化として世界史に刻み付けることになる記念碑となるだろう。>

 このことは父子継承ではなくても、金正日の指名と承認を受けた場合の権力継承に於いても事情は同じということになる。自己の権力掌握と権力遂行の正統性の証明道具として金正日を絶対正義の人と肯定せざるを得ない立場上、その存在を否定することになる悪事の数々の暴露を自ら封印することになる。

 いわば日本の経済支援は拉致真相解明のカード足り得ないことに変わりはないということである。

 そうであるなら、拉致解決は金正日の指名と承認を得る形式の父子継承ではなく、あるいは他者継承でもなく、金正日からの権力継承の正統性を相互に争う複数の者の権力闘争であっては困るが、例え権力闘争が発生して北朝鮮内に混乱が起きようとも、金正日の指名と承認を受けない、いわば自ら権力をもぎ取る形式の完全な第三者による権力継承が拉致解決には望ましいことになる。例えそれが似たような独裁権力であっても、北朝鮮経済建て直しの条件に金正日の正義性を障害としないだろうからである。

 日本側から言えば、戦争補償と経済支援が拉致真相解明の交換条件としてのカード足り得ることになる。

 ということなら、日本が先ず為すべきことは「日本は金正日独裁権力の父子継承は望まない。世界も望むべきではない」というメッセージを世界に送ることだろう。例え内政干渉だと非難を受けようとも、メッセージを発し、世界の多くの国に同調を求める。

 「北朝鮮国民が飢餓を免れ、人間らしい生活が送れるよう、独裁体制が金正日政権で終わり、北朝鮮の国家体制が人権の自由と平和を保障する民主主義体制となることを望む」とまで踏み込んで。

 メッセージが効果を見ず、金正日の全存在性の正統化を道連れとすることで自らの権力継承を正統づけることになる父子継承か、もしくは第三者継承ということになったなら、拉致解決はさらに遠のくことになるが、例え独裁体制に別れを告げて民主主義体制となる最善の場面は望むべくはないとしても、次善の場面として金正日の正当化を道連れとしない、縁続きではない独裁体制の誕生ということなら、既に述べたように日本の経済支援は拉致解決に向けたカードとなり得る可能性が生じる。

 経済支援が拉致解決のカードとなる権力継承に向けて、日本政府は早急に上記メッセージを公の形で全世界に向けて発するべきではないだろうか。

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