9月7日(08年)の「毎日jp」記事≪橋下・大阪府知事:廃止方針の府立文学館を「隠し撮り」「仕事ぶりチェック」≫
記事内容を箇条書きにしてみると、
1.大阪府の橋下徹知事が6日、財政再建案で来年度中に廃止する方針を打ち出
している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、私設秘
書を使って職員に内緒で2日間、「隠し撮り」でビデオ撮影させた。
2.その映像を見て、
橋下知事「何の努力の形跡もうかがわれない」
「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」
(子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして)
「実際は漫画図書館だ」
3.「隠し撮り」については、「民間なら当たり前のリサーチ」
橋下知事「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやってい
るのかチェックするのが僕のやり方」
4.映像は府議会などでの公表を検討。
廃止を検討する他の施設についても「隠し撮り」させる方針を示す。
5.北田彰文学館常務理事
「びっくりした。いつ誰が来ても、きちんと対応している」
「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」
「『漫画ばかり』と言われるが、70万点のうち14%に過ぎない」
橋下徹大阪府知事の財政再建案の中に「来年度中に廃止」の俎上に乗っている府立国際児童文学館なのである。私設秘書は橋下府知事のその「廃止」意向を汲んで、あるいは「廃止」姿勢を受けて、廃止をアピールするに都合のいい映像を撮る。
これが人間の利害・人情というものであろう。存続に有利となる映像を撮ったりしたら、私設秘書としての役目を果たさないことになる。
府立国際児童文学館からすれば、最初から存続に不利な場面ばかり狙った映像を撮られることになる。有利となる映像など望むべくもない。
すべてが「廃止」を前提とし、「廃止」に向けた不利な映像となる。ビデオを隠し撮りする前から、「廃止」劇が展開されていたのである。
橋本知事自身の「廃止」意向、あるいは「廃止」姿勢に意識的に支配された私設秘書の「廃止」方向に色づけた色眼鏡を通して撮影した「廃止」をテーマとしたビデオを見て、知事は全編「廃止」を正当付けていると見る批評を行った。
その一例が子どもたちが漫画ばかり読んでいる場面が強調的に撮影されることになって、「実際は漫画図書館だ」という廃止を正当付ける批評を引き出す経緯を踏んだということであろう。かつての教育タウンミーティングのヤラセ質問と構図は近親関係にある。
公平な判断をするということなら、中立の第三者に隠し撮りを依頼すべきだったのではないのか。そこまで考える感性・想像性は橋下にはなかったのだろう。
橋下・大阪府知事:廃止方針の府立文学館を「隠し撮り」「仕事ぶりチェック」(「毎日jp」2008年9月7日 東京朝刊)
◇現場は困惑
大阪府の橋下徹知事は6日、廃止方針を打ち出している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、職員に内緒で2日間、ビデオ撮影したことを明らかにした。橋下知事は「何の努力の形跡もうかがわれない」と映像を見た感想を述べた。「隠し撮り」について「民間なら当たり前のリサーチ」と話したが、その手法は議論を呼びそうだ。
橋下知事の私設秘書が8月、撮影した。知事は「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」と酷評。子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。映像は府議会などでの公表を検討する。
文学館の北田彰常務理事は「びっくりした。いつ誰が来ても、きちんと対応している」と困惑気味。「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」と反論し「『漫画ばかり』と言われるが、70万点のうち14%に過ぎない」と話した。
府は財政再建案で、文学館を来年度中に廃止する方針を示している。橋下知事は「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやっているのかチェックするのが僕のやり方」と話し、廃止を検討する他の施設についても「隠し撮り」させる方針を示した。【長谷川豊、田中博子】