菅仮免首相が東日本大震災発生以降は新たな配信を見送っていた「KAN-FULL TV」を4月23日土曜日に再開、4月10日に宮城県石巻市を視察した様子を取上げているというので、今朝(4月24日)アクセスしてみた。
アクセスしたのは、菅仮免が自身の記者会見アレルギーを自己発信した情報がマスコミが曲げて伝えるために真意が伝わらない、悪意を持って把えられることもあるといったことに理由を置き、自己発信情報が中間処理が何ら行われずに自己発信したなりに伝わる、いわば生の姿を生のまま伝えることができるテレビや自身が始めた「KAN-FULL TV」 とかカンフルブログ等の情報発信を主要な機会とする姿勢を見せていたから、再開した「KAN-FULL TV」で実際に何ら中間処理を行わずに生の姿を伝えたのか確かめる意図があった。
こういった意図が働いたのは、再開「KAN-FULL TV」は4月10日の宮城県石巻市の視察を取上げているが、菅首相が4月21日に福島県を訪れて避難所となっている福島県田村市総合体育館を視察した際、被災住民から抗議を受けたり不満をぶつけられたりした、菅仮免にとっては非常に不都合な場面が頭にあったからである。果して不都合・都合に関係なしに生の姿を伝えている「KAN-FULL TV」になっているのかどうかに関心を持った。
「KAN-FULL TV」は動画と共に動画内容を文字で起している。以下に起した全文を記載、丸カッコ付き青文字で動画が描き出す内容のうち、説明不足の部分を詳しく伝えてみる。
04/23(土曜日) KAN-FULL TV
第17話【訪問】震災1ヶ月の宮城県石巻市
「もっと現場を見ろ」「邪魔になるから行くな」「時期尚早」「遅すぎる」---様々な意見が飛び交う、総理の被災地訪問。《事実》を、淡々とお見せします。いつもの音楽もナレーションも、付けません。まずは、石巻から。
(最初「もっと現場を見ろ」の文字を読んだとき、被災住民の声かと思ったが、あとの会話から菅仮免の視察に対する閣僚等が発した色々な意見だと分かった。)
<移動の車中から、外の人達と握手する総理>
(動画の最初の画面は青色の防災服を着た菅仮免が大勢の人に囲まれながら子どもと握手しているごく短いシーンとなっている。すぐ近くに自衛隊服を着た男性も見える。
次がマスクをつけたかなり高齢な女性で、菅仮免の右手を両手で握り、頭を深く下げて、「よろしくお願いします」と訴えるシーンとなっている。
菅仮免[右手を情勢に握られながら、左手を女性の右手に軽く添えて笑みを見せながら]「あー、どうも」
このあとバスの席に座った菅仮免が開けた窓から外の被災者と手を握るシーンとなる。「あー、どうも」の会話は芸がなさ過ぎる。)
女性:よろしくお願いします!
総理:しっかりやります!
漁民:お願いします! (二人ほどとかなりな高齢男性と握手しているが、「お願いします!」の声は動画では聞こえない。)
KAN-FULL TV 4月10日 宮城・石巻市 訪問(の字幕。)
(街の中を歩いている。大きな建物に近づく。建物の正面に「石巻市市役所北口」の文字。「石巻市災害対策本部」の看板が立てかけてある。)
<石巻市役所で地元首長らの報告を聴く>
(石巻市亀山紘市長」の字幕。市長は立ち上がって発言、菅は長机の前に座って、ペンを握って何か書き留めている。)
亀山 石巻市長:雇用を守るということが、今一番必要な対策だと思っております。
(実際に口にした言葉。亀山市長「雇用が、あー、を、守るということが、今、一番必要な、ア、対策だと思っております」。ここまでで、次ぎのシーンに移る。)
(「東松山市 阿部秀保市長」の字幕。)
阿部 東松山市長:国の出番です。間違いなく、国の規模でこの災害を乗り切っていかないと、復旧・復興はないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
(菅はテーブルを挟んで向き合って座っている。)
<市役所内のラジオ石巻 臨時サテライトスタジオで生放送に出演>
ラジオ局DJ:菅総理はこのあと市街を回り、私たちの街の現状を視察します。
(菅仮免、椅子に座り、マイクに向かって、)
総理:石巻の皆さん、こんにちは。(あー、)私、(えー、)総理大臣の菅直人です。是非とも、(みなさんに)元気よく、復興(へ)の(、)道筋を歩んでもらいたい(いただきたい)。国としても(、)全力をあげて、(えー、)そうした皆さんの(、おー、)歩みに、(えー、)全力をあげて(、)一緒になっていきたい!
<石巻市内を見渡せる高台へ。住民に声をかける>
(男性の声「おはようございます」。高齢女性と握手。隣に立っていた男性と握手。)
総理:ご苦労様。本当大変でしょうが…
<地元選出衆議院議員から被害状況の説明>
(安住、柵のところから腕を上げて指差し)
安住淳議員:あのマルハ日魯の主力工場ですけど、この中は全然だめです。
<総理への注文>
(マスクをした老女)
女性A:(えー、そうですね、)早く復興するようにね、(ねえ、)やっていただきたいです。
(再びバスの中。窓を開けたバから手を出して被災者と握手。
菅「しっかりやります」
マスクをした高齢女性と握手。泣きながら訴える。)
女性B:(総理の手を握って)お願いだから、みんなが幸せになれるようにしてね(ー)
菅(握った手を振りながら)「ハイ、分かりました。ハイ」。
<再び移動のバス。運転する自衛隊員のヘルメットには「まげんな!東北!」の文字>
(カメラ、ヘルメットに貼った「まげんな!東北!」のステッカーを大写し)
<移動の車中も、新たな余震の影響などを聴き取り>(の字幕)
総理:松島も(自衛隊)基地が水が出ないと(か)言ってましたけど、どうですか、県内の…(県内全体を示すように手をぐるりと回す。)
村井宮城県知事:かなりライフラインはやられました。水道が止まり、ガスが止まりという
(字幕 宮城県村井嘉浩知事)
<インタビュー/総理が訪問する意義は―>
村井宮城県知事:(それはもう、あのー、)まず、地元の人たちが安心しますので。また(、)総理自らが被害状況を見ていただきますと(ですね)、対応に(、)また違いが出てくるかと思いますので、このように来ていただけることを本当にありがたいと(いうふうに)思っております。
(カメラを向けて言わせたのである。当たり障りのない公式見解と見るべきだろう。)
<バスが急に止まる>
男性:ちょっと降りて(いただいて)、はいお願いします。
<急きょ下車して、がれき撤去現場へと歩く総理>
(バスから降りてくる菅を自衛隊員が迎える。
少し離れた場所の数十人に向かって、)
総理:どうもご苦労様です!
(左手を振る。)
作業の手を止める住民たち:あー菅さん!あ、あー!!
((あー)という声は聞こえたが、「菅さん」といった声は聞き取れなかった。)
作業を説明する自衛隊員:剥がしながら、ああやって止まった所で、自衛隊や警察が剥がしていく…
総理:これだけの災害に対して、警察や自衛隊の皆さんが本当に寝食を忘れて頑張っていただいてる事を、本当に誇りに感じています! どうか頑張って下さい! (どうも)ありがとうございます!
警察官ら:ありがとうございます!
総理:どうもありがとうございます!
(字幕)<避難所では被災した皆さんと直接対話>(撮影なし/字幕のみ)
(菅仮免が避難所の建物に入っていくところまで撮影。)
(字幕)「これからどういう風に、自分たち生きていくのか…」
(字幕)―総理が受けとめた、80代・女性の方の言葉
(再びバスの中。フロントガラスから港の道路を写し出す。)
(字幕)<漁業関係の方から直接要望を聞くため、石巻漁港へ>
安住淳議員:宮城県の漁船が、漁業船がすっかりダメになっちゃって…
(横断歩道を渡る菅仮免。近くの誰かに、)
総理:どうもご苦労様です。いや本当にご苦労さんです。
漁業関係者 (ハンドマイクを口に当てたまま、マイクの先は斜め下に向けているが、):車、それからこういう廃材が、海中に散乱しております。たらい回しでなく、早急に漁場、あるいは航路の撤去作業をしていただきたい。
(菅「ハイ」
その場にいる十数人が菅仮免と共に一斉に「ガンバロー」と大きな声を出し、一斉に拳を突き上げる。)
集まった漁業関係者たちと総理:(声を合わせて)がんばろう、石巻! ガンバローー!
(ハンドマイクを持っていた男がハンドマイクなしで、「石巻、ガンバロー」と音頭を取る。再び拳の突き上げ。動画終了)
つづく |
菅仮免は自己発信した情報をマスコミが曲げて伝えるために真意が伝わらないとマスコミを批判する以上、自身の情報発信に関して曲げて伝えることは決して許されないはずだ。
だが、この動画を見る限り、自身に都合のいいシーンだけを取上げている。訪問した避難所に関しては、字幕で<避難所では被災した皆さんと直接対話>(撮影なし/字幕のみ)と伝えるのみで、避難所に入っていくところまでしか撮影していない。何か中で不都合な場面があったために情報隠蔽を謀る必要が生じ、カットしたということなのだろうか。
だが、マスコミは不都合な場面は何も伝えていない。《菅首相、3度目の被災地視察=宮城入り「孤立させない」-東日本大震災》(時事ドットコム/2011/04/10-16:03)
石巻市役所で村井県知事と亀山石巻市長等から瓦礫撤去での自衛隊の引き続いての協力などの要望を受けた。
菅仮免「日本の防衛という任務もあるが、両立を図りながら努力する」
「日本の防衛という任務もあるが」とは、何と勿体振った発言だろう。要するに恩を着せている。速やかな復興も経済的な必要不可欠の“日本の防衛”に当たるはずだ。日本の経済的地盤が沈下した場合、満足な軍事的装備も持てなくなり、ひいては軍事的防衛力も劣ることになる。「両立」よりも先ずは復興であろう。このような危難のときに、攻めてくる外国は政界世論の袋叩きにあう。
記事は「KAN-FULL TV」にあるように地元のFM局を訪問して、市民に呼びかけたこと、そのあと避難所となっている石巻商業高校を訪問した書いている。
動画で入り口まで撮影した避難所が石巻商業高校だったことになる。記事はそこでの出来事を、〈被災民に「大丈夫ですか。今何が必要ですか」などと声を掛けて回った。同校を立ち去る際、記者団に「お年寄りに優しい街、クリーンなエネルギーなど、新しいものを目指す街に再生してほしい」と語った。〉と書き、記事を終えている。
何も不都合な出来事はなかったように見える。避難所での被災者との会話を堂々と動画に取上げてもよさそうなものだが、そうしなかった。なぜなのだろうか。
石巻市視察は4月10日、福島の田村市総合体育館を視察したは4月21日。「KAN-FULL TV」再開は2日後の4月23日。取上げたのは2日前の田村氏の避難所視察ではなく、4月10日の石巻市の視察だった。
4月21日の田村市総合体育館の視察は菅仮免にとっては屈辱的な不都合な場面に出食わすことになった。
動画の字幕で〈総理が受けとめた、80代・女性の方の言葉〉として伝えた、同じく字幕のみの発言は「これからどういう風に、自分たち生きていくのか…」であり、文字でも起してある。
対して、菅仮免がどう答えたのか書いてないし、動画は避難所の入り口までの撮影だから、どう答えたか、動画からは知りようがない。何も答えずに通り過ぎたとは考えることはできないから、その答を情報隠蔽する必要があったのだろうか。
4月21日の田村市総合体育館の視察では被災者に「もう帰るんですか」、「私たちのことを無視するんですか」と非難を浴びせられていたことから、そこに居合わせた全員に向かって励ましの声を掛けたり、政府がしていることの情報を伝えたのではなく、何人かを適当に選んで声を掛けてまわったスタイルの視察だったことになる。
だから、21日9時からのNHK「ニュースウオッチ9」が取上げていたようにマスクをかけたオバサンから、「じゃあ、ご苦労さん、みなさん頑張ってくださいって行っちゃったけど、何にも通り過ぎずに(「自分たちのところに寄って来ずに」の意味か)さっと行っちゃった。あんなじゃあねえ、やっぱりねえ、総理大臣がさあ、悲しいですねえ」と、声を掛けたのが数人だったことの不満を言われる始末を生じせしめることになったに違いない。
この視察以後、抗議や不満を受けたことから視察のスタイルは変えることはあっても、4月10日の石巻市の避難所視察で被災者との間に取り立てて不都合がなかったなら、4月21日の田村市の避難所の視察スタイルを変えることは考えにくい。
上記「時事ドットコム」記事が、〈被災民に「大丈夫ですか。今何が必要ですか」などと声を掛けて回った。〉と伝えるのみであるように、全員を前にして励ましの言葉を伝えたとは一言も書いてないから、同じスタイルで適宜選んだ何人かに声をかけてまわった視察スタイルしか浮かんでこない。
もし石巻市の避難所となっている石巻商業高校を視察した様子をそのまま動画で伝えたなら、田村市総合体育館の視察と同様、そこに居合わせた全員に励ましの声を掛けたり、仮設住宅建設が遅々として進まない現状を謝罪したりしたのではなく、適当に選んだ数人に声を掛けて回っただけの気の利かない、あるいは心が篭っているとは言えない視察スタイルであることが動画によって改めて暴露されてしまうことになり、その不都合を避ける必要があった、避難所のシーンをカットした情報隠蔽ではなかったのではないだろうか。
実際に数人に声を掛けただけでその場を立ち去っていた視察であり、「KAN-FULL TV」でそのことを知ったなら、「何だ、相変わらず、じゃあ、ご苦労さん、みなさん頑張ってくださいって行っちゃう視察じゃないか」といった批判や非難は必ず予想される。
そのための情報隠蔽であり、情報操作でもある石巻商業高校避難所内撮影カットということではなかったのか。
このことが薄汚い勘繰りであったとしても、菅首相は自身が発信する情報を曲げて伝えて真意が伝わらないとマスコミを批判し、生の姿を伝えるために、「KAN-FULL TV」やブログを始めたといった趣旨のことを言っているのである。避難所を訪れながら、被災者の様子を伝えない動画などあり得ようがなく、その場面をカットしたこと自体が、既に自身の発言を裏切る情報隠蔽・情報操作に間違いなく当たる。
マスコミを批判する資格はない。また、少なくとも田村市の避難所視察はそこを住いにさせられている被災者に抗議や非難を浴びせられても当然の心の篭っていない、気の利かない視察であったとは確実に言える。
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