民主党代表選、展望を取るのか、小沢氏の党員資格停止処分を解除しないまま小粒を取るのか

2011-08-13 10:17:23 | Weblog



 前原誠司のことを「口先番長」と揶揄する声があるが、前原以上に口先だけの、「口先独裁者」といったところの菅仮免がいよいよ退陣、新代表選出の代表選に向けた動きがようやく出てきた。

 民主党の東日本大震災対策本部副本部長の身でありながら、震災対策はそっちのけで5月の連休中にフィリッピンでゴルフをしていた不謹慎の責任を取って、災対策本部副本部長を辞任することになった石井一民主党副代表が7月28日の記者会見で代表戦について発言している。

 《民主代表選にはウルトラC必要 石井一副代表》MSN産経/2011.7.29 06:58)

 石井一副代表「すぐに民主党代表選をやるのには否定的だ。代表選をやっても誰にやらせるのか展望がない。ウルトラCを考えないといけない

 記事はこの発言を〈新たな党代表の選出方法について検討すべきだとの考えを示し、近く首相と相談することを明らかにした。〉と解説しているが、果たしてそういった解説が成り立つのだろうか。

 選出方法を変えるとしたら、20人の推薦人を10人に下げるといった変更が可能になるが、それで有能な国会議員に立候補の道を開いても、20人確保できない支持状況はそのまま投票結果にほぼ反映することを考えると、代表選を単に賑やかにするだけの効果しかないように思える。

 大体のところ誰が立候補するか既に予想されている時期に「代表選をやっても誰にやらせるのか展望がない」と言っているのである。

 今回は時間的余裕がないことから、国会議員のみの投票とするということだが、例え地方議員その他を加えることになったとしても、ごく一般的には立候補意欲を持ち、出馬に必要な国会議員20人の推薦人を得て立候補した者の中から投票権を得ている者が投票して最高票数獲得者を代表とすれば済むことで、この基本的な選出方法は誰も妨げることはできないし、地方議員その他を加えることが土台「ウルトラC」と言えない。

 石井一の発言は党代表の選出方法についてではなく、「代表選をやっても誰にやらせるのか展望がない」と言っている以上、あくまでも党運営・内閣運営を含めた政治運営を任せた場合、多くが展望が開けると見る人物が選出できる代表選の「ウルトラCを考えないといけない」ということであるはずだ。

 だとすると、立候補が噂されている誰それでは展望が見えない、小粒に過ぎるということになる。当然、「ウルトラCを考えないといけない」と言うことなら、小沢一郎前代表を除いて他に展望が開ける人物は存在しないはずだ。
 
 小沢氏は現在強制起訴裁判終結まで党員資格停止処分を受けていて、立候補資格を失っている。「ウルトラC」を実現するためには党員資格停止処分を解除する必要がある。

 菅仮免の小沢氏及び小沢グループ排除は菅側からしたら党内力学に於ける数の力を失わせて党内不統一による党運営の困難を招き、国民に党内混乱、あるいは党内抗争の印象を与えたばかりか、民主党の国会力学に関しては菅の指導力欠如からの参院選大敗による参議院与野党逆転の少数劣勢を招き、併せて政権運営の障害を自らつくり出して民主党を不利な状況に追いやった。

 いわば小沢氏及び小沢グループ排除は結果を考えない愚行に過ぎなかった。失敗に終わったのである。

 失敗だったからこそ、今回立候補が噂される人物の多くが菅の党運営の反省に立って小沢氏及び小沢グループ排除を見直し、党内融和を打ち出す発言を行っている。

 もし小沢氏が立候補して代表に選出されたなら、当然国会で野党から「政治とカネ」について厳しい追及を受けることは予想される。検察が二度に亘って不起訴処分とした上での検察審査会決定の強制裁判であり、そのような裁判の被告の身であっても、推定無罪の状況にあることに変わりはない。

 国会議員の誰が裁くことができるというのだろうか。強制裁判でしか裁くことはできないし、裁いたとしても、有罪と裁くと決定しているわけではない。無罪と裁く可能性は否定できないのであり、このことを以って推定無罪ということを意味するはずだ。

 だが、推定無罪を無視し、展望への期待性まで無視する。

 あってはならないことであり、当然、石井一の「ウルトラC」なるものを小沢氏立候補への打開と看做して期待した。

 だが、菅の姿勢は頑なであった。《菅首相「残念とか悔しい思いはない」 震災復旧・復興対応などで》MSN産経/2011.8.10 11:01)

 就任から1年2ヶ月で退陣することになった。

 菅仮免「やるべきことはやってきた。その意味で残念とか悔しいという思いはない」

 これは心にもないウソ八百であろう。“政権期間衆院任期4年”を持論としているのである、それを衆院任期まで待たない、しかも無能力の謗りを受けた辞任なのだから、「残念とか悔しいという思いはない」と言うことはないはずである。

 政治資金規正法違反事件で強制起訴された小沢一郎元代表に対する民主党の党員資格停止処分について次のように発言している。

 菅仮免「一方的にやっつけようということではなく、正式な手続きを経て決めた。党が一丸になる問題とごっちゃにすべきではない」

 「正式な手続き」だからと言って、それが常に正しい判断に基づいたとは言えない。小沢氏及び小沢グループ排除が間違いだったと党内でも多くの議員が思い直しているばかりか、大体が2010年9月の菅と小沢氏が立候補した代表選で菅を投票した議員が間違いだったと自己批判しているのである。その典型が菅の強力な後ろ盾だった渡部恒三民主党最高顧問。

 渡部恒三「とにかく小沢を代表にしちゃいけないというので、みんな菅に入れたけど、本当にひでえのにやらせちゃったな」(MSN産経

 展望よりも小粒を選んだと言うことである。あるいは無能を選んだ。

 2010年9月の代表選ばかりか、そもそもの2010年6月の民主党代表選に於いて多くの国会議員が菅直人で展望が開けると見た。だが、実際には展望が開けなかったことを現実が教えた。

 そもそも菅仮免の小沢排除は自身を「政治とカネ」にクリーンであることを浮き立たせて支持を集めようとした魂胆からの策謀であったはずだ。しかも小沢氏を「政治とカネ」を口実に追いつめようとしただけではなく、小沢グループまで党と内閣の主要人事からの排除を強行した。党の一丸を自ら壊したのである。

 結果として野党提出の内閣不信任案に与党内からもそれが賛成可決される数に達するほどの同調者の動きが出ることとなり、退陣と交換条件に党内の同調を抑えなければならなかったことが今回の退陣劇へとつながることになった。

 何ら展望を持たなかった自身の党運営に何ら反省もない。

 このまま当たり前のルールで新代表が決まってから、党内融和から小沢氏の党員資格停止を解除しても遅すぎる。「ウルトラC」「ウルトラC」でなくなる。

 そもそもからして、石井一が何のために「ウルトラCを考えないといけない」」と言い出したのか意味不明となる。

 展望を取るか、党員資格停止処分を解除しないまま、小粒を取るのか。

 小粒を取るにしても、2010年9月代表選で菅仮免に1票を投じた国会議員はその過ちを自己批判すべきだろう。


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