将来世代のポケットならぬ低所得層のポケットにまで手を突っ込んで税金を増やす野田消費税

2012-04-05 10:19:04 | Weblog

 野田首相は機会あるごとに「将来の世代のポケットに手を突っ込んで」負担を押しつけるのでは持続性ある社会保障制度は確立できないと言っている。

 昨日4月4日の参院予算委員会でも繰返していた。オームの繰返しだから、他の発言から例を引いてみる。

 2012年2月17日野田首相ビデオメッセージ/「社会保障と税の一体改革について」

 野田首相「働き盛りの保険料を中心に考える時代はもう無理です。将来の世代のポケットに手を突っ込んでお金を借りるというやり方も取るべきではありません。ということは、いまを生きる世代が広く薄く負担を分かち合う消費税を導入して、社会保障を支える安定財源にしなければいけない。これが待ったなしの状況であります」

 2012年3月24日、日本アカデメイア主催「野田総理との第1回交流会」野田総理スピーチ

 野田首相「『社会保障と税の一体改革』は、もうここにいらっしゃる皆様はご案内の通りで、釈迦に説法のようにあれこれいうつもりはありませんけれども、待ったなしの状況であります。特に社会保障においては、人口がピラミット型の構造から逆ピラミッドへと急変する中でどうやって持続可能性を担保していくか。

 これは早く手をつけなければなりません。給付においても、負担においても公平性が必要です。支える側が一人、支えられる側が一人という肩車の社会に移行をしている時に、支える側を何のケアもしない社会保障では持続可能ではありません。これまでは給付は高齢者中心、負担は現役世代中心でした。だけども子育て支援等、現役世代にも恩恵を感じてもらえる社会保障へと転換をしていかなければならないわけであります。そして負担の方も、現役世代中心で保険料や所得税だけに頼っていくならば、これも持続可能性は担保出来ません。むしろ現役世代だけではなくて、将来の世代のポケットに手を突っ込んで、赤字国債という形で借金でまかなっているのが現状です

 2012年3月30日 6:00、野田首相記者会見

 野田首相「特に、この改革を推し進める際に一番大事な観点は、人口構成が大きく変わり、かつてはピラミッド型だったものが逆ピラミッド型へ急速な勢いで変わってきている状況に対応できるかどうかであります。その持続可能性の最大のやっぱりテーマというのは、給付においても負担においても、より公平なものにしていくことだと思います。

 給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造では、これは持続可能性を担保することはできません。給付の面においては高齢者中心だったものから、人生前半の社会保障に光を当て、支える側においても社会保障の恩恵を感じられるようにすることが一番大事です。その柱となるものが子ども・子育て新システム。消費税を引き上げた暁には、すべてを社会保障に充てるということにしておりますけれども、その中でも社会保障の充実の部分の中で、この子ども・子育て新システムに7,000億円充てていこうとしています。こうした改革を早くやっていかなければいけないと思っています。

 給付の面だけではなくて、負担の面における公平性ということも必要であります。これまでは現役世代中心の負担、その根幹は保険料であったり所得税であったり、それでは足りなくて、将来の世代のポケットに手を突っ込んで赤字国債を発行しながら今の社会保障を支えているという、そのいびつな構図が続いてまいりました。それを変えていくためには何らかの基幹税を充てなければなりません」

 そこで野田首相は将来世代のポケットのみならず、現役世代のポケットにも等しく手を突っ込んで公平な税金とする、それが消費税だと不退転の決意で猪突猛進することになった。

 だが、3月21日総務省発表の労働力調査は役員を除く雇用者数は5111万人に対して正規社員3355万人、非正規社員1755万人となっていて、正規社員2人に対して非正規社員は約1人を超えている。

 当然、将来世代のポケットに等しく手を突っ込んだとしても、正規社員と非正規社員の間に最初に目していた「負担の面における公平性」は当てにもならない公平性となり、不公平が生じることになる。

 一見公平な税負担に見える消費税が低所得層程消費に於ける逆進性を抱えているということだけではなく、所得の面からも負担の逆進性を抱えていることになる。

 いくら社会保障制度の明日の安心と言っても、日々進行していく今日の暮らしに相当な窮屈を強いられるだろう。

 このことは以下のブログに書いてきた。

 20012年3月29日記事――《世論に逆らうのも政治であり、信念がそれを支えるが、説明責任という対価を条件とする - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》
 
 〈消費税増税によって最も生活の皺寄せを受ける、それゆえに最も切実な問題となって跳ね返ることになる低所得層にこそ、先ず安心を与えるべき逆進性対策が疎かにされている。〉・・・・・

 2012年4月2日記事――《カネ持ちボンボン岡田克也には気づかない貧乏人の安物買いの銭失いと消費税の関係 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》

 毎日新聞の3月31日~4月1日世論調査。

 〈「軽減税率の導入」――79%(以上)

 「軽減税率の導入」79%が証明している、明日の安心よりも今日の安心であり、その日暮らしの追われている所得非余裕層の少なく存在であろう。

 政府が導入の方針としている逆進性対策としての給付付き税額控除ははっきりとした内容、はっきりとした金額が決まっているわけではなく、対して軽減税率の導入は生活必需品の消費をどんなときでも安心できるものに保証することになるからだろう。〉等々――

 勿論政府は非正規労働者の所得向上に努力しているが、企業の利害と真っ向から相対立するために未だ発展途上の後進性にあり、企業の国際競争力に直接的に関係していくアジアやアフリカの国々の低賃金労働力との兼ね合いを考えると、かつてのような右肩上がりは期待できない。 

 せめて消費に於ける逆進性の緩和に思い切った対策を打たないと、消費税増税は公平な負担を言いながら、低所得層のポケットに手を突っ込んだぶったくりになりかねない。

 だが、野田内閣は消費税を上げることにばかり目がいって、一体改革と言いながら、あるいは持続性の確保と言いながら、逆進性対策も社会保障制度の全体像も確定させてはいない。
 
 このことを次の記事が明快に解説している。《【解説 消費税増税】低所得者対策簡素な給付→控除の2段構え》SankeiBiz/2012.4.4 23:04)

 記事は、所得に関係なく一律にかかる消費税は低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視されているが、増税関連法案では現金給付などの低所得者対策が明記されたものの、具体的な制度設計は積み残されたと書いている。

 具体的な制度設計を積み残したということは低所得者対策に熱意を持って取り組んでいなかったということであろう。その方面に対する熱意よりも、消費税を増税して国の税収を増やすことにばかり熱意を持っていたから、その分、自ずと低所得者対策が疎かになった。

 このことは以前ブログにも取り上げたことだが、2月17日(2012年)閣議決定の「社会保障・税一体改革大綱」の一文が証明している。

 〈消費税(国・地方)の税率構造については、食料品等に対し軽減税率を適用した場合、高額所得者ほど負担軽減額が大きくなること、課税ベースが大きく侵食されること、事業者の負担が増すこと等を踏まえ、今回の改革においては単一税率を維持することとする〉云々。

 一番大きな理由となっているのが、「課税ベースが大きく侵食される」ということであり、だから、軽減税率の導入はダメだと言っているのである。

 〈高額所得者ほど負担軽減額が大きくなること〉も課税ベースの侵食に向かうから、同じことを言っていることになるが、全体の層で把えた場合、課税ベースの侵食の一部分であって、全体の中に低所得層も加えているということである。

 いわば低所得者対策よりも税収の確保のみに目がいっていた。

 野田内閣のこの姿勢こそ、〈将来世代のポケットならぬ低所得層のポケットにまで手を突っ込んで税金を増やす野田消費税〉であることの証明であろう。

 上記「SankeiBiz」記事は次のように解説している。

 〈法案の対策は2段構え。まず、平成26年4月に消費税率を5%から8%に上げた時点で、一定以下の年収の人を対象に現金を配る「簡素な給付措置」を導入する。その後、27年1月以降には所得に応じて納税額の一部を戻したり、現金を給付したりする「給付付き税額控除」に切り替える。

 ただ、税額控除の実施は国民一人一人に番号を割り振り、所得や納税、社会保障給付の情報を一元管理する「共通番号制度」の本格稼働が前提になる。給与所得だけでなく、社会保障給付や株式配当なども含めた所得を正確に把握する必要があるためだ。

 給付措置、税額控除のいずれも規模や財源、給付対象などは固まっていない。安易な現金給付は「バラマキ」との批判を招き、増税効果をそぐ可能性もある。

 一方、欧州などは、日本の消費税に当たる付加価値税の低所得者対策として軽減税率を採用している。例えば、英国は標準税率20%に対し食料品や医薬品、新聞などの税率がゼロ。日本に比べて高い税率を国民が受け入れている大きな理由だ。軽減税率の導入を求める声は民主党内でも根強いが、政府は対象品目の線引きが複雑になり、税収も大幅に落ちるとして慎重な姿勢を崩していない。〉――

 これで全て参考引用。

 軽減税率の導入見送りの理由の最初に〈対象品目の線引きが複雑〉になることを持ってきて、その後に税収の大幅なダウンを持ってきているが、低所得者対策が後回しになっていて、税収の確保に重点を置いていることから見ても、〈対象品目の線引きが複雑〉は単なる口実に過ぎないはずだ。

 イギリスだけではなく、イギリス以外の欧州各国もアメリカの各州も行なっている低所得層対策、逆進性対策でもあるからだ。

 この点からも、「将来世代のポケットならぬ低所得層のポケットにまで手を突っ込んで税金を増やす野田消費税」だと言える。

 税金の取り立てに関してはシロアリどころか、ハイエナとも言える貪欲さである。

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