内閣府「自衛隊・防衛問題世論調査」から安倍晋三の軍事に関わる不健全な精神に対抗する健全な精神が見える

2015-03-09 06:09:38 | 政治


 内閣府が「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」を行ったと各マスコミが伝えている。

 各記事を纏めてみると、調査は今年2015年1月8日から1月18日まで。全国の成人男女3000人対象の個別面接方式。回収率は56%の1680人の回答。

 〈自衛隊による国連平和維持活動(PKO)や国際緊急援助活動に関して〉

 「現状の取り組みを維持すべきだ」65.4%(2012年前回調査+4.1ポイント)
 「これまで以上に積極的に取り組むべきだ」25.9%(2012年前回調査-2.2ポイント)
 
 〈自衛隊の防衛力の規模〉

 「増強した方がよい」29.9%(2012年前回調査+5.1ポイント)
 「今の程度でよい」59.2%(2012年前回調査-0.8ポイント)

 〈日本が戦争に巻き込まれる危険性〉

 「あると思う人」75.5%(2012年前回調査+3.2ポイント)

 〈その理由〉(複数回答)

 「国際的な緊張や対立があるから」80%超

 〈日本の平和と安全の面から関心を持っていること〉(複数回答)

 「中国の軍事力の近代化や海洋に於ける活動」60.5%(2012年前回調査+14.5ポイント)
 「朝鮮半島情勢」52.7%(2012年前回調査-12.2ポイント)
 「国際テロ組織の活動」42.6%(2012年前回調査+12.3ポイント)

 〈自衛隊についての印象)

 「良い」41.4%(2012年前回調査+3.9ポイント)
 「どちらかといえば良い」50.8%(2012年前回調査-3.4ポイント)

 合わせて92.2%(2012年前回調査+0.5ポイント)(過去最高)

 〈日米安全保障条約が日本の平和と安全に役立っているか〉

 「役立っている」82.9%(2012年前回調査+1.7ポイント)(過去最高)

 〈自衛隊の存在目的〉(複数回答)

 「災害派遣」72.3%
 「国の安全の確保」69.9%
 「国内の治安維持」48.8%
 「国際平和協力活動への取り組み」35.7%

 〈日本が外国に侵略された場合の対応〉

 「何らかの方法で自衛隊を支援」56.8%(2012年前回調査+0.2ポイント)
 「武力によらない抵抗」19.5%(2012年前回調査+0.6ポイント)
 「自衛隊に参加して戦う」6.8%(2012年前回調査+0.2ポイント)(以上)

 今回の調査では集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定や政府・与党が進める安全保障法制の整備に関する質問はなかったというが、安倍晋三が強力に進めようとしている邦人救出や後方支援等の自衛隊の海外派遣を含めたこれらのことを念頭に入れた回答となっているはずだ。

 もし念頭に入れていなければ、集団的自衛権行使や安全保障法制に関して無関心ということになる。無関心な人間が「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」に回答する資格はない。

 「日本が戦争に巻き込まれる危険性」があると思うが75.5%も占めながら、自衛隊の防衛力規模を「増強した方がよい」が29.9%、「今の程度でよい」59.2%。

 安倍晋三の積極的な自衛隊海外派遣欲求や、「日本の平和と安全の面から関心を持っていること」の調査で「中国の軍事力の近代化や海洋に於ける活動」が複数回答で60.5%とトップを占めていることからも、中国の急激な軍事力の増強、そして覇権主義的な海洋進出とそれに対する日本の島嶼防衛等を考慮に入れていたなら、自衛隊防衛力の増強を望んでいいはずだが、2012年前回調査から+5.1ポイントとなっているものの増強派が29.9%で、現状維持派が59.2%と約2倍を占めている。

 前回調査は2012年1月だから、第2次安倍内閣2012年12月26以前の調査ではあるが、今回調査で軍国主義者安倍晋三の登場とこの2年3ヶ月間の日本の軍事力に関わる意思表示がさして影響していないことになる。

 だからこそ、「自衛隊の存在目的」を問う調査で、複数回答であっても、「災害派遣」が72.3%とトップを占めることになったはずだ。

 もし逆に安倍晋三の自衛隊海外活動欲求を通して現れている世界に向けた日本の軍事的関与の姿勢を歓迎していたなら、「災害派遣」を抜いて、2位の「国の安全の確保」がトップを占めていいはずだし、「国際平和協力活動への取り組み」がより多くのパーセントを占めていいはずだ。

 だが、「災害派遣」に重きを置いている。

 但しこの「災害派遣」は「自衛隊による国連平和維持活動(PKO)や国際緊急援助活動」に関する問いで、「現状の取り組みを維持すべきだ」が65.4%を占め、 「これまで以上に積極的に取り組むべきだ」の25.9%を遥かに引き離していることからすると、日本国内の「災害派遣」により重点を置いた望ましい自衛隊の役割ということであろう。

 と言うことは、75.5%が「日本が戦争に巻き込まれる危険性」を感じていながら、自衛隊の存在目的を邦人救出や島しょ等防衛等に於ける軍事力行使に置いているのではなく、自衛隊の存在そのものに対して主としてレスキュー隊としての価値づけを行っていることを示していることにならないだろうか。

 東日本大震災での自衛隊の災害活動、広島土砂災害や御嶽山火山噴火での災害活動等々の活躍にそこ、自衛隊の存在意義を置いている。

 安倍晋三の軍事大国化欲求に何ら影響を受けていないと見えるこの自衛隊に対する価値づけは、その欲求に対する警戒心の現れでもあるのだろうか。

 もしそうあるなら、軍事に関して未だ健全な精神を維持していることになる。安倍晋三の軍事に関わる不健全な精神に対抗する健全な精神と言うことである。

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