1995年6月衆院採択「戦後50年決議」、安倍晋三が言う欠席理由が偽りか、朝日記事の理由が捏造か

2015-03-28 09:01:27 | Weblog



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       《13月24日(火)小沢代表・山本代表の定例記者会見要旨 党HP掲載ご案内》  

      山本太郎代表「政府の皮をかぶった強盗に近い辺野古移設問題」
  
      【質疑要旨】

      ・普天間飛行場の辺野古移設問題について
      ・NHK番組出演とストロンチウム計測発言について
      ・街頭記者会見について
      ・統一地方選について  

 安倍晋三の1995年6月9日に衆議院本会議で採択された『歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議』(「戦後50年決議」)についての3月27日参院予算委員会発言をマスコミが紹介している。

 安倍晋三「政府として国会決議を尊重するのは当然のことだ。

 (自身の採決欠席について)当時、自民党では我々が要求したにも関わらず議論が重ねられなかった。その抗議の意味で欠席した」(時事ドットコム

 この記事は次のように解説している。

 〈同決議は、先の大戦の「植民地支配や侵略的行為」への「深い反省の念」を表明。こうした文言に自民党内の一部議員が反発した。決議は同年8月の村山富市首相の戦後50年談話につながった。〉

 議論不足の「抗議の意味で欠席した」。にも関わらず、国会決議を「政府として」と断って尊重するとしている以上、「村山談話」や「河野談話」の例から見ても分かるように本人は尊重していないということなのだろう。

 問題は安倍晋三の発言の中で特に釈明に関しては言い抜け名人で信用できないから、事実「抗議の意味で欠席した」かどうかである。

 ネット上を調べた所、次の記事に出会った。《安倍氏は国会決議を欠席、村山首相は談話を決断 95年》asahi.com/2015年3月4日04時59分)   

 記事の趣旨は、〈20年前、「村山談話」はなぜ生まれたか。〉である。

 どのような記事内容か順を追って見ると、〈村山政権で連立を組んだ自民、社会、新党さきがけ3党は1994年6月の政権発足時、「戦後50年を契機に、過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する国会決議の採択などに積極的に取り組む」との合意を交わし〉ていたことを受けて決議の文案づくりは翌1995年に始まった。社会党が「不戦」や「謝罪」の表現を入れることを求めたのに対して〈自民党慎重派「終戦50周年国会議員連盟」を中心に「後世に歴史的禍根を残す」と反発が広がった。〉という。

 同1995年3月、新人議員の安倍晋三が国会で「我が国が一方的に不戦の決議をするのは意味がない」と訴えた。
 
 3党は同1995年6月6日、「不戦」や「謝罪」の文言は入れずに「植民地支配」「侵略的行為」との文言を入れて合意に辿り着く。

 但し3日後の1995年6月9日の採決の場の衆院本会議で与野党から多数の欠席者が続出。安倍晋三も欠席、賛成多数で採択されたものの、〈全会一致が原則の国会決議が不調に終わり、政権は大きく傷ついた。「これではいけない」。村山富市首相は、首相談話の作成を決意した。〉という内容になっている。

 この記事の内容からすると、安倍晋三は決議の内容自体に反対して欠席したことになって、議論不足に対する「抗議の意味で欠席」は「政府として国会決議を尊重する」と言っていることと整合性が取れなくなることからの偽りの理由となる。

 安倍晋三が1995年3月何日のどの委員会で具体的にどう発言したのか、安倍晋三の「我が国が一方的に不戦の決議をするのは意味がない」の文言を頼りにネットで検索して見ると、上記朝日記事を指して、「朝日新聞が性懲りもなくまた捏造記事を書いて安倍首相を冒涜している」とする批判を見受けた。

 その中に2005年7月号の「諸君」に投稿した西村真悟の一文が紹介されていた。

 「自社さ政権下で、国会における謝罪決議が構想され始めたが、反対の声は超党派で強まり、決議案が上程されても否決が明白になった。すると6月9日の金曜日、“本日は本会議なし、議員は選挙区に帰られたし”との通知が出て、反対派の議員は選挙区に戻った。

 その隙を狙ったかのように、土井たか子議長が金曜日の午後8時近くという時間に、本会議開会のベルを押した。結果として265人の議員が欠席、議員総数509人の半数以下の230人の賛成で決議案を可決。しかし、参議院は採択を見送った」

 西村真悟が言っていることが事実だとすると、安倍晋三の欠席理由も違ってくることになる。果たして「朝日」の捏造なのか、それとも安倍晋三が自身で言っている欠席理由がウソなのか、明らかにしなければならない。

 安倍晋三の件(くだん)の発言は探すのに時間がかかったが、1995年3月29日の《第132回国会 衆議院外務委員会第11号》に記載されている。
 
 1993年に署名され、1997年に発効することになる多国間条約の「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」に関して、発効された場合の検証と不使用の実効性の質問を行ってから、「戦後50年決議」の質問に移っている。

 安倍晋三「今年我が国が戦後50年を迎えるわけでございますが、いわゆる不戦決議等々ということが言われているわけでございますが、この不戦決議というのもやはりこれは(化学兵器禁止条約と)全く同じでございまして、我が国が一方的に不戦を言っても、他国から侵略されたときには当然防衛戦争の権利があるということであっては、これが果たして本当に不戦がどうかというのは大変怪しいわけでございます。

 これは、バリ不戦条約を結んだわけでございますが、アメリカが公文書において、自衛権は当然あるんだよということを確認いたしたわけでございます。その後、結果はどうなったかというと、第二次世界大戦も引き起こったわけでございまして、なかなか実効性がないということでございますから、私としては、我が国が一方的に不戦の決議をするというのは殆ど意味がないことではないか。目指すのであれば、むしろ自衛権すら否定をする不戦の条約をマルチで結ぶということによって初めて可能になるのではないかと思うわけでございますから、その点のところを最後に外務大臣に御見解を承りたいと思います」

 河野外相「国会で戦後50年というこの節目に何か決議をやろうというお話し合いをしようということが、連立政権樹立の折に三党で合意がなされております。その3党の合意の、50年目という節目に当たる年に何か決議を、この50年目という年に思いをいたして決議をしよう、こういうことについては、私はちょっと外務大臣という立場で院の決議にあれこれ申し上げることはいかがかと思いますが、そういう話については大変意味のあることだというふうに私は思っているわけでございます。

 問題は、その決議の中身がどういう中身であるかということであろうと思いますが、今申し上げましたように、50年という節目に当たって、我々はもう一度初心を思い起こして、そうしたものを自分自身に言い聞かせるということも一つの考え方であろうと思いますし、あるいは50年目という節目に、未来に向かって我々はこういう道筋を進んでいこうではないかというのも一つの考え方であろうと思います」

 これらは院におきまして、議員の皆様方の総意といいますか、合意を導き出すという努力が今なされようとしているというふうに伺っておりまして、意味のある決議をぜひお願いしたいものだ、私はこう考えております。

 安倍晋三「では、これで私の質問を終了したいと思います。ありがとうございました」

 安倍晋三は第一次世界大戦後の1928年にフランスのパリで調印された「パリ不戦条約」が第2次世界大戦の開戦を防ぐことができなかったことを例にして、自衛権すら否定する不戦を趣旨とするなら、一方的な不戦決議と整合性を持たせることができるが、そうでなければ、一方的な不戦の決議は意味はない、実効性がないと逆説的に反対の意思を伝えている。

 なかなか巧妙な論理を用いている。「自衛権否定」の文言を入れたなら、国民の多くが反対するとの読みがあったのだろう。だが、理想と現実とは常に異なる。だからと言って、理想を捨てることはできない。

 人類の多くが戦争のない世界を望んでいる。しかし現実は人間同士・国同士の戦争が跡を絶たない。だからと言って、戦争のない世界への希求は誰もが反対できないだろう。いつ実現できるか分からないし、実現できないだろうと思いつつも、戦争のない世界を望み続けて、人類への期待を捨てることができない。

 安倍晋三はバリ不戦条約を例にして他国からの侵略の可能性を想定した場合は「戦後50年決議」は実効性のない言葉だけのことだと決議自体に反対していた。この姿勢の裏を返すと、軍事力を以って戦う意志を示すことでしか自国防衛は不可能だとしていることになる。

 この姿勢は安倍晋三の今日の姿につながっている。

 当然、議論不足からの「抗議の意味で欠席した」は偽り、欺瞞そのものとなって、「朝日」の記事は捏造でも何でもないことになる。「抗議の意味」としたのは、そうしなければ、「政府として国会決議を尊重する」としているとことと整合性が取れなくなるからであり、戦後日本の姿として常々提示している「戦後日本は平和国家として歩んできた」とする訴えと整合性が取れないからであり、自身がスローガンとして掲げている「積極的平和主義外交」と整合性が取れないから、人類の理想である「不戦」に反対だから欠席したとは言えなかったが事実といったところであるはずである。

 内実は「不戦決議」に反対し、軍事力を信奉している。

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