安倍晋三が人間は何を最大利害としているのか、それを利用し、功を奏した参院選勝利を証明する共同世論調査

2016-07-14 06:25:43 | 政治


「有権者、改憲は票に結び付かず 経済を重視、共同通信世論調査」共同通信47NEWS/2016/7/11 18:05)

 共同通信社は、参院選での有権者動向を探るため、計3回にわたり全国電話世論調査を実施した。憲法改正については反対派が多かったものの、投票する際の判断基準とする人は少なかった。野党は争点化を狙ったが、投票行動にはあまりつながらなかったことがうかがえる。安倍晋三首相が主要テーマにした経済政策への関心は一貫して高かった。

 調査は6月初旬、中旬、7月上旬にそれぞれ実施。安倍首相の下での改憲について聞くと「反対」との意見は、第1回と投開票直前の3回目ではいずれも50%を上回り、2回目も48.2%だった。「賛成」はいずれの回も30%台にとどまった。

 2014年12月の総選挙前の世論調査でも、憲法解釈による集団的自衛権行使容認には賛成を反対が上回っていた。

 例えば毎日新聞が2014年12月9日、10日の世論調査を見てみる。

 「集団的自衛権の行使」

 「賛成」35%
 「反対」51%

 2014年12月11日施行特定秘密保護法

 「賛成」30%
 「反対」49%

 「衆院選で最も重視する争点」(いわば投票の判断基準とする重視する政策)

 「年金・医療・介護・子育て」33%
 「景気対策」26%
 「原発・エネルギー政策」9%
 「外交・安全保障」4%

 記事は解説している。

 〈特定秘密保護法や集団的自衛権への懸念は残るが、有権者は生活に身近な課題に重きを置いており、選挙戦には大きく影響していないことがうかがえる。一方、安倍政権が目玉政策とする「地方再生」は2%で、争点になりきれていない。〉――

 この理由は7月9日の当「ブログ」記事に書いたように人間は生活の生きもので、生活を最大利害としているからに他ならない。    

 このことを今回の共同通信の世論調査が数値で証明した。

 国民の多くは憲法解釈による集団的自衛権の行使容認には反対していたが、安倍晋三は2014年総選挙ではその反対を巧みに利用、人間にとってので最大利害ある生活を人質に取る形で2015年10月の消費税率8%から10%への再引き上げの2017年4月への先送りを決定した上でアベノミクスの経済政策の是非を争点の前面に立て、その背後に集団的自衛権問題を置く争点隠しを行って自民党単独で絶対安定多数の266を超える291議席を獲得し、自公与党で議席の3分の2を維持した。

 「議席を獲得すれば、こっちのもんだ」と思ったに違いない。
 
 開票翌日の2014年12月15日に自民党本部で記者会見して、冒頭でいきなり次のように述べている。

 安倍晋三「今回の総選挙は、アベノミクスを成功させるため、来年の消費税2%さらなる引き上げを1年半延期するという税制上の大きな変更について国民に信を問う解散でありました。いわば『アベノミクス解散』であったと思います」

 そう、「アベノミクス」解散であり、アベノミクスを争点に国民に信を問う総選挙であった。冒頭発言中、集団的自衛権についても憲法改正についても一言も触れていない。

 だが、冒頭発言後の記者との質疑で安保法制について問われたために触れている。 

 記者「今回の選挙ではアベノミクスのほか、集団的自衛権の行使容認や憲法改正、原発再稼働も争点になりました。選挙結果を受け、来年の通常国会に提出する安全保障法制整備の関連法案はどのように審議を進める考えですか。憲法改正にどう取り組むか、原発再稼働についてのお考えは」

 安倍晋三「「先ず安全保障法制についてですが、今回の選挙はアベノミクス解散でもありましたが、7月1日の閣議決定を踏まえた選挙でもありました。そのことも我々、しっかりと公約に明記しています。

 また街頭演説においても、あるいは数多くのテレビの討論会でもその必要性、日本の国土、そして領空、領海を守っていく、国民の命と安全な国民の幸せな暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定をもとにした法整備の必要性ですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備、これを来年の通常国会で行っていく、これを訴えて来たわけです。

 このことにおいてもご支持を頂いた。当然、約束したことを実行していく。これは当然、政党、政権としての使命だと思う。来年の通常国会のしかるべき時に法案を提出していきたい。そして成立を果たしていきたいと考えています」――

 「アベノミクス解散」だと、人間の最大の利害である生活を問う選挙を行いながら、世論調査で国民の多くが集団的自衛権行使に反対していることを無視、閣議決定もしたし、選挙戦中、時折は触れているのだから、「ご支持を頂いた」

 要するにアベノミクスだけではなく、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認等を含めた安倍安保法制も国民の信任を得たとし、数の力で翌年の2015年年9月19日に成立させ、9月30日に公布させている。

 これが「当然、約束したことを実行していく」と言っていることに相当する。

 今回の参院選挙でも憲法改正を表立った争点とはせずに選挙前に消費税増税を再延期することで人間が生活を最大の利害としていることを巧みに刺激しつつ、税率8%据え置きの経済状況を以てして個人消費等が伸びてアベノミクスを是非成功させて欲しいという思いを掻き立てて大きな勝利を得た。

 当然、安倍晋三の2014年総選挙後の行動を見習うなら、「憲法改正においてもご支持を頂いた。当然、約束したことを実行していく」という可能性は決して否定できない。

 共同世論調査が人間が生活を最大の利害としているゆえに選挙の投票規準に自身の生活を置いていることを明らかにしたが、国民が生活という足元の利害だけに目を奪われている間に軍事的影響力でも日本を世界の中心に置きたいと強く希求している、軍事色に染まった安倍晋三的日本国家の確立に知らず知らずうちの手を貸し、気づいたときには、戦前経験しているようにそういった日本から引き返すことができなくなったといったようなことが起きないように気をつけなければならない。

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